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第3章:宮廷の闇、血塗られた神事
第2話:男装の陰陽師は真実を暴かれる2
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後宮の一角、華芳舎と呼ばれる后妃や高位の女官たちが住まう殿舎の庭は、僕たちが到着した時には既にパニックと混乱の只中に叩き込まれていた。
数羽の、鴉に酷似した、禍々しい黒い鳥型の妖魔――陰陽寮の記録にも一切存在しない、未知の変異種――が、カギ爪のように鋭い嘴と爪で、逃げ惑う女官たちに次々と襲い掛かっている!
その漆黒の体からは、見るからに毒々しい靄がゆらゆらと立ち上り、羽根が掠めた草木は、瞬時に黒く変色し、まるで内側から腐り落ちるように、ボロボロと崩れていく。
「……腐食性の妖気か。常世事件以降、こうした厄介な性質を持つ妖魔が現れ始めたとは聞いていたが……まさか、これほどとは」
僕は、目を細めて忌々しげに呟く。
女官たちの絶叫と泣き声が、混沌とした空気をさらに激しくかき乱していた。
美しい庭は、一瞬にして地獄へと変貌している。
(グズグズしてる場合じゃない!)
「朔夜、式神を! 早くしないと、犠牲者が出るぞ!」
真白が、焦りを滲ませた声で叫ぶ。
「ああ、分かっている! 来たれ、夜刀! そして、竜胆丸!」
僕の声に応じ、空間が陽炎のように歪み、白銀の髪を持つ怜悧な剣士・夜刀と、紫色の神秘的な瞳を持つ半妖の少年・竜胆丸が、同時に姿を現す。
式神になってまだ日の浅い竜胆丸は、突然の召喚と、目の前の凄惨な騒乱に、一瞬戸惑いの表情を見せた。
でも、すぐに状況を理解したのか、その小さな手に苦無を握り締め、鋭い眼光を妖魔へと向ける。
よし、いい顔つきだ。
「夜刀は妖魔の殲滅を最優先! 竜胆丸は女官たちの保護と避難誘導を! 真白、お前は結界で避難経路を確保しろ! 急げ!」
僕は、混乱の極みにある状況下でも、冷静に、そして的確に指示を飛ばす。
「おう、任せとけ!」と真白。
「御意」と夜刀。
「……わ、わかった!」と竜胆丸。
三人がそれぞれ力強く応じ、一斉に行動を開始する。
夜刀の抜き放った白銀の剣が閃き、黒翼を翻す鴉型の変異妖魔の一体を、瞬く間に切り裂いた。
真白は懐から霊符を取り出し、呪文と共に投げつける。
符は光の奔流となり、女官たちの逃げ道を確保するための、輝く光の壁を形成した。
ナイス、真白!
竜胆丸は、その小柄で俊敏な体を駆使して素早く立ち回り、恐怖で身動きできない女官たちを庇いながら、襲い来る妖魔を、手にした苦無で巧みに牽制する。
初めての実戦に近い状況なのに、よくやっている。
「紅子殿は、竜胆丸と共に早く避難を! ここは危険です!」
僕自身も符を構え、もう一体の鴉型妖魔と対峙しながら、紅子さんに向かって鋭く声を上げた。
「わ、わたくしは……!」
紅子さんは一瞬、その場を動くことをためらう。
自分だけ逃げるわけにはいかないと思っているのだろう。
それに、何よりも、真白の傍を離れたくないような感じに見えた。
でも、今の彼女がここに残っても、足手まといになるだけだということも、痛いほど分かっているはず。
「紅子、行け! ぐずぐずするな!」
真白の、普段の彼からは想像もつかないほど鋭く、厳しい声が、紅子さんのわずかな迷いを容赦なく断ち切った。
「……っ!」
紅子さんは、悔しそうに唇をキュッと噛み締めると、竜胆丸の小さな背中に導かれるようにして、他の女官たちと共に、必死で避難を開始した。
真白の無事を祈るように、彼女が一度だけ振り返ったのが見えた。
その瞳には、真白への強い想いが滲んでいるように感じて、僕の胸がなぜかチクリと痛んだ。
だが――その瞬間だった。
一羽の妖魔が、夜刀の目にも留まらぬ速さでその剣閃を掻い潜り、まるで闇に溶けるようにして巧みに迂回、逃げる女官たちへと、一直線に狙いを定めた!
紅子さん――その避難する列の、先頭にいた彼女へ、瘴気を黒々と纏った巨大な影が、鋭い爪を振りかざして、猛然と迫る!
