獣も魔物もお姉さんも、指先一つで即ヘブン! ~【器用さ9999】の転移者は払い損の月額課金を解約せんと帰還を企てる~

ふつうのにーちゃん

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・交易都市トリッシュ編 ホブゴブほいほい

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 山が多くて風光明媚な大陸東部もよかったけど、大陸西部は平地が多くて旅しやすい。
 それに植生が豊かで、植物が好きな人間には道行くだけでなんか楽しい。

「ホブホブホブ! ホブゴブリン様のお通りホブ! そこの旅人、金を置いてけ!」

「おーっと、1万イエン引換券発見! ラッキーッ!」

「なっ?! ウギャァッッ?!」

 というわけで、おっす、オラ元社畜。
 特技は急所の狙撃。

 心臓を弓に狙撃されたホブゴブリン(青くてでかいゴブリン)は、ワンショットキルでただちに消滅した!

 女の子にはモテモテになるし、強い雑魚モンもこの通り一撃必殺、いやぁ、器用さ9999っていいものですねぇ……。

 るんるん気分で広野を行く俺はこれで旅6日目。
 現在、交易都市トリッシュロックオン中。
 今日の昼にはトリッシュにたどり着ける算段でいる。

「ホブホブホブ! そこの旅人――ガハッッ?!」

 荒れ果てた危険な街道も、俺にはただのボーナスゾーン。
 ホブゴブリンの大粒の魔石は、店で売ると1万円イェン相当となる。

 それが現在手元に3つ。
 その他雑多な魔石を含めば、カバンには21もの魔石が詰まっている。

 トリッシュの大図書館は有料である。
 その希書室もまた有料である。
 賢者の手記はそこの一番高い特別室に保管されている。

 いや、考えたものである。
 隠すのではなく、閲覧する気も起きなくなるほどの閲覧料をせしめる。

 廃鉱山に隠されるよりも、こっちの方が遙かにたちが悪い。

「アーーベーーーー……マリィィィィーー……ィアァァァーーーーッッ!!」

 そういったわけで俺は目下、お金稼ぎをしながら前進中!
 オペラ歌詞気分で歌いながら進めば、あれよあれよと現れるホブゴブリンちゃん!

「ホブッホブッホブゥゥーッ! そこの妙に美声な緑のやつ! 金目の物を――ギャハッッ?!!」

 やったぜ、1万円引換券またゲット!
 向こうについたらこれを加工して、どっかで露店でも開いて売るとしよう。

 露店販売に憧れてたんだよね、俺。
 生まれも育ちも沼津市沼津。
 人呼んでフーテンのフネさんとは、俺のことだ!

 俺は危険地帯を歌いながら、そろそろ初夏も終わり夏本番といった日差しの下を、右曲がり左曲がりのんびりペースで歩んで行った。


 ・


「交易都市トリッシュ、なう! っと」

 トリッシュに着くと、まずは港町の遠景を通信ソフトで勇者オケヤに送り付けた。

 ちなみにフッサール鉱山の写真には――

『すごい! なんかゲームみたいだね、ミフネ! ありがとう、またこういうの送ってよ!』

 と、まっこと素直なリアクションをオケヤは返してくれていた。

 イケメンで、ひねくれてなくて素直で、ちょっと抜けていて支えてやりたくなる若者オケヤ・ミフウ。
 やっぱりアイツはいい友達だった。

 というわけでいつものやつだ。
 トリッシュに到着した俺は、海沿いの低地にある都市を『わー、津波がきたら全滅しそー』と密かに思いながらも、宿屋街を訪れた。

 そしてそこでホイホイと宿の客引きに引っかかり、まず寝床を確保した。

 昼食は以前仲間と行った海辺のパスタ屋にした。
 カニのクリームパスタと、ホイップクリームの乗ったアップルパイを注文して腹を満たした。

 いや、美味すぎ!
 この世界ってどこも飯が美味くて最高!
 カニの身の甘みある肉と、カニ味噌を使ったソースがきしめんみたいな太いパスタと絡んでヘブンだった!

 そしてその次に、俺は大通りから外れた裏通りを訪れた。
 そこは各地からこのトリッシュを訪れた露天商たちが集まる、良くも悪くもアングラな、無許可で商売してやろうって連中が集まる場所だった。

 販売に入る前に軽く裏通りの店々を物色した。

「銀か」

「へへへ、お客さん若いね。どうだい、うちで買えば正規の店の2割は安いよ」

 銀は指輪作りでよく使う。
 俺はスマホを取り出し、アプリ【Mystic】の鑑定機能を起動した。

 カメラを合わせるだけで鑑定ができるよー。
 料金は一律50円。
 あこぎなんだか、商売下手なんだか、なんかよくわからない。

【偽造シルバーインゴッド】
 銀61% 鉛10% 錫29%
 [銀-5]相当の銀

「おっさん、これ混ぜ物入ってない?」

「人聞き悪ぃこと言わないでくれよ、客さん。うちの銀は銀100%だよ」

「ふーん……」

 どの銀も混ぜ物が入っているので店を離れ、他の露店で純銀を確保した。

「若いのにやるね。あそこのやつはいつものああなんだ」

「有名なのか?」

「港のヤクザとつるんでてね、関わり合いにならない方がいい」

「うっへ……そうするよ、ありがとう」

【シルバーインゴッド+5】
 銀99.97%
 加工品に10%のボーナス

 +5相当の銀を確保した俺は親切な彼の隣に腰を下ろし、頭のバンダナを商品の敷物にした。
 売り物はもちろん、モンスターの魔石を加工した彫刻品や銀のアクセだ。
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