マッスルパスから始まる異世界奇術譚

csilacpass

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 そう、これはこの異世界で後に起きる大きな戦いの幕開けを告げる狼煙、そう、それだけのことでしかなかったのである……。

ドォオオン!! 荒野に響き渡った音、それは大地を穿ち衝撃で土煙を上げるような破壊的なものだった。それに巻き込まれたのはあの筋肉バカ野郎こと工藤である……きっと今頃は大けがを負っているだろうな。ざまあみろ!
「やったね! 後輩君!!」
いや俺は何もやってないんですけど……、と言いかけたところでやめた。ここは異世界、そして先輩は俺の先輩で俺は先輩の後輩だ。つまりこの先輩の言うことは絶対なのである。だから俺はこう答えるしかない。
「そっすねー……」
そうこうしている間に土煙が晴れてきた……そしてそこには男が数人立っているのが見えた、いや待て、複数人いるぞ!! あれは何だ!? 人間のようにも見えるがこんな何もない荒野でわざわざ人間が現れるなんてことがあるのだろうか? それにあの筋肉野郎はどうなったんだ……? いや待てよ、よく見ればあいつらの服に紋章のようなものが刻まれているな、もしかしてこいつらはこの世界の警察かなにかなのか……?
「あ、あれってもしかして……!?」
あ、先輩も気づいたみたいだ。だが先輩はその男たちの方に向かっていった。
「お、おい先輩……!?」
「しーっ!!」
なんだこれは!? もしかして俺たちも犯罪者として捕まるのだろうか……? いや、まさかそんなはずはない。だって俺たちは何もしていないわけだし、そもそもあいつらは警察だろう? そうに違いない! ***

「これはあなたたちの仕業ですね?」
あ、先輩が敬語を使ってる!? ということはやはりこいつらが……この世界の警察官かなにかで合ってたのか。しかしこんなところに何の用事があるっていうんだ……? 俺みたいな男二人と女一人の三人組に何の用事があるというのだろうか……
「この荒野まで来て私たちになんの用でしょうか、私たちがあなたたちに何かしましたか?」
あ、先輩も敬語使ってる。やっぱりあの人たち警察なのか? でもなんか雰囲気的に違うような気もしなくもないが……
「……それはこちらのセリフだ」
え……? 今なんて言ったんだ? 俺たちに向かって言ったのか? いや、そんなはずはないだろう、だって俺たちは何もしていないし、そもそもこんな何もないところで出会うことなんてないだろう。だがしかし、たしかにあいつらはそう言ったのだ。
「何が言いたいんですか!?」
先輩、声が震えてる……そりゃそうだろう、あいつらは俺たちに向かって言ってきてるんだから怖いに決まっている。
「とぼけるな! 貴様たちのせいで我々の計画が台無しだ!!」
え、計画って何!? いや確かに計画みたいなものはあったけれどもそれは決してこの世界を壊すようなものではないはずでして……ってかなんでばれてんだよ!! ***
「いいか、貴様らに一度だけチャンスをやる!」
「……それで私たちは何をすれば良いのでしょうか」
そんなの決まってるだろう? と男は嘲笑った。
「貴様らもマジックで我々と勝負しろ!」
「……なんでそんなことをしなきゃいけないんですか?」
「ほう、その余裕はいつまで続くかな……?」
くっそなんだよこれ!? なんでこんなことになってんだよ……。俺たちはただここから脱出したいだけであって、それで先輩と一緒に仲良く過ごせるような場所さえあればそれでいいんだ。いやもういっそ先輩と二人っきりの時間が永遠に続けば良いんだけど……ってそんなことはどうでもよくて今考えるべきなのはこの状況をどうやって乗り切るかだ!! もうすでに奴らが俺たちを殺そうとしていることは明らかである。じゃあ逃げるしかない、しかし先輩を危険に晒すわけには……いやもうこいつと心中して死ぬしかねぇのか……?
「さあ、どうする? 勝負を受けないならば即刻ここで貴様らを殺す!」
「……わかりました、その勝負受けましょう」
「ほう、物分かりがいいじゃないか。では早速始めようではないか!!」
あ、やばいこれ絶対死ぬやつだわ……でも先輩はやる気だし俺がやるしかないよな……
***
「ルールは簡単さ、我々が出すお題に対してマジックで答えてもらう、そしてそれを我々が採点する、その点数が高かった方のチームが勝ちだ。」
なるほどな……っていや待てよ!? これ普通に考えて俺たちに勝ち目なくね……? いやでもあいつらがどんなお題を出すかによって変わってくるのか? いやでもそれでも俺たちの勝利は絶望的だろう……
「では早速始めるぞ! 第一問!」
あ、なんか始まった。ってかこれまじでやるのか? 先輩もやる気みたいだけど俺としてはやりたくないんだがなぁ……
「ではいきます、まずは私からです。」
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