無頼少年記 黒

ANGELUS

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煉獄冥土編

エピローグ:開戦!!

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 御玲みれいの一件から、五日ぐらいが経った。


 アレから五日間、特にデカい何かは起こらず、俺はギリギリまで道場で修行に励んでいたが、ついに。ついにこのときが来てしまった。


 念願の、三月十六日からずっと夢見てきた、親父との最終決戦の日である。


「お前ら、準備はいいな?」


 流川るせん本家邸新館こと俺の自宅、そのリビングに集まったみんな。御玲みれい弥平みつひら久三男くみお、カエル総隊長、シャル、ナージ、ミキティウス、パオング、あくのだいまおう。


 そして―――。


澄男スミオ様。オ久シブリデゴザイマス」


「もしかしてお前……」


「私ハ、カオティック・ヴァズRev.Ⅱデス。今後トモマタゾロ、ヨロシクオネガイイタシマス」


「……だと思った」


 久三男くみおの横に立つ、紫色の髪の毛とゴツイ白と緑の装甲を身につけた大男。


 一ヶ月くらい前、久三男くみおが俺を抹殺するために送りつけてきた対俺抹殺用アンドロイド、カオティック・ヴァズは俺が粉々に跡形もなく木っ端微塵にしてやったのだが、久三男くみおがプログラムと記憶はバックアップをとってたらしく、機体だけを一から作り直して親父との最終決戦要員に加えるってハナシだった。


 アレから五日、久三男くみおはずっと自室に引きこもってコイツの復元してたようで、ようやく今日、みんなにお披露目という形になったのだ。


 久三男くみお曰く機体は全体的にアップグレードしたらしいが、前のヴァズとぱっと見全く違いがないだけに、アップグレード感は伝わらない。


 まあ、戦ってくれればいずれわかることだろう。今はおいとく。


「開戦のタイミングは簡単だ。俺たちが先に突っこむ。それだけだ」


「ほんとに簡単っすね」


「糞でも分かる戦争の捻り出し方」


「う、うるせぇぞぬいぐるみども」


 案の定がやがやと騒ぐ二頭身のメルヘンたち。マトモに対応してたら追いつかない。なし崩し的に続ける。


「手筈は一週間前に伝えたとおりだ。行くぞ!!」


 俺を筆頭にみんなが並ぶ。俺は``顕現トランシートル``の技能球スキルボールを片手に、行くべき場所を強く、強く、強く念じた。


 待ってろ親父。今そっちに行って、テメェの顔面をボッコボコの滅多打ちにしてやる。


 俺の身体を弄んだ恨み、自分の欲望のために家族を裏切った恨み、俺や久三男くみおの人生を滅茶苦茶にしてくれた恨み、そして初めてできた友達、木萩澪華きはぎれいかを殺した恨み。


 今まで抱いてた全てを、テメェにぶつけてやる。それまで頬杖ついて精々踏ん反り返ってやがれ。



 俺は一歩を踏み出した。技能球スキルボールが一層輝きを増す。もうすぐ転移だ。場所は戦場。俺が当主になって初めての``戦争``が今、始まる―――。 
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