上 下
59 / 66

59

しおりを挟む
 そりゃ、パキネとは四六時中いる。両親よりも会話している。まだレナちゃんとの歴史は浅すぎる。でも、カノジョにすると言ってしまった。だからこうやってデートもしている。だけど、昨日だってテートの前の日だって行っても凄く浮足立ったりしなかった。
 俺は、もしかしてパキネのことが好きなのか?今まで違うって思い続けてきたけど、パキネの落ち込む顏を見た今、レナちゃんのことを簡単にカノジョにしてしまったことを、後悔してしまっている自分がいた。
 そもそも、俺は不誠実だったんだと実感した。好きでもない女の子をカノジョにするなんて、男として最低だ。謝らいないと。
「レナちゃん、俺、やっぱり……」
 カレシではいられない。そう言いかけた瞬間、黙って不貞腐れてたルキが声をあげた。
「今更許さないぞ。レナはブン殿に惚れているんだ。それをわかったうえで、ブン殿はレナの恋人になることを承諾したのに、守護霊の疫病神への情で、レナをフルなんて俺が許さない。レナを幸せにしろ。じゃないと俺はブン殿を許さない」
「許さないって、例えば?」
「幸せを定額制にする」
「そんなことできるの?」
「もちろんだ。幸せや幸運をブン殿から全て奪い取ってやりたいが、それは出来ない。でも、幸せや幸運の値を数値化して、一定にすることは出来る。最低ランクの幸せにすがって生きていくがよい!その覚悟があるならレナと別れてもかまわん。そもそもずっと俺は二人の交際に反対してきたんだ。しかし、レナの幸せの為なら、俺は消滅覚悟で天使の力を使ってやる!」
 ルキの言葉に、俺は緊張した。ルキは本気だ。伝わってくる。レナちゃんを悲しませたり傷つけたら、一生分の幸せをルキに奪われるような気がした。
 それでも、レナちゃんは俺の一番じゃない。そのことをどうやって伝えるが悩んだ。この先、どんなに不幸になっても、パキネのことが今はレナちゃんよ大切だ。
 なんて伝えたら、レナちゃんを傷つけずに恋人関係を解消できるだろう。
しおりを挟む

処理中です...