近所のスーツを着たストーカー女の夫として、永久就職させられる話

やまなみ

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3.強制的にストーカー女の夫にされてしまった。もう逃げられない。

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おにいさんを恐怖で支配して、私の檻に一生閉じ込める。



そんなプランBを実行しますっ。



ベストな結果はらぶらぶ同棲生活でしたし、できればこの手は使いたくなかったのですが…。



まあ、仕方ないですね。


あなたが手に入らないことに比べれば、恐怖を抱かれることはまだ我慢できますからね。

あなたを手に入れるためなら、私は悪魔にだってなります。




覚悟してくださいよぉ…?

絶対に、逃がしませんからね。


あはは。





…あっ!

逃げるんですか?


心が壊れかけでも、恐怖は誤魔化せないみたいですねえ。

あはははは!



どこへ逃げるっていうんです?

ここは貴方の部屋ですよお?



おお、なるほど!
外に出るつもりなんですねえ!

外に出て、助けを呼ぶと。



いいじゃないですか。

ぜひ出てみてください。



そうそうそうそう、玄関から出ますよね、普通は。


で?

そのあとは?


ほら、もう扉に手をかけてるんだから、早く外に出てみたらどうなんですか?

うぷぷっ。



あれあれあれあれ~?
おっかしいなあー?



どれだけ力を入れても、扉がビクともしないみたいですねえ?


どうしてかなあ。

おにいさんの力だったら、そんな扉簡単に開くはずなのになあ。




あ!
そっかあ。


もしかしておにいさん、本当は逃げるつもりがないとか?

本当は私と一緒に居たくて、私と愛し合いたくて。

でも普通に私を求めてしまったら、私が追いかけてくれないから。
私がもっとおにいさんに熱を上げれなくなっちゃうから。

だから、私に追いかけてもらえるように、ワザと私を怖がる素振りをして、私から逃げるフリをしているんですね?


そうなんですね?

あー、やっぱりおにいさんって、可愛いなぁ。
こんな可愛い人、他の誰でもない私が保護して飼ってあげないとだなあ!

ほんと、おにいさんって罪な人!




…ぷっ…あははははははははは!



なぁーんちゃって!

そんな訳ないですよねぇぇ!!




怖がりで可愛いくて、愛しいおにいさん!



そんなあなたの全てが大好きですよぉー! 

そうやって青ざめて焦っている顔も!



はははははは!

久しぶりに心が生き返っているみたいですねえ。  


恐怖って、本能に根ざしてるんですね。

感情が壊れていたおにいさんが、こぉんなに表情豊かになるなんて!

やっぱり恐怖って、良薬なんですね!


また一つ勉強になりました。

あはは!




…さてさて。

どうやらこれ以上はどうやっても扉が開かないみたいなので、ここでネタバラシしときましょうかね。



扉には、私があらかじめ細工をしてます。

遠隔で扉のロックを制御できる仕組みを仕込んでいたんですよ。


私が許可しない限り、あなたはその扉を開けることはできません。


扉だけじゃないですよお?


この部屋のありとあらゆる所に、おにいさんを閉じ込めたり、監視するための仕掛けを施してあるんです。



「いつの間に?」ですか。



そりゃあ、いつでもですよ。



だって、私はおにいさんの全てが欲しい。

四六時中ずぅーっと、あなたを監視していたいし、私の手が届くところに閉じ込めて管理したいんです。


おにいさんが寝ていようがご飯食べていようが自慰していようが関係なく、いつでもどこでも何をしていようと、ずっとあなたを見ていたい。



だったらそれを実現させる仕掛けは、絶対に必要ですよね?



だから時を選ばず、ずっと細工してました。

私にとっては、昼過ぎに紅茶をいれるのと同じくらい当たり前のことですよ。


あ、でもおにいさんが部屋で寝ているときは、おにいさんの身体に夢中になっちゃうこともしょっちゅうでしたが…。



…また顔が青ざめちゃいましたねぇ…くふふ。

かわいいんだから。




それでですねぇ……おにいさん。

物理的に逃げられないことが分かった所で、さらに悪いお知らせです。



もう一つ、おにいさんを私に閉じ込めるネタがあるんですよ。



ほら、これ。


見えましたね?

そう、写真です。


けっこう綺麗に撮れてるでしょ?



私、カメラも上手いんですよ。


なぜかって?

そりゃあ、おにいさんという最高の被写体を常に眺めて、ありとあらゆる角度や構図でおにいさんを保存していましたからねえ。

自然とカメラも手慣れちゃいますよね。



そのおかげで、写真も綺麗に撮れるわけです。



見てください、このおにいさんの姿。


どう見ても私を公園で襲っているようにしか見えませんよねえ?


