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終章・新時代の幕開け編
エピローグ:新たなる時代へ
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翌日。
時間を忘れ、死ぬほど騒いだ宴会から一転。御玲に朝八時きっかりに起こされ、眠気に苛まれながら支度した後、凰戟のオッサンや是空たちの見送りの下、本家邸へ帰還した。
母さん曰く「思い立ったが吉日ゥ!! とっとと帰って働いてこいィ!!」とのことで、半ば追い出される形での帰還になったが、流石は母さんだ。俺の性格を熟知している。
グダグダしていると俺のことだ、気が変わって益々動きづらくなっていたことだろう。本家邸に帰還してからは休む暇もなく、要らない荷物を久三男に託して転移の準備をする。
目指すは任務請負機関北支部。俺たちが就職する予定の職場である。つい三ヶ月前までは高校生やってたのに気づけばひょんなことから労働者だ。人生マジで何が起こるかわからんものである。
「澄男さま、転移の準備ができました」
新調した装甲付きメイド服を着こなし、無駄に時間をかけて整えたキラッキラの青い髪を靡かせる。
奴の右手に握られているのは転移の技能球。ここから北支部は、とてもじゃないが歩いて行ける距離じゃない。仮に俺が我流舞空術でフルスピード飛行しても数日はかかるのだ。それ以前に御玲が空を飛べないから論外なわけだが、だからこそ転移でその膨大な距離をすっ飛ばす必要がある。
「オレらも準備完了っす」
カエルを筆頭に四匹のぬいぐるみどもが俺の肩や頭に乗っかってくる。
カエルたちは二頭身のぬいぐるみなだけに歩幅が俺らよりも小さいので、移動中のみ俺にくっついて移動するのを特別に許可した。
ぬいぐるみを抱く趣味など俺にはないのでホントは乗り気じゃないんだが、歩幅が合わず逸れて迷子になっちまう方が面倒この上ない。割り切りもときには大事である。
「行ってらっしゃい、兄さん」
玄関まで見送りに来たのは久三男を筆頭に、奴の背後に側近の如く立っているヴァズ、あくのだいまおう、パオングの三人。
今日からしばらく久三男や弥平とは別行動。会えるのは夕食時と寝るときぐらいのものとなる。
前まではいつも一緒にいただけに、この変化が一番俺の中では大きい。久三男と半日以上離れるというのは、いざとなると歯痒さを感じさせるものだ。
「家の管理、頼んだぜ」
昨日のうちに新調してもらった焔剣ディセクタム。場所はいつもの腰の左側だ。ディセクタムの柄に手を添えつつ、技能球を右手に持つ御玲に肩にも手を添えた。
玄関から漏れ出す朝日。午前中に、それも学校に行く以外で外に出るなんざ初めてである。
任務請負機関の北支部。そこにいる最強格の二人。武市の各支部にもいる最強格の連中。花筏の巫女、裏鏡水月、そして未踏の国、巫市。
俺はまだ、自分が生きてる世界のことはほとんど知らない。行ったことがないから当たり前だが、これから行こうとしてるのは、まさしく未踏の地である。最初から何が起こるか粗方予想がつけられた親父への復讐とは、スケールがまるで違う。まさに全世界規模で、俺たちは動かなきゃならない。
当然、その分脅威や敵も強い奴が出てくるだろう。いやもしかしたら、敵じゃなくても仲間になる奴で俺より強い奴がいるかもしれない。流石にそれは滅多なことではありえないと思いたいが、それこそただの楽観だ。
どんな前提も転がりうる。それぐらいでないと足らない気がする。
こんなことなら、母さんにこの世界のことを真面目に聞いときゃ良かったな、などと思ったが、そんなのは後の祭りってもんだ。
くよくよ考えるなんざガラじゃない。もしも予想外が起きたら起きたで俺はカチキレるだろうしストレスで荒れるだろうが、今はともに親父を打ち破り復讐を乗り越えた仲間がいる。何の因果か、俺に集い、本来なら無関係なはずの俺の復讐に手を貸し、一緒に乗り越えてくれた仲間が。
俺一人じゃ何もできやしないし、ただ怒り壊し狂うことぐらいしか能が無いが、仲間と一緒なら、どんな敵も、危機も、災厄も、何が起ころうとも、きっと乗り越えられる。
だから―――面倒事が起きたって、そんときは、そんときだ。
もうまもなく転移が始まる。自分の存在が目的地へと移動するような浮遊感とともに視界が光りだす。
手を振る久三男。笑顔で見送るパオングたち。俺は久三男たちの想いに応えるように、全力のVサインを高らかに掲げ、満面の笑みでその想いを想いで返した。
「じゃあな!」
