転生陰陽師は男装少女!?~月影の少女と神々の呪い~(ライト版)

水無月 星璃

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第6章:金烏玉兎、宿命との対峙

第3話:男装の陰陽師は東離宮の罠にはまる2

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そこへ、玄道が何食わぬ顔で戻ってきた。

「……これは、何があった」

僕の消耗した様子を一瞥し、その瞳の奥に異様な光が宿るのを、僕は見逃さなかった。

「何やら大きな力を感じたが……そなたか、朔夜」

どう答えればいいか、僕は迷った。
例え玄道がすべて見ていたとしても、素直に答えたくはない。
むしろ問いただしたいのはこちらの方だ。
そんな言葉が口を突いて出そうになる。
飄々とした玄道の顔を直視すれば、そのまま睨みつけてしまいそうだった。

すると、夜刀が僕を庇うように一歩前に出た。

「玄道殿、主は疲れております。申し訳ございませんが、今はご容赦を」

その鋭い視線に、玄道は一瞬だけ表情を歪め、ふっと息を吐いた。
「式神風情が」って聞こえた気がしたけど、気のせいかな。

「よかろう。そなたは休め。ここは後続の者に任せる」
「……はっ。ありがとうございます」

そう答えて、僕は被害者たちを振り返った。

(もっと、強くならなくちゃ……)

夜刀に支えられながらその場を後にする僕の背中に、玄道の刺すような視線が突き刺さっていた……


屋敷への帰り道、僕は今日の出来事を思い返していた。

(やっぱり、全部あの人の筋書き通りだったんだ……)

霊気混じりの妖魔の出現も、陰陽師失踪事件も。
他の事件にもきっと関わっている。
そう考えれば、全ての辻褄が合う。
目的は、僕の力を無理やり覚醒させること。
でも、その先にまだ何かを企んでいる。
その手の上で踊らされているみたいで、悔しくてたまらない。

そんな想いを持て余しながら歩いていると、ふと視線を感じた。
周りを見渡しても、式神たちの他に人影はない。

「主、どうされました?」

夜刀が不思議そうに聞いてきた。

「いや、なんでもない……」

そう答えながらも、纏わりつくような不快な感覚が消えない。

(この感覚、僕は知ってる・・・・……)

そうだ、これは幻視の感覚に近いんだ。
しかも、見る方じゃなくて、見られてる・・・・・方。
一瞬、玄道かと思ったけど、僕の中のツクヨミの力がそれを否定していた。
きっとこれは神か、それと同等の存在の放つ気だ……
なぜかそう思った。

もしかして、姉様……?
そんなこと、考えたくもなかったけど。
慎重に気配を追う。
……違う。
これは姉様じゃない。
記憶の中にある姉様の神気はこんな感じじゃなかった。
少しほっとした。
でも……

(なら、別の神……ってこと……?)

僕は困惑を隠せなかった。

(とてつもなく大きな何かが、動いているのかもしれない……)

玄道や萩壺更衣だけじゃない。
もっと大きな、壮大な悪意に操られているような、そんな不気味な感覚があった。

「朔ぅ……大丈夫かぁ?」

気が付くと、狗が心配そうに僕を見上げていた。
他の式神たちも、一様に心配そうな顔でこちらを見ている。
いけない、いけない。
不確かなことで式神たちを不安にさせるなんて、主失格だ。

「ごめんごめん、大丈夫。何でもないよ」

そう言って微笑むと、狗は「そっかー」と言って無邪気に笑った。
その愛らしい顔を見ていたら、悩んでる場合じゃないって思えた。

もっと強くならなきゃ。
誰かの思惑通りになんて、ならないために。
大切なみんなを、この手で守り抜くために。
僕は夜空に浮かぶ月を見上げ、静かに、でも固く、そう誓った。

◇◇◇

【あとがき】
カオス会議:第6章第3話「男装の陰陽師は東離宮の罠にはまる」編

登場人物
朔夜:神の力をちょっとだけ発動した。心身共に常時限界気味。ついでに恋の波状攻撃にも疲弊中。
真白:青春の甘酸っぱさ漂う忠犬親友+α枠。本編未出演だけど舞台袖でぜんぶ見てた人。
夜刀:主のためなら命もプライドも捧げます。今日も距離感バグってる過保護系式神。
玄道:黒幕か?な陰陽頭。圧がエグいクール系イケメン。本人曰く「まだオジではない」。ストーカー疑惑あり。