夜の公園で泣いて嫌がる私を押さえつけて、犯そうとしているレイプ魔。

それがおにいさん、あなたなんですよ。


この写真を見れば、誰だって疑いなしにそう思いますよねえ。



これが世に出れば…おにいさん、性犯罪者ですよお。
せ・い・は・ん・ざ・い・しゃ。


社会的な死は免れないですねえ。


ははっ、怖がっちゃって!
かわいい。



まあ、実際はレイプなんて全くの誤解なんですがね。


もちろん私の仕込みです。


以前公園であなたを膝枕したじゃないですか?
その時に撮ったんです。



えへへ、本当に無防備で、可愛かったんですけど。

いくらなんでも無警戒すぎでしたよね。



私が寝ているおにいさんを動かして、最高の脅迫写真を用意できたのも、その隙があったからなんです。



分かっていると思いますが…。


もし私を拒んだら、この写真をバラ撒きますからね。 



だから、分かってますよね?
おにいさん……。


私の愛を、受け入れてください。



………。

…なるほど。

「俺が出勤しないことを会社の人間が怪しんで、俺がいなくなったことがバレる。

こんなこと、いつまでも世間にバレずに続くわけがない」と。



まあ、確かに。
その懸念はごもっともですねえ。

おにいさんのいるようなブラック企業は、待遇が低いくせして、やたら社員への拘束が強いですからねえ。

会社経由で私の所業がバレるのはあり得る話です。



…ま、それも私がそんじょそこらの二流のストーカーだったら、の話ですが。




当然ですが、会社についても対策済みですよお。



あなたの職場、もうじきなくなるでしょうから。


おっ!
驚いた顔をしてますね。


あなたが色んな感情を私に向けてくるのが、こんなに嬉しいなんて……。

ふふ、そうです。



おにいさんの勤め先の会社、ちょっと調べただけで不正や違法行為のオンパレードってのが分かりましてね。

労基を守らないのは当然のごとく、脱税やパワハラでの自殺沙汰とか、社長の不倫まで。

ありとあらゆる悪事の証拠を掴んだんですよね。


その全てを、昨日の夜に然るべきところに送っておいたんですよねえ。

今頃会社の人達は大混乱でしょう。



本当は力尽くで会社の人間一人一人を処刑しようかと思ってたんですが。

思っていたよりも悪の巣窟だったんで、予定を変更しちゃったんですよ。
私も自分の手を汚さないほうが楽ですからねえ。


私が手を下さなくても、あなたにパワハラをしていた社長や上司はブタ箱行きは確定でしょうし、今後の社会復帰ができないように布石も打っておきました。

たぶん、連中には死ぬよりも苦しい生き地獄が待っているでしょうねぇ~。

ふふふ。



さぁーて。

これであなたを世間とつなぐ会社は、跡形もなく消えちゃいました。

あなたは天涯孤独だから、他にあなたの行方を探す人もいない。




だから。

あなたに残された選択肢。



もう、おわかりですよね?




これから一生。

私の管理下で、私が用意した安全の中で、私の作った料理を食べて、私の用意した清潔で便利な部屋で暮らして、私だけの愛を一身に受ける生活。

それがおにいさんにとって最善の選択なんです。



私は喜んであなたに尽くし、あなたを愛します。



だから、私のものになってください。

私を選んでください。



………。

……………ふふ。


ふふふふふふ。
うふふふふ!あははは!あーっはっはっはっは!!



……ああ。

なんて幸せなんでしょう……!



 おにいさんが私を受け入れてくれた!


もうおにいさんと離れる時間もなくなって、直接この目でおにいさんを見ることができる。

私を認識して、私の行動に反応するおにいさんを見ることができる…!



やった!
やりましたよぉ……!


ああもう……もう私は胸がいっぱいです……!

涙があふれて止まりません…!




おにいさん、愛しています、愛してますよ。




ねえ……あなたはどうですか……?


おにいさんも私を愛してくれていますか?

あはは…!



やっぱりまだ怖いですか?


仕方ないですね、あなたを手に入れるため、わざと振り切っちゃいましたからね。



でも、いいんです。
時間はたっぷりありますから。

これから、ゆっくり時間をかけて、おにいさんを私の愛で染め上げてあげます。


身も心も全部。
私を求めて、私がいないと生きていけないくらいにしてあげます。



だから……。

覚悟しててくださいね?
おにいさん♡




…いえ、もうおにいさんではないですね。

せっかく一つになれたんだから、こう言い直しましょう。



心から愛してます。

ずっと、ずっと、ずぅっとあなただけを見ています。


だ・ん・な・さ・ま♡




======
あとがき・解説

最後。
ストーカー女の家庭に永久就職が決まりました。


一応おにいさんのバックグラウンドについて。
「なんでそんなやばい会社で働いているの?」って感じですが、ざっくりと↓の事情を設定として考えています。


両親が到底返せない額の借金を負って自殺

両親が借金を借りていた相手が、やばい闇金や反社だった

残されたおにいさんは借金返済のため、借金の取り立て人経由で、強制的に反社の息のかかっている会社で働かされる
(拒否したらドラム缶にコンクリ詰めで、東京湾に沈められる状況)

逃げられないので、法律を余裕で違反するような超絶ブラック労働を強制される

どれだけ働いても賃金が低すぎて(会社がそう仕向けて)、一生奴隷労働確定

おにいさんの心と表情が死ぬ

ストーカー女さんに目を付けられる ★ここからストーカー女さんの話した通り★

普通にテンションもやばいし、頭がおかしいストーカー女さんですが、もともとのおにいさんの人生が詰んでいたので、
ストーカー女さんに飼われるほうがマシという地獄。

まあ愛情は確かに本物なので、この後の生活でおにいさんが幸せになることを祈りましょう。
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