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16.蒼ルート - 知的な愛
僕が選んだのは、蒼だった。
それから三ヶ月が経った。蒼との関係は、知的で、穏やかで、でも情熱的だった。
「先生、ただいま」
蒼が静かにマンションに入ってくる。医学部に通う蒼は、いつものように本を抱えていた。
「おかえり、蒼」
「ええ」
蒼が僕に近づいて、額にキスをする。こういう自然なスキンシップが、蒼らしい。
「今日の実習、どうだった?」
「興味深かったです」
蒼が眼鏡を外して、目を細める。
「人体というのは、本当に複雑で美しい」
「蒼、本当に医学が好きなんだね」
「ええ。でも」
蒼が僕の手を取った。
「先生の方が、もっと好きです」
その言葉に、胸がドキドキした。
蒼はキッチンに立って、手際よく料理を始める。医学の知識を活かしてか、栄養バランスを考えた献立をいつも作ってくれる。
「今日は、先生の好きな鮭を使います」
「ありがとう」
「当然です。先生の健康管理は、僕の仕事ですから」
蒼が微笑む。その笑顔が、優しい。
料理を作りながら、蒼は今日読んだ論文の話をしてくれた。僕には難しい内容だけど、蒼が嬉しそうに話すから、聞いているだけで幸せだった。
「先生、退屈ですか」
「ううん。蒼が楽しそうだから、嬉しいよ」
「そうですか」
蒼が少し照れたように視線を逸らした。
夕食の時間。二人で向かい合って座る。
「美味しい」
「よかった」
蒼が満足そうにうなずく。食事をしながら、静かな時間が流れる。
「蒼」
「はい」
「蒼は、なんで医者になりたいの?」
その質問に、蒼は箸を置いた。
「先生のためです」
「え?」
「先生がコールドスリープから目覚めるために、医学の進歩が必要だった。だから、僕も医学を学ぼうと思いました」
蒼が眼鏡を直す。
「先生を救いたかった。それが、僕の原点です」
その言葉が、胸に響いた。
「蒼……」
「でも、今は違います」
蒼が僕を見た。
「今は、先生と一緒にいたいから。先生を守りたいから、医者になりたい」
蒼が僕の手を取った。
「先生の全てを、守りたい」
その真剣な目に、心臓が跳ねた。
食後、ソファに並んで座る。蒼が本を開いて読み始めたので、僕も隣で本を読んだ。
静かな時間。でも、二人でいるだけで、満たされていた。
「先生」
蒼が本を閉じた。
「はい?」
「少し、話してもいいですか」
「もちろん」
蒼が僕の方を向いた。
「僕は、先生がいない十三年間、ずっと考えていました」
「何を?」
「先生との未来を」
蒼が眼鏡を外した。
「先生が目覚めたら、どうやって愛を伝えるか。どうやって、先生を幸せにするか」
蒼が僕の頬に触れる。
「十三年分、考えました」
蒼が僕にキスをした。優しく、でも深いキス。
「んっ……」
「先生、今夜は僕に時間をください」
蒼の目が、熱を帯びている。
「うん……」
うなずくと、蒼が僕を抱き上げてベッドルームに向かった。
ベッドに降ろされて、蒼が僕の上に覆いかぶさる。
「先生、綺麗ですね」
蒼が僕のシャツをゆっくりと脱がせる。その手つきが、医者らしく丁寧だった。
「蒼……」
「僕、先生の体、全部知っています」
蒼が僕の肌に触れる。
「どこを触れば気持ちいいか。どこが敏感か」
蒼の指が、僕の体を的確に愛撫していく。
「あ……蒼……」
「声、聞かせてください」
蒼が僕の首筋にキスを落とす。鎖骨、胸、お腹。ゆっくりと降りていく。
「んっ……」
「先生の反応、可愛いです」
蒼が僕のズボンを脱がせる。
「僕、十三年間、この瞬間を想像していました」
蒼の手が、僕の敏感な場所に触れる。
「あ……だめ……」
「大丈夫です。僕が、ちゃんとします」
蒼の声が、優しい。
その夜、蒼の知的で計算された愛撫に、僕は何度も絶頂に達した。
蒼の冷静さと、情熱と、十三年分の想いに抱かれて。
「先生……愛しています」
蒼が何度もささやいた。その声が、耳元で震えて、胸が熱くなった。
「俺も……愛してる……」
僕が答えると、蒼が強く抱きしめてくれた。
****
翌朝、目が覚めると、蒼が僕の顔を見つめていた。
「おはようございます、先生」
「おはよう、蒼」
「よく眠れましたか」
「うん」
「それはよかった」
蒼が微笑んで、僕の額にキスをする。
「昨日、幸せでした」
「俺も」
「これから、もっと幸せにします」
蒼が眼鏡をかけて、真剣な顔で言った。
「先生の全てを、僕が守ります」
その言葉が、心強かった。
蒼との日々は、知的で穏やかだった。
時々、他の五人と会うこともある。颯真と湊は少し驚いていた。
「蒼かぁ。意外だな」
「先生は蒼がタイプだったか」
「何が意外ですか」
蒼が冷静に聞き返す。
「いや、蒼ってクールだから、恋愛とかしないのかと思って」
「そうそう」
「僕だって、恋はします」
蒼が僕を見た。
「特に、先生には」
その言葉に、みんなが笑った。
「でも、先生を泣かせたら許さないからな」
怜央が言った。
「わかっています。先生を泣かせるつもりは、ありません」
蒼が真剣な顔で答えた。
そして今日も、蒼は僕の隣で本を読んでいる。
「先生」
「うん?」
「愛しています」
「俺も、愛してる」
二人で微笑み合った。
これが、僕と蒼の、幸せな日常。
****
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