もうダメだ。俺の人生詰んでいる。

機動兵士

再会

　それから数日後のことであるが、私は、新兵器のグズを操縦していた。チャーリー社長は、私の能力が格闘戦向きだと思ったらしく、格闘機を任せたのである。このグズは、ビームマゲワッパを装備していた。それは、輪っかになっていて、相手を足止めする電磁兵器である。
　　他にも、このグズのスペックはとんでもないもので、作業用ザゴにしか乗ったことがない私には、新しい驚きの連続であった。
「これなら、オムロン少年とも互角の勝負ができるな」
 と思ったのであるが、残念ながら、私の任務は秘密工場の奥にまします、サイキックガルダンを討つことだった。裏側の小道から行かなくてはいけない。
　反対に、社長、クワンプ、ゴルダンが操縦するドルは、正面から攻勢をかけるのである。囮部隊だ。
　これは、サイキックガルダンが遠距離攻撃に優れているからということも考慮しての作戦である。できれば、一気に私がサイキックガルダンを倒して欲しいのだ。
「しかし、そうも行くかね」
   円筒形のドーム状の基地には、三機のジルが待ち構えていた。私は、グズを一気にジャンプさせて、そいつらに急接近する。
「あれっ」
「なんだっ」
「はぐわっ」
   一体があっという間に炎に包まれる。グズの武器のビームアンブレラの先端に突かれたのである。
「ドゴーン」
  噴煙が辺りを見えなくさせるが、私めがけて勇敢にも襲いかかるジルがいた。この機体は、政府の戦闘ロボの典型的な量産機である。いわば、やられ役である。
　私は、ジルの緩慢な射撃をかわすと、すぐに、ビームアンブレラで突いて爆散させた。それと同時に煙が晴れる。
　グズの前には、たった一機になってしまったジルがライフルを構えているが、ジャンプしたグズは通り過ぎる。
「ビシャワッシッ」
  勝負は一瞬で決着してしまっていた。ビームマゲワッパのピンク色の光芒がジルの頭に突き刺さっている。花火のような閃光を見せてから、ジルは爆発する。
「誰？そこにいるのは誰？」
   女性の声が聞こえてくる……こんな戦場にどうしてだろう。
「えっ！」
  ドーム状の巨大な機体、サイキックガルダンが現れたが、そのパイロットの声が……ありえないことであるが、とある人物にそっくりだったのである。
「四条秋葉……さん」
「お、お兄ちゃん……」 
  二人ともあまりの運命に驚愕していた……。