視界は暗転し、俺たちは次なる舞台へと移る。復讐劇の更に先、一つの終わりの先にある、新たなる始まりの舞台へと―――。
時間を忘れ、死ぬほど騒いだ宴会から一転。御玲に朝八時きっかりに起こされ、眠気に苛まれながら支度した後、凰戟のオッサンや是空たちの見送りの下、本家邸へ帰還した。
母さん曰く「思い立ったが吉日ゥ!! とっとと帰って働いてこいィ!!」とのことで、半ば追い出される形での帰還になったが、流石は母さんだ。俺の性格を熟知している。
グダグダしていると俺のことだ、気が変わって益々動きづらくなっていたことだろう。本家邸に帰還してからは休む暇もなく、要らない荷物を久三男に託して転移の準備をする。
目指すは任務請負機関北支部。俺たちが就職する予定の職場である。つい三ヶ月前までは高校生やってたのに気づけばひょんなことから労働者だ。人生マジで何が起こるかわからんものである。
「澄男さま、転移の準備ができました」
新調した装甲付きメイド服を着こなし、無駄に時間をかけて整えたキラッキラの青い髪を靡かせる。
奴の右手に握られているのは転移の技能球。ここから北支部は、とてもじゃないが歩いて行ける距離じゃない。仮に俺が我流舞空術でフルスピード飛行しても数日はかかるのだ。それ以前に御玲が空を飛べないから論外なわけだが、だからこそ転移でその膨大な距離をすっ飛ばす必要がある。
「オレらも準備完了っす」
カエルを筆頭に四匹のぬいぐるみどもが俺の肩や頭に乗っかってくる。
カエルたちは二頭身のぬいぐるみなだけに歩幅が俺らよりも小さいので、移動中のみ俺にくっついて移動するのを特別に許可した。
ぬいぐるみを抱く趣味など俺にはないのでホントは乗り気じゃないんだが、歩幅が合わず逸れて迷子になっちまう方が面倒この上ない。割り切りもときには大事である。
「行ってらっしゃい、兄さん」
玄関まで見送りに来たのは久三男を筆頭に、奴の背後に側近の如く立っているヴァズ、あくのだいまおう、パオングの三人。
今日からしばらく久三男や弥平とは別行動。会えるのは夕食時と寝るときぐらいのものとなる。
前まではいつも一緒にいただけに、この変化が一番俺の中では大きい。久三男と半日以上離れるというのは、いざとなると歯痒さを感じさせるものだ。
「家の管理、頼んだぜ」
昨日のうちに新調してもらった焔剣ディセクタム。場所はいつもの腰の左側だ。ディセクタムの柄に手を添えつつ、技能球を右手に持つ御玲に肩にも手を添えた。
玄関から漏れ出す朝日。午前中に、それも学校に行く以外で外に出るなんざ初めてである。
任務請負機関の北支部。そこにいる最強格の二人。武市の各支部にもいる最強格の連中。花筏の巫女、裏鏡水月、そして未踏の国、巫市。
俺はまだ、自分が生きてる世界のことはほとんど知らない。行ったことがないから当たり前だが、これから行こうとしてるのは、まさしく未踏の地である。最初から何が起こるか粗方予想がつけられた親父への復讐とは、スケールがまるで違う。まさに全世界規模で、俺たちは動かなきゃならない。
当然、その分脅威や敵も強い奴が出てくるだろう。いやもしかしたら、敵じゃなくても仲間になる奴で俺より強い奴がいるかもしれない。流石にそれは滅多なことではありえないと思いたいが、それこそただの楽観だ。
どんな前提も転がりうる。それぐらいでないと足らない気がする。
こんなことなら、母さんにこの世界のことを真面目に聞いときゃ良かったな、などと思ったが、そんなのは後の祭りってもんだ。
くよくよ考えるなんざガラじゃない。もしも予想外が起きたら起きたで俺はカチキレるだろうしストレスで荒れるだろうが、今はともに親父を打ち破り復讐を乗り越えた仲間がいる。何の因果か、俺に集い、本来なら無関係なはずの俺の復讐に手を貸し、一緒に乗り越えてくれた仲間が。
俺一人じゃ何もできやしないし、ただ怒り壊し狂うことぐらいしか能が無いが、仲間と一緒なら、どんな敵も、危機も、災厄も、何が起ころうとも、きっと乗り越えられる。
だから―――面倒事が起きたって、そんときは、そんときだ。
もうまもなく転移が始まる。自分の存在が目的地へと移動するような浮遊感とともに視界が光りだす。
手を振る久三男。笑顔で見送るパオングたち。俺は久三男たちの想いに応えるように、全力のVサインを高らかに掲げ、満面の笑みでその想いを想いで返した。
「じゃあな!」
視界は暗転し、俺たちは次なる舞台へと移る。復讐劇の更に先、一つの終わりの先にある、新たなる始まりの舞台へと―――。
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