Between the Life and the Death

かみつ

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スズの正体

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我は全知全能の神である。

「人」を作ったのも

我々、神だ。

「人」には感情を持たせた。

『徳』を積ませるために

もっとも辛い道が

苦痛の人生が

1人だけに用意してある。

だが、「人」は

なかなかその道をゆく境地には

いたらない。

それゆえ、我がその道をゆく。

我は神なれど、

人間に生まれし時より

神である記憶はなくなり

本物のただの「人」になる。

それゆえ、「人」と等しく

辛く悲しみ苦悩する。

神でありながらも

ただの「人」となるのだから

自殺もしようとする。

生きる気力を失う。

実際、自殺をすれば、

何度もまた振り出しに戻り、

同じ人生を繰り返す。

乗り越えるまで

何度も。

地獄である。


神である我は

「死」によって自分が神であったことを

思い出す。

何度も「人」として生きたが、

我でさえ、一度は自殺した。

お笑いものだ。



他の神々には

「何故そのようなことをするのか」

と疑問視される。

部下たちには

「あなた様が行かずともよいのでは
ありませんか?」

と心配されているようだ。

だが、決まりごとなのだ。

もっとも辛い人生を

1人はゆかせねばならない。

しかし、それに値する程の

「徳」を積める者は

なかなか現れないのだ。

実際、「人」にそこまでさせずとも

良いではないかと我がゆく。

だが、「徳」を積ませるに
値する人間が現れる場合が
希にある。

今回は「凛太郎」だったようだ。


我の酔狂な行動に

たまには「幸せな人生を」と

部下たちが
『生と死の狭間』を用意したようだ。

狭間にいたのだ。

我も自分が神であることを

半分は思い出していた。

そして部下たちの気遣いを

察したのだ。

「人」として「幸せ」を知ることもまた

必要かと、

心よく我は受け入れた。


凛太郎には20年「徳」を積んでもらった。

その間に、転生した我は

普通の家庭で愛され育った。

20年後に

凛太郎との記憶を取り戻すことを

部下たちによりインプットされた。

「これは私たちからの神様への
プレゼントです。
お受け取り下りさい。」
と。

これから凛太郎も我も

苦悩から解放され

二人で生きて行く。

「人」として。


「人」の人生は短い。

だが苦痛の時間は永遠にも感じられる。

すまぬが、

凛太郎が先に逝くまで、

道に選ばれし者よ、

耐え抜いていておくれ。

凛太郎亡き後は

また我が引き継ごう。






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