「危ないっ!」
竜胆丸が、悲鳴に近い叫び声を上げた。
咄嗟に紅子さんを突き飛ばそうとするが、妖魔の動きは、それよりもコンマ数秒速い。
間に合わない――!
紅子さんの美しい瞳に、死を覚悟した、深い絶望の色が浮かんだのが見えた。
でも……
「――させないッ!」
刹那、僕の体は考えるより先に動いていた。
咄嗟に符を起動させて移動速度を上げる風を纏い、紅子さんの眼前に素早く割り込んだ。
そして、彼女を庇うようにして立ち塞がり、その鋭く、重い爪撃を、全身で真正面から受け止めた。
「グッ……ァ……!」
鈍く、骨に響くような重い音が、辺りに響き渡る。
右胸が、音もなく深く裂かれた。
純白の狩衣が、見る間に鮮血で赤黒く染まり、まるで噴水のように、おびただしい量の血が噴き出すのがスローモーションで見えた。
「朔夜ァァァッ!」
真白の、魂を絞り出すような絶叫が、後宮の空に木霊した。
彼のあんな声、聞くのは初めてだ。
胸が締め付けられる。
「主ッ……!」
夜刀の動きが止まる。
その鋼のような冷静さが、大きく揺らいだのが分かった。
ごめん、夜刀……心配かけたくなかったのに。
激痛に顔が歪む。
だけど、ここで倒れるわけにはいかない。
僕は怯むことなく、裂けた胸を片手で強く押さえつけながら、残るもう一方の手で、素早く印を結ぶ。
怒りと、仲間を、紅子さんを守るという強い決意が、僕の漆黒の瞳に、再び力強い月光色を宿らせる。
「……ここで、必ず、止める……! 破ァッ!」
渾身の力を込めた破邪の術は、銀色の光の奔流となって、目の前の妖魔を真正面から飲み込んだ。
至近距離から、しかもこれほどの霊力を込めて放たれたそれは、変異妖魔の身を内側から抉り、その核ごと、容赦なく砕き尽くす。
凄まじい銀光が炸裂し、妖魔は断末魔の叫びを上げる間もなく、塵となって霧散した。
他の妖魔たちも、そのあまりに強烈な破邪の気配に怯えたのか、あるいは、当初の目的を果たしたと見なしたのか、一斉に黒い靄となって、一面に広がりながら、地面の下へと吸い込まれていった。
数羽の、鴉に酷似した、禍々しい黒い鳥型の妖魔――陰陽寮の記録にも一切存在しない、未知の変異種――が、カギ爪のように鋭い嘴と爪で、逃げ惑う女官たちに次々と襲い掛かっている!
その漆黒の体からは、見るからに毒々しい靄がゆらゆらと立ち上り、羽根が掠めた草木は、瞬時に黒く変色し、まるで内側から腐り落ちるように、ボロボロと崩れていく。
「……腐食性の妖気か。常世事件以降、こうした厄介な性質を持つ妖魔が現れ始めたとは聞いていたが……まさか、これほどとは」
僕は、目を細めて忌々しげに呟く。
女官たちの絶叫と泣き声が、混沌とした空気をさらに激しくかき乱していた。
美しい庭は、一瞬にして地獄へと変貌している。
(グズグズしてる場合じゃない!)
「朔夜、式神を! 早くしないと、犠牲者が出るぞ!」
真白が、焦りを滲ませた声で叫ぶ。
「ああ、分かっている! 来たれ、夜刀! そして、竜胆丸!」
僕の声に応じ、空間が陽炎のように歪み、白銀の髪を持つ怜悧な剣士・夜刀と、紫色の神秘的な瞳を持つ半妖の少年・竜胆丸が、同時に姿を現す。
式神になってまだ日の浅い竜胆丸は、突然の召喚と、目の前の凄惨な騒乱に、一瞬戸惑いの表情を見せた。
でも、すぐに状況を理解したのか、その小さな手に苦無を握り締め、鋭い眼光を妖魔へと向ける。
よし、いい顔つきだ。
「夜刀は妖魔の殲滅を最優先! 竜胆丸は女官たちの保護と避難誘導を! 真白、お前は結界で避難経路を確保しろ! 急げ!」
僕は、混乱の極みにある状況下でも、冷静に、そして的確に指示を飛ばす。
「おう、任せとけ!」と真白。
「御意」と夜刀。
「……わ、わかった!」と竜胆丸。
三人がそれぞれ力強く応じ、一斉に行動を開始する。
夜刀の抜き放った白銀の剣が閃き、黒翼を翻す鴉型の変異妖魔の一体を、瞬く間に切り裂いた。
真白は懐から霊符を取り出し、呪文と共に投げつける。
符は光の奔流となり、女官たちの逃げ道を確保するための、輝く光の壁を形成した。
ナイス、真白!
