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第十一話
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アスヴァリテ=ヴェサ=ヴァルシェリア。 現国王ルナヴァリオ=ヴェサ=ヴァルシェリアの正妃。
元々はヴァンパイアの名家、アーヴァイン侯爵家の長女として生まれ、学生時代に当時の陛下と出会い恋に落ち、熱愛の末結婚したというエピソードがある。
ゲームでは人間至上主義者による暗殺で命を落とし、ハルト王子の性格に多大な影を落とす事になる人物。
……の、ハズだったんですけど。
なんか生きてるんですけどっ!?
こっちに向かって、ヤッホーとか手を振っておられるんですけど!!??
いやまあ、考えられる事は一つですけれども。
転生者。 でしょうね。
そもそもヒロインも転生者だった訳ですし。 私も含めて二人しかいないってことも無いでしょう。
「あの、王妃陛下?」
「ああ大丈夫よ! この人も知っているわ。」
それに答えてルナヴァリオ陛下が頷く。
まあ取りあえず座って座って、と勧めてくるのでありがたく座らせてもらう。
私達が座ったタイミングで、侍女が紅茶を全員の前にスッと置く。 そしてわたくしが焼いたのよーと言いながらクッキーを勧めてくる王妃様。
恐縮しながらも一口。 あら? 美味しいわね。 店に並んでいてもおかしくない味にびっくりする。
「さて、なにから話しましょうかね?」
私がクッキーを頬張るのを、ニコニコして見ていた王妃陛下がそう切り出してきた。
私は慌てて紅茶でクッキーを流し込むと、ちょっと考えてから答える。
「そうですね。 まず王妃陛下は転生者。 と言う事でいいんでしょうか?」
「そうね。 まずそこからね。 そう、わたくしは転生者で間違いないわ。」
そう言って一度口を閉じ、再び話しだす。
「わたくしの元の名前は、もう覚えていないのだけれど、社会人だったのは朧気に覚えているわ。 このゲームの大ファンだった事もね。」
それはかなりののめり込み様で、情報掲示板の編集や、ファンサイトの立ち上げにも関わっていたらしい。
そんな彼女であるから、この世界に転生した事はすぐに気付いた。
彼女が記憶を取り戻したのは6歳の時だったそうだ。
貴族教育で、なにやら聞いた事がある苗字がつらつらと並べられる事に疑問を覚えていた所、ある日突然、一気に記憶が戻ったらしい。
最初は大好きなゲームの世界に転生できて大喜びだったが、すぐに絶望したという。
このままではこの国が滅んでしまう、と。
そう彼女は、次回作の事ももちろん知っていたのだ。
ただ、続編はどうも製作会社が資金難に陥ってしまったために結局出なかったらしいけども。
それからは、滅亡回避のために色々やったらしい。 いややらかした。
食の改善から始まり、識字率を上げるために学校の建設を国に訴えたり。
そして、国を巻き込んで色々改革を推し進め、気付いたら”ヴィ=ランシェの賢女”とまで称賛されるほどに。
なんですか、内政チートですか? 学校の制服を普及させたのも貴女だったんですか?
別に、ゲームの世界だから日本の文化が浸透してる訳ではなかったと……
「まあそれでね。 ハルトが生まれてからは暗殺にかなり警戒したわぁ。」
王妃陛下がそうニヘラッと笑うが、国王陛下は難しい顔になり。
「その時はなにも相談すらされてなかったからな。 日に日にやつれていくコヤツを見ていて実に忍びなかったぞ。」
「アナタ……」
そう言って陛下達は熱く見つめ合う。
なんでもー、王妃陛下の態度がおかしいと気にしていてー、偶然暗殺者に襲われる所で助けに入れたらしいですよー、あー、あいのちからってすげーなあ! ペッ!
……おっと失礼。
まあともかく、暗殺者を退けた後はハルト王子含め攻略対象達を気にかけ、幼馴染として王宮で遊ばせたりしたらしい。
因みに、アーネリオ様のお兄様は現在普通に生活していらっしゃるとか。
つまり、私が記憶を取り戻した時点ですでにほとんどの障害が排除されていたって事で……
そのあんまりな事実にガックリと肩を落としていると、その肩にポンと手が置かれた。
王妃陛下……
「ドンマイッ!」
そういってサムズアップする王妃陛下をしこたま殴りたいと思ったのは内緒である。
続く
元々はヴァンパイアの名家、アーヴァイン侯爵家の長女として生まれ、学生時代に当時の陛下と出会い恋に落ち、熱愛の末結婚したというエピソードがある。
ゲームでは人間至上主義者による暗殺で命を落とし、ハルト王子の性格に多大な影を落とす事になる人物。
……の、ハズだったんですけど。
なんか生きてるんですけどっ!?
