獣も魔物もお姉さんも、指先一つで即ヘブン! ~【器用さ9999】の転移者は払い損の月額課金を解約せんと帰還を企てる~

ふつうのにーちゃん

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・王都カールカンニャ編 月収2000万稼いでみた

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 おっす、オラ10万ドルプレイヤー!
 半月の滞在でもう500万稼げたら嬉しいけど、世の中そう甘くねぇんだぞ、オケヤ!

 こういう時は必ずどこかに特大の落とし穴が待っているんだ、オラはこういうのに詳しいんだ!
 とやや後ろ向きに商売に挑んでみたら、ひゃあ! オラびっくりしたそ!

 港の方では抗争に次ぐ抗争で血の雨が降る一方で、くるよくるよ、次から次へとくるよ!
 噂の緑の英雄様がお作りになられるチート装具とエッチなフィギュアを求めて、ガチな人たちの入店ラッシュが止まらない!

 やれ、乳をスイカみたいにしてくれ!
 やれ、腰は砂時計のように細くしてくれ!

 あの名門女学院の服がいいだの、『裸だけどうちの娘に似せてくれても全然問題ないよね!』だの、竿を生やせ、腹筋を盛れ、うさ耳ねこ耳・犬マズル!

 ひぁあ!
 どいつもこいつも注文がマニアック過ぎてオラドン引き!
 けどみんなのそのエロい想い受け取ったぜ!
 よっしゃいっちょやってみっかぁ!

 と、リクエストに応えて応えて応え続けてみれば、なんかエロフィギュアだけで1000万イェンも稼いでいたんだから、世の中どうしょもねぇの巻!

 やべ、これ売り上げ的に装具屋さんっていうより、エロフィギュア屋さんじゃん!
 どんだけエッチな女の子の像に飢えているんだよ、異世界の民!

 まあそういったわけでトリッシュ滞在での稼ぎは、まさかの総計2000万イェンに到達!
 俺はたくさんの冒険者たちをチート装具で支援しつつ、大いなる遺産エロいガラクタでトリッシュの経済を豪快フル回転させたのだった!

 そんな俺の次なる目的地は中原!
 具体的に言えば【王都カールカンニャ】とかいう、猫まっしぐらにしか聞こえねぇ『始まりの地』!

 そう! このカールカンニャこそが、俺たち勇者パーティのスタート地点!

 夫婦の幸せを引き裂き、JDの学生生活を踏みにじり、お父さんからマイホームを奪った上に、勇者の実家を全焼の危機に追いやった、クソ王家が支配する近隣最大の都市である。

 てなわけで!
 7月29日、曇りがちの晴れ!

 トリッシュを旅立った俺は王都近隣の丘に上り、テンプレみてーな円形の城壁を持つ王都カールカンニャにスマホを向けると――

 激写の後に『てへ、帰ってきちゃった、なう』とコメントを入れてオケヤに送ってやったのだった。

 それとサプライズがもう1つ。
 離れているが俺は勇者パーティの別働隊だ。

 別働隊として俺はスマホアプリを介して、勇者オケヤの口座に1000万イェンをぶち込んでやったのだった。

「ははは、アイツどんな顔してるかな! 1000万イェン送って手数料が5000イェンとか良心的過ぎるだろー」

 まだ探してもいないが、俺はもう帰還にリーチをかけた気分でいた。
 残る手記は1つ。
 あとたった1つ集めたら、俺は元の世界に帰って蕎麦屋と寿司屋とトンカツ屋に駆け込むんだ。

 丘にあるでかい岩に腰掛け、俺は旅のスタート視点に感慨を覚えながらも見下ろして、以前泊まったご機嫌な酒場宿【十六夜亭】を目で探した。

 すると鳴り響くはワルキューレの騎行。
 当時どんな思いでこんな着信音を選んだのやら自分がわからないが、とにかく!

 それは勇者オケヤからのラブコールだった!
 当然、一人旅でちょっと寂しくなっていた俺は通話に出た!

「い、いいいっ、1000万円っっ!? いきなりなんなんだよっ、君っっ!?」

「おー、声聞くの久しぶりだなー、オケヤ!」

「突然なんなのこのお金っ、何考えてんの君っ!?」

「何って、物作って売ったらめっちゃ稼げたから、お前らにおすそわけ」

 このリアクションが聞けただけでも、1000万イェン分のボケをかましたかいがあった。

「やるじゃん、ミフネっち! これうちらで好きに使っていいのー?」

 JDヒーラー・アンズちゃんの声も久しぶりだった。

「おう、好きにしてくれ! ぼーけんするなら金がいるだろ?」

「やったーっ、ミフネっち大好きーっ! マジ神だよっ、これで新しい服と杖買おーっ!」

「ふふふっ、ありがとう、ミフネくん! はぁ、うちの旦那もこれくらい気前よくポンと、おこづかいくれないものかしらねぇ!」

 魔法使い主婦コバヤシさんも元気そうだ。
 異世界からの帰還にリーチがかかっているだけあって、声が弾むように元気だった。

「ミフネくん、君には恐れ入った。しかし、どうやってこれだけの資金を調達したのだ?」

「あ、カキシマさん、お久しぶりです! いやちょっと美少女フィギュアを作って売っただけです! それがまさかこんなに儲かるとは――」

 そう種明かしをすると、スマホの向こうからアンズちゃんとコバヤシさんの大爆笑が聞こえた。
 こうなっては『それエロいフィギュアです』とは言えないな。

「重ね重ね、恐れ入ったよ、ミフネくん。この資金、我々で有意義に使わせてもらう」

「うちわかっちゃったっ! それ絶対っ、女の子エロいフィギュアでしょーっ!」

「お、アンズちゃん正解。よくわかったなー?」

「えっ、ええええーーっっ?! な、何やってるんだよ、ミフネッ!?」

 確かにエロいオーダーばかりだったが、女とは限らなかったと誤解を訂正すると、一応の本題に入った。

「まあ、生えてたり生えてなかったりするところは置いといて。豪快払い損の件、期待していてくれ」

 ちなみにこの通話、料金はボッタクリの2分5000イェン。4分の通話で諭吉が空を飛ぶ!

「うんっ、よろしくね、ミフネっち! マジ期待してる!」

「最後の手記が手に入れば、やっと私、あの人に会えるのね……。どうかがんばってっ、ミフネくん!」

「また、妻と娘がとんでもないお金の出し入れをしてね……。実状、君だけが頼りだ……我々を救えるのは、君だけだ……」

「ミフネ、君ならすぐに見つけられるよ。こちらも先週、魔王の幹部をもう1人倒した。君は別働隊としてこれからも好きに動いてくれ」

「おお、やるじゃん、みんな! んじゃ、通話料も気になるしこの辺で失礼するぜ! 俺はぜってー元の世界に帰る! 別働隊として帰って、みんなの問題を解決してみせる! まあ期待しててくれ!」

 互いに励まし合うと、そういうキャラじゃないんだが胸が温かくなった。
  別行動しているとどうしても、ボッチの寂しさが募って信頼関係の確認をしたくなる。

 通話を切った俺の胸には、信頼する仲間とのやり取りから生まれた多幸感と安堵があった。
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