朔夜 (胃に手を当てて):
「……なんでこう、毎回“命の危機”を味わわされるんだろうね……陰陽師ってこんなハードモードな職業だったっけ?」

真白 (憤怒MAX):
「てか玄道!オレ、あの人マジで許せねえ!!」

夜刀 (低音でキッパリ):
「同感です。あの者、罠を仕掛けるとは……」

真白 (バチバチに怒りつつ):
「あの妖魔、人間を素材にしてたんだぞ!? どんだけ外道なんだよアイツ!」

夜刀 (冷静に分析しながら):
「主の神力を無理やり覚醒させるために、意図的に刺激を与え続けている可能性が高いですね……愚劣です」

朔夜 (涙目):
「しかも、神力、暴走ギリギリで止めたのに、全然倒せなかったんだけど!?ちょうどいい感じの制御とか、無理いいいいいいっ!!」

真白 (肩を掴んで力強く):
「朔夜、めっちゃ頑張ったじゃん!オレはお前が戦う姿、ちゃんと見てた。すっげえキレイでカッコよかったぞ!!」

朔夜 (顔を赤らめつつ):
「き、キレイとか、カッコよかったとか……急に変なこと言わないでよ……!」

夜刀 (即・割り込む):
「主が神気に包まれたお姿、神々しさと儚さが同居しておりました。実に尊く美しく、永久保存すべき光景でした。というか、すでにしております」

朔夜 (ちょっと引いてる):
「……夜刀、また勝手に録画してたの?」

夜刀 (さらりと):
「もちろんです。あと、絵巻物として写し取りたいですね……」

真白 (牽制かと思いきや乗っかってる):
「お前ズルい!オレにもコピーよこせ!!」

朔夜 (全力拒否):
「絵巻物もコピーも、そもそも録画も絶っっ対ダメ!!」

夜刀 (残念そうに):
「ダメですか(次はバレないように気を付けよう)……では、今までの録画を元に写真集でも作りましょう」

真白 (目を輝かせて):
「朔夜の写真集!?欲しい!!」

夜刀 (バッサリ):
「あげませんよ?」

真白 (ふくれっ面):
「ケチ!!」

朔夜 (ジト目で):
「二人とも……ちょっとキモイ」

玄道 (またいつの間にか背後に立ってる):
「……やれやれ、騒がしいな」

全員:
「玄道!?!?」

朔夜 (ゾッとしつつ後ずさり):
「ちょ、もう勝手にあとがきに出てこないでくれません!?」

玄道 (淡々と):
「組織のトップを呼び捨てか……まあよい。部下の管理も私の責務だからな。様子を見に来たまでだ」

真白 (にじり寄りながら怒りのオーラ):
「お前、これ以上朔夜に何かしたら許さねえからな!?しかも、仲間を犠牲にしやがって……!!」

玄道 (表情変えずに一言):
「これは、朔夜にとって必要な犠牲だ。些末なことは気にするな」

真白 (怒りMAX)
「些末だとっ!?」
 
夜刀 (怒りの微笑):
「……鬼畜な貴方には些末でも、優しい主にとっては心身の負担が著しいのです。主の御身に何かあれば、許しませんよ……?」

玄道 (目を細めつつ嫣然と微笑む):
「ふん、式神風情がよく吠える。その極限を乗り越えてこそ、神の力を制御できるのだ。むしろ感謝してほしいくらいなのだが?」

朔夜 (耳を塞ぎながら):
「無理無理無理、話が通じないタイプだよ、この顔だけイケオジぃいいい!」

玄道 (真面目な顔で):
「私はイケてはいるがオジではない。まだ25だ」

朔夜 (絶望):
「イケてるは肯定しちゃうんだ!?てか、僕からしたら25歳はオジだから!!」

夜刀 (ショック受けてる):
「……主、私の実年齢は彼より上なのですが……」

玄道 (ガサガサと設定集を拡げて):
「ふむ……式神・夜刀、外見年齢23歳。なんだ、見た目は私と2つしか変わらぬではないか」

朔夜 (慌てて):
「だ、大丈夫!2つの差は大きいから!それに夜刀は見た目もっと若く見えるし!全然オジじゃないから!!」

夜刀 (ちょっと頬を染めつつ):
「主……もっと言ってください」

朔夜 (噴き出して):
「……ブフォッ……!!」

真白 (怒り頂点):
「てか、お前らなに和んでんだよ!?おいこら玄道!本気で一発殴らせろ!!いや殴る!!いや爆破する!!」

夜刀 (即座に気を取り直して反応):
「真白殿にまともな指摘をされる日が来るとは……ですが、同意します。やるなら証拠隠滅まで完璧にする必要がありますね」

真白 (ヤル気満々で):
「おう!!」

朔夜 (全力て制止):
「ちょっと待って!?あとがきで事件起こさないで!?本編の筋変わっちゃうから!!」

玄道 (くるりと背を向けて):
「ふふ……勝てると思うなら、やってみるがいい。私はいつでも受けて立とう。だが、今は火急の用があるゆえな……次の“試練”にてまた会おう、朔夜」

真白 (震える拳を握りしめて):
「くっそ~~~逃げられた~~~!!」

夜刀 (静かに抜刀準備):
「次こそは、主に危害を加える前に仕留めます」

朔夜 (膝をつきながら):
「せめて胃が治ってからにして!?あとやるなら本編でやって!?」

◇◇◇

玄道様、もはや黒幕なの隠す気ゼロ。
真白VS.夜刀の恋バトルも過熱して、朔夜の試練は続くよどこまでも!
♡やコメント、お待ちしております!!
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