こっちに向かって、ヤッホーとか手を振っておられるんですけど!!??
いやまあ、考えられる事は一つですけれども。
転生者。 でしょうね。
そもそもヒロインも転生者だった訳ですし。 私も含めて二人しかいないってことも無いでしょう。
「あの、王妃陛下?」
「ああ大丈夫よ! この人も知っているわ。」
それに答えてルナヴァリオ陛下が頷く。
まあ取りあえず座って座って、と勧めてくるのでありがたく座らせてもらう。
私達が座ったタイミングで、侍女が紅茶を全員の前にスッと置く。 そしてわたくしが焼いたのよーと言いながらクッキーを勧めてくる王妃様。
恐縮しながらも一口。 あら? 美味しいわね。 店に並んでいてもおかしくない味にびっくりする。
「さて、なにから話しましょうかね?」
私がクッキーを頬張るのを、ニコニコして見ていた王妃陛下がそう切り出してきた。
私は慌てて紅茶でクッキーを流し込むと、ちょっと考えてから答える。
「そうですね。 まず王妃陛下は転生者。 と言う事でいいんでしょうか?」
「そうね。 まずそこからね。 そう、わたくしは転生者で間違いないわ。」
そう言って一度口を閉じ、再び話しだす。
「わたくしの元の名前は、もう覚えていないのだけれど、社会人だったのは朧気に覚えているわ。 このゲームの大ファンだった事もね。」
それはかなりののめり込み様で、情報掲示板の編集や、ファンサイトの立ち上げにも関わっていたらしい。
そんな彼女であるから、この世界に転生した事はすぐに気付いた。
彼女が記憶を取り戻したのは6歳の時だったそうだ。
貴族教育で、なにやら聞いた事がある苗字がつらつらと並べられる事に疑問を覚えていた所、ある日突然、一気に記憶が戻ったらしい。
最初は大好きなゲームの世界に転生できて大喜びだったが、すぐに絶望したという。
このままではこの国が滅んでしまう、と。
そう彼女は、次回作の事ももちろん知っていたのだ。
ただ、続編はどうも製作会社が資金難に陥ってしまったために結局出なかったらしいけども。
それからは、滅亡回避のために色々やったらしい。 いややらかした。
食の改善から始まり、識字率を上げるために学校の建設を国に訴えたり。
そして、国を巻き込んで色々改革を推し進め、気付いたら”ヴィ=ランシェの賢女”とまで称賛されるほどに。
なんですか、内政チートですか? 学校の制服を普及させたのも貴女だったんですか?
別に、ゲームの世界だから日本の文化が浸透してる訳ではなかったと……
「まあそれでね。 ハルトが生まれてからは暗殺にかなり警戒したわぁ。」
王妃陛下がそうニヘラッと笑うが、国王陛下は難しい顔になり。
「その時はなにも相談すらされてなかったからな。 日に日にやつれていくコヤツを見ていて実に忍びなかったぞ。」
「アナタ……」
そう言って陛下達は熱く見つめ合う。
なんでもー、王妃陛下の態度がおかしいと気にしていてー、偶然暗殺者に襲われる所で助けに入れたらしいですよー、あー、あいのちからってすげーなあ! ペッ!
……おっと失礼。
まあともかく、暗殺者を退けた後はハルト王子含め攻略対象達を気にかけ、幼馴染として王宮で遊ばせたりしたらしい。
因みに、アーネリオ様のお兄様は現在普通に生活していらっしゃるとか。
つまり、私が記憶を取り戻した時点ですでにほとんどの障害が排除されていたって事で……
そのあんまりな事実にガックリと肩を落としていると、その肩にポンと手が置かれた。
王妃陛下……
「ドンマイッ!」
そういってサムズアップする王妃陛下をしこたま殴りたいと思ったのは内緒である。
続く
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