騎士を目指すは元OLです

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3章 騎士養成学校

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入学式の翌日から始まったカリキュラムは、懐かしいの一言だった。まるで、高校生活をもう一度体験出来ているような贅沢な気持ちになる。

(あーそうそう。青春ってこんな感じだった…)

大人になって、もう一度高校生に戻れたら…なんて思ったことは沢山あったけど、本当になれるとは思わなかった。まさか、異世界で。しかも男の子として。
人生って、何が起こるか分からない。

基本的な1日の流れとして、朝からお昼までは体力作りの走り込みや素振りなどの基礎の基を黙々と行い、お昼休憩、午後の眠くなる時間に座学、夕方まで型の練習や模擬戦、という流れだ。高校に例えるなら、かなり体育の割合が多い授業内容となるが、まぁ大体はこんな感じだ。
一年は前期と後期に分かれ、間に2か月くらいの帰省期間があり、後期はカリキュラム内容がもう少し実戦を意識した内容に変わるらしい。

「あ~…、座学だりぃよなー。飯食った後だとねみーし!もっと対戦形式の練習させてくんねーかなぁ」

食堂で私と、同室のリビア君とお昼ご飯を食べ始めたルドルクがそう愚痴をこぼす。

『そうかな?私は座学も面白くて好きだけど』

特にこの国の歴史や、魔法の接近戦への応用法など、この世界独自のことを学ぶのは本当に楽しかった。

「はぁ~。ジオさんは勉強も出来て、剣の腕も強くって…文武両道でカッコいいですね!それに比べて僕は…」

斜め前に座っていたリビア君は、しょんぼりと肩を落とす。今日の走り込みの時も最後尾あたりにいたし、あまり体力には自信がないようだ。

「まだ、始まったばっかじゃん!そう落ち込むなよリビア!」

『そうだよ。遅くまで自主練したりリビア君が努力してるの、私たち知ってるよ。一緒に頑張ろう?』

「うぅ…お二人とも~」

うるうると涙目のリビア君を励ます。
カリキュラムが始まって早一週間。入学出来たことによる緊張とハイテンションが落ち着いてきた頃、少しずつ実力の差が見え始めていた。

(ここから…マックさんの言う通り、実力と信念がないと続かないってこと、か)

私にとっての信念とは何なのか、考えた時に頭に浮かんだのは、リンデバームさん、スフィアさん、ディーンさん、クラリッサさん…。お世話になった人達の笑顔だった。

(私が今、ここでやりたいことが出来てるのは側にいてくれた人たちのお陰なんだよね…。うん、私は恩返しがしたいな)

騎士になりたいと思った最初の理由は、安定した職業だったからだけど、この世界で、自分だけじゃなくて大切な人も守れるように強くなって、今までもらった恩を少しでも返したい。そう思うのだった。

「…ジオ。隣いいか?」

決意を新たにし、目の前のカツレツを口に放り込もうとした時、聞き覚えのある声がした。

『はひ?』

モグモグしながら振り向いた先には、ゼノ先輩の姿が。その姿に私の正面に座っていたルドルクとリビア君がポカンとする。急いでごくんと飲み込んだ後、どうぞと隣の席を勧める。
こくりと頷くと、無言で座るゼノ先輩を二人に紹介した。

『えっと、2年のゼノ・ベルサイド先輩だよ。入学式の日にたまたま知り合って…。あ、ゼノ先輩。こちら同室のルドルクとリビア君です』

先輩という言葉にピシリと姿勢を正した二人は頭を下げてから挨拶する。

「ジオと同期のルドルク・ボトムっていいます!よろしくお願いしまっす!」

「あ、えとリビア・ビーです…」

二人の挨拶には反応せず、もくもくとご飯を食べ進めるゼノ先輩。無反応にリビア君は怯え、ルドルクが再度話しかけようと試みているのに、慌ててフォローする。

『あー…、基本、ゼノ先輩はこんな感じみたいだから!私も一番最初は無反応だったし!』

そうなんだと、なんとか納得してくれる二人。人知れず気苦労を感じていると、ゼノ先輩が咀嚼の合間に話しかけてきた。

「…どうだ?ここには慣れたか?」

ちらりとこちらに向ける視線は、まだ感情を読み取ることは出来ない。ただ、口調は穏やかに聞こえた。

『まぁ、そうですね…』

「まだ実技は少な目っすけど、楽しんでます!」

『ふふ…、ルドルクは体が動かし足りないって感じだよね?』

ルドルクと笑い合ってると、すっと視線を外した先輩はポツリと、そうか…とだけ言い、ゆっくり席を立った。既に先輩のお盆の上は空になっている。

(食べるの早っ)

「先輩、食べるの早いっすね…。って!ジオ!リビア!そろそろ休み終わるぞっ」

『えっ嘘!?』

気づくとかなりの時間が経っていた。急いで残りをかっ込んでいると、先輩は無言で去っていった。

「先輩、ジオの様子見にきたって感じだったけど、何か用だったんかな?」

口を動かしながら器用にルドルクが喋る。

『どうなんだろ…。まだ会って間もないし、私もよく分かんないや』

先輩の謎な行動に皆で首を傾げつつも、急いでお昼を終わらせるのだった。

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