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12.怜央ルート ー 幸せな時間
僕が選んだのは、怜央だった。
それから三ヶ月が経った。怜央との関係は、恋人として順調に進んでいた。
「はる、今日の講義は早く終わった」
仕事帰りの怜央が、僕のマンションに来る。スーツを脱いで、シャツ姿になった怜央は、大人の色気があった。
「お疲れ様」
「ああ」
怜央が僕を抱き寄せて、額にキスをする。こういう自然なスキンシップにも、だいぶ慣れてきた。
「今日は何が食べたい?」
「怜央の作るものなら何でも」
「それは困るな」
怜央が微笑んで、キッチンに向かう。僕もついていって、手伝おうとすると、怜央が首を振った。
「今日は俺が作る。はるは座ってて」
「でも……」
「いいから」
怜央が優しく僕を押し出す。結局、僕はカウンター越しに怜央の料理する姿を眺めることになった。
手慣れた手つきで野菜を切り、フライパンを振る。その姿は、完全に大人の男性のそれで、ドキドキする。
「見てるだけ?」
「うん。怜央の料理する姿、好きだから」
その言葉に、怜央の手が一瞬止まった。
「……そういうこと、さらっと言うな」
「え?」
「俺が、我慢できなくなる」
怜央が振り返って、僕を見た。その目に熱が宿っている。
料理ができて、二人で食卓を囲む。怜央の作るパスタは相変わらず絶品で、思わず笑顔になる。
「美味しい」
「よかった」
怜央が満足そうに微笑む。食事をしながら、今日あったことを話す。僕は最近、叔父の紹介で小さな保育園でアルバイトを始めた。
「今日ね、三歳の子に『せんせいかわいい』って言われちゃった」
「事実だな」
怜央が即答する。
「そういうとこ、怜央は昔から変わらないね」
「昔から?」
「うん。保育園の時も、怜央は素直じゃないのに、たまに真っ直ぐなこと言うから」
僕が笑うと、怜央は少し照れたように視線をそらした。
「俺は、はるに対してだけは素直でいたいんだ」
その言葉に、胸が温かくなった。
食後、ソファに並んで座る。怜央が僕を抱き寄せて、膝の上に座らせた。
「怜央……」
「こうしていたい」
怜央が僕の髪を撫でる。その手が、優しい。
「俺、ずっと夢見てたんだ。こうやって、はるを抱きしめることを」
怜央が僕の首筋に顔を埋める。
「十三年間、ずっと」
「怜央……」
「はるがいない間、何度も夢に見た。はるの笑顔、声、温もり。全部」
怜央の腕が、僕を強く抱きしめる。
「だから、今こうしていられることが、信じられないくらい幸せなんだ」
その声が震えていて、僕も怜央を抱きしめ返した。
「俺も、幸せだよ」
「本当に?」
「うん。怜央と一緒にいられて、本当に幸せ」
そう言うと、怜央が僕の顔を両手で包んだ。
「はる……触れていい?」
「え?」
「もっと、触れたい」
怜央の目が、熱を帯びている。
「う、うん……」
うなずくと、怜央が僕の唇にキスをした。優しく、でも情熱的なキス。
「んっ……」
怜央の舌が、僕の唇を割って入ってくる。深いキス。息ができなくなって、怜央にしがみつく。
「はる……」
怜央が僕を抱き上げて、ベッドルームに向かった。
ベッドに降ろされて、怜央が僕の上に覆いかぶさる。
「怖いか?」
「ううん……」
首を振ると、怜央が優しく微笑んだ。
「俺、はるを大切にする。だから――」
怜央が僕のシャツのボタンを外し始める。一つ、また一つ。ゆっくりと、丁寧に。
「怜央……」
「綺麗だな、はる」
怜央が僕の肌に触れる。その手が、熱い。
「俺だけのもの、だろ?」
「う、うん……」
「ずっと、離さない」
怜央が僕の首筋にキスを落とす。鎖骨、胸、お腹。ゆっくりと降りていくキスに、体が震えた。
「あ……怜央……」
「声、我慢しなくていい」
怜央が僕のズボンに手をかける。
「全部、俺に見せて」
その夜、僕たちは初めて結ばれた。
怜央の優しさと、情熱と、十三年分の想いに包まれて。
僕は、確信した。
怜央を選んで、よかったと。
****
翌朝、目が覚めると、怜央の腕の中にいた。
「おはよう」
怜央が微笑んで、額にキスをする。
「おはよう……」
「昨日、大丈夫だったか?」
「う、うん……」
顔が熱くなる。怜央が楽しそうに笑った。
「可愛いな」
「か、からかわないで」
「からかってない。本当に可愛いんだ、はるは」
怜央が僕を抱きしめる。
「俺の恋人は、世界一可愛い」
その言葉が、嬉しかった。
怜央との日々は、幸せだった。
時々、他の五人と会うこともある。彼らは少し寂しそうだったけど、僕の選択を尊重してくれた。
「はる先生が幸せなら、それでいい」
蒼はそう言って笑った。
「でも、怜央。はるを泣かせたら、許さないから」
その言葉に、怜央は真剣な顔でうなずいた。
「わかってる。俺、はるを一生守るから」
そして今日も、怜央は僕の隣にいる。
「はる、愛してる」
「俺も、愛してる」
二人で微笑み合った。
これが、僕と怜央の、幸せな日常。
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