竜胆丸は、その小柄で俊敏な体を駆使して素早く立ち回り、恐怖で身動きできない女官たちを庇いながら、襲い来る妖魔を、手にした苦無で巧みに牽制する。
初めての実戦に近い状況なのに、よくやっている。
「紅子殿は、竜胆丸と共に早く避難を! ここは危険です!」
僕自身も符を構え、もう一体の鴉型妖魔と対峙しながら、紅子さんに向かって鋭く声を上げた。
「わ、わたくしは……!」
紅子さんは一瞬、その場を動くことをためらう。
自分だけ逃げるわけにはいかないと思っているのだろう。
それに、何よりも、真白の傍を離れたくないような感じに見えた。
でも、今の彼女がここに残っても、足手まといになるだけだということも、痛いほど分かっているはず。
「紅子、行け! ぐずぐずするな!」
真白の、普段の彼からは想像もつかないほど鋭く、厳しい声が、紅子さんのわずかな迷いを容赦なく断ち切った。
「……っ!」
紅子さんは、悔しそうに唇をキュッと噛み締めると、竜胆丸の小さな背中に導かれるようにして、他の女官たちと共に、必死で避難を開始した。
真白の無事を祈るように、彼女が一度だけ振り返ったのが見えた。
その瞳には、真白への強い想いが滲んでいるように感じて、僕の胸がなぜかチクリと痛んだ。
だが――その瞬間だった。
一羽の妖魔が、夜刀の目にも留まらぬ速さでその剣閃を掻い潜り、まるで闇に溶けるようにして巧みに迂回、逃げる女官たちへと、一直線に狙いを定めた!
紅子さん――その避難する列の、先頭にいた彼女へ、瘴気を黒々と纏った巨大な影が、鋭い爪を振りかざして、猛然と迫る!
「危ないっ!」
竜胆丸が、悲鳴に近い叫び声を上げた。
咄嗟に紅子さんを突き飛ばそうとするが、妖魔の動きは、それよりもコンマ数秒速い。
間に合わない――!
紅子さんの美しい瞳に、死を覚悟した、深い絶望の色が浮かんだのが見えた。
でも……
「――させないッ!」
刹那、僕の体は考えるより先に動いていた。
咄嗟に符を起動させて移動速度を上げる風を纏い、紅子さんの眼前に素早く割り込んだ。
そして、彼女を庇うようにして立ち塞がり、その鋭く、重い爪撃を、全身で真正面から受け止めた。
「グッ……ァ……!」
鈍く、骨に響くような重い音が、辺りに響き渡る。
右胸が、音もなく深く裂かれた。
純白の狩衣が、見る間に鮮血で赤黒く染まり、まるで噴水のように、おびただしい量の血が噴き出すのがスローモーションで見えた。
「朔夜ァァァッ!」
真白の、魂を絞り出すような絶叫が、後宮の空に木霊した。
彼のあんな声、聞くのは初めてだ。
胸が締め付けられる。
「主ッ……!」
夜刀の動きが止まる。
その鋼のような冷静さが、大きく揺らいだのが分かった。
ごめん、夜刀……心配かけたくなかったのに。
激痛に顔が歪む。
だけど、ここで倒れるわけにはいかない。
僕は怯むことなく、裂けた胸を片手で強く押さえつけながら、残るもう一方の手で、素早く印を結ぶ。
怒りと、仲間を、紅子さんを守るという強い決意が、僕の漆黒の瞳に、再び力強い月光色を宿らせる。
「……ここで、必ず、止める……! 破ァッ!」
渾身の力を込めた破邪の術は、銀色の光の奔流となって、目の前の妖魔を真正面から飲み込んだ。
至近距離から、しかもこれほどの霊力を込めて放たれたそれは、変異妖魔の身を内側から抉り、その核ごと、容赦なく砕き尽くす。
凄まじい銀光が炸裂し、妖魔は断末魔の叫びを上げる間もなく、塵となって霧散した。
他の妖魔たちも、そのあまりに強烈な破邪の気配に怯えたのか、あるいは、当初の目的を果たしたと見なしたのか、一斉に黒い靄となって、一面に広がりながら、地面の下へと吸い込まれていった。
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