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16話
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だんまりなままの月を見ると、一見無表情に見える顔で太陽を見ていた。だが、無表情の裏で、何かを探ろうとしているようにも見えた。
ふてくされた金星がドスドスと足音をたてながら進む後を水星と火星も追いかける。
見られたことに気付いた太陽とにらめっこを続けている月をせっついて3人を追いかけた。
「どうしたの?」
何かを探ろうとしていたかのような月の様子について聴いても、「いえ……」と、生返事だけして目をそらすので、気にすることをやめた。
「ただ、哀れなかただと……」
気にしないことにしたときに言ってきたので、少しうつむいた横顔を見ると、何かを言いかけて、首を横に振り、黙り込んだ。
「なんで分かるの?」
差し出がましい質問だっただろうか。
月は言われたことを言葉通りに受け取ることが多いので、へんに深読みされることはないだろうが、月の様子を見る限りあまり聞かれたくないことかもしれない。
暫く沈黙したまま、進んでいると、
「分かりますよ。昔の私と同じですから」
自傷気味な笑みを浮かべて、右腕をさすりながら言われた月の言葉に、地球は炎の中で見たことのある少女の面影を見た気がした。
ふてくされた金星がドスドスと足音をたてながら進む後を水星と火星も追いかける。
見られたことに気付いた太陽とにらめっこを続けている月をせっついて3人を追いかけた。
「どうしたの?」
何かを探ろうとしていたかのような月の様子について聴いても、「いえ……」と、生返事だけして目をそらすので、気にすることをやめた。
「ただ、哀れなかただと……」
気にしないことにしたときに言ってきたので、少しうつむいた横顔を見ると、何かを言いかけて、首を横に振り、黙り込んだ。
「なんで分かるの?」
差し出がましい質問だっただろうか。
月は言われたことを言葉通りに受け取ることが多いので、へんに深読みされることはないだろうが、月の様子を見る限りあまり聞かれたくないことかもしれない。
暫く沈黙したまま、進んでいると、
「分かりますよ。昔の私と同じですから」
自傷気味な笑みを浮かべて、右腕をさすりながら言われた月の言葉に、地球は炎の中で見たことのある少女の面影を見た気がした。
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