獣も魔物もお姉さんも、指先一つで即ヘブン! ~【器用さ9999】の転移者は払い損の月額課金を解約せんと帰還を企てる~

ふつうのにーちゃん

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・神奈川県小田原市 勇者オケヤの実家に行こう

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 ナタネ教授は落ち着いたワンピース。
 クローディアは露出の高いジーンズ生地のホットパンツとキャミソール。

 夏らしい格好となった同居人と、先日は沼津港で飯を食い、水族館に寄り、買い物をした。

 自分、お金持ちですから!
 1ヶ月で2000万円稼いだ月収10万ドルプレイヤーですから、浪費が楽しいです!

 家に帰ったらテレビを見たり、1つのノートパソコンを運んでアニメを見たり、豪快払い損のサブスクサービスに感謝したくなったりした夜が過ぎ、そして今日がきた。

 不思議ものだね。
 ナタネ教授が同じ部屋にいると、クローディアも借りてきた猫みたいにおとなしいもので、てか実際猫になってナタネ教授のお腹で眠って起き出してはこなかった。

 そんな夜、俺はノートパソコンの前で夜更かしして旅の予定を立てた。
 このまんま、こっちとあっちを行き来する生活も悪くない、狭いけど心地よい夜だった。

 ま、そんなわけで、本日。
 騒がしい彼女たちに起こされた俺は、朝っぱらから白米と刺身のホリデーな朝食を平らげながら、念押しした。

「近所までなら許すけど、遠出は禁止な? お前ら実質、不法滞在者みたいなもんだから」

「わたしたち、子供じゃない……」

「何かとめんどくせーんだよ、この世界は! はい、この画面見て! これ、ケーサツカン!」

 ノーパソで警察官の画像を見せた。

「何度も聞いた……倒せば、いいんでしょ……?」

「よくねーよっ!? この人たちに『ちょっとよろしいですか?』と、言われたら、暴力ダメ、絶対……! 速やかに眠らせて退散、これね!?」

「睡眠の魔法が使えない私はどうすれば?」

「シペラスは『すみません、急いでいますので』と、伝えて全力ダッシュで逃げろ。とにかく抵抗するな、不法滞在者だと気付かれるな」

 ナタネ教授はわかってくれた。
 しかしシペラスとクローディアは納得がいかないようだ。
 ケーサツカンなんて倒せばいいだろうとか、そういう異世界式の考え方が抜け切れていない。

「わかった……。じゃ、ヤマデーン電気・オンラインストア……使って、いい……?」

「お前順応はえーな……。いいぞ、けど限度額は5万までな」

「……エロ動画も、見ていい……?」

「それは言わんでよろしいっ!」

 なんかメチャメチャ不安が残る……。
 残るが、俺のこの世界に帰ってきたのは自分と仲間たちのためだ。

 俺は同行者シペラスの手を引いて、自宅アパートを出て、バスで沼津駅に向かった。

 同乗者もキャミソとスカート姿のその美少女が異世界の民とは誰も思わないだろう。
 沼津駅に着くと、そこからはJRの鈍行だ。

 俺たちは殺風景な駅のホームで、東海道線の到着を待った。

「ガスコンロ」

「ん、どうした、シペラス?」

「あれを、付けっぱなしのまま、私たちの世界に飛ばされたのですか……」

「ははは、そうだぜ。それが勇者パーティで最も悲惨な男、オケヤ・ミフウに起きた悲劇だ」

「なんと、怖ろしい……。貴方がここまでしてこの世界に帰ってきたことの意味、やっとわかりました!」

「あんま、アイツの実家には希望とか持たない方がいいかもな……。奇跡でも起きん限り、詰んでるし……」

 これから俺たちはオケヤの実家のある隣県神奈川・小田原市に行く。
 意外と俺たち、そう遠くないところで暮らしていたんだな。

 東海道線の上りがくると、俺たちは電車に乗り込んで車内の吊革を握った。
 ちなみに電車の存在は予行演習済みだ。

 ガキみたいに外国人風のシペラスが目を輝かすところもまあ、想定内だった。

「すごいですっ、これだけの人間を馬よりも早く遠くに運ぶ仕組み! 私、感動しました!」

「実際すげーよな、電車って」

「はいっ! あ、ここを行くと、デンシャの前の方に行けるのですか!? 一番前に行ってみたいです」

「乗り鉄かよ。ま、いいんじゃねーか」

 サラリーマン風のおっさんに、平日から『イチャイチャしてんじゃねーよ、ウザッ!』って顔をされたけど気にしない。

 どうせ捨てる世界だ。
 世間体なんて捨てることにしていた。

「この先に、勇者様生誕の地があるのですね……! どんなところなのですかっ!?」

「ああ、小田原? 結構でかい都会だな。昔はでかい城があった。あと、カマボコが食える」

「城塞都市ですかっ、それは気になりますっ」

 三島、函南、そして熱海。
 鈍行である東海道線は熱海で乗り換えになる。
 そこからJR本線に乗り換えたら、後は小田原まで一直線だ。

「温泉ですって、ミフネ様!」

「そりゃ熱海だしな。時間あったら帰りに寄ってもいいな」

「え……っ、い、一緒に、ですか……?」

「混浴じゃねーよ……」

 男子高校生が羨望の目で俺たちを見ていた。
 ああ、わかるよ、俺も混浴がよかったよ。

 引き続き乗り鉄状態のシペラスと電車の旅を続けた。
 次はどこの駅?
 あといくつで小田原?

 そう聞かれると、子供の相手をしているような気持ちになったけど、案外それも悪くなかった。
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