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記者の記録
ギャルに密着!?
しおりを挟む「いや、あのー?あーし?別に陸上競技とかに出る訳じゃないんで?」
ギャルといえば褐色。ギャルといえば金髪。今ここにそのギャルがトライアスロンに挑戦しているという情報を聞き入れたあたしは密着している。という訳ではなく、このギャル音雨瑠 空美は実はある噂があった。
「怪異ってご存知ですか?」
「海尉?あー、一応航海士服がカッコイイなって思って自作してるんで、階級はちょっとみたかなぁ?」
「か、階級なんてものがあるんですか?」
「え?そりゃあ海軍なんだからあるっしょ……。航海士は、まぁ船に乗る人のことを指すから?階級じゃないですけど?」
驚きだ。怪異と呼ばれている都市伝説や神話生物が人知れず暴れていることは密かに囁かれていたが、まさかその怪異に階級があるなんて。それも界群のように幾つか群分けされたカテゴリーが存在しているようだ。あたしはもう一つ気になっている本題を早速切り出してみた。
「え?あーしが海尉?ないない♪あーしそっち志望していなかったから」
「それでは、空美さんにもお仲間はいると思うのですが。その中には怪異を志望するものも居るということなのですか?」
「あー、どうだろ?あーしの教官は昔、光学部を目指していたみたいなことは聞いたことあるんですけど。あ、あと昨日知り合ったチビちゃんの先輩が元火薬庫整備の裏番長みたいなこと、言ってました」
一体それは何の怪異なのだろうか。しかし、組織の中にはやはり怪異を扱って対処している者も居るらしい。なかでも、その教官と呼ばれている方の光学部というのは、科学の闇も怪異になるということなのだろうか。憶測がまた新たに生まれてしまった。
今回の質問で《音雨瑠 空美 は怪異かもしれない》という記事の信憑性がないことが判明した。今の世の中、写真や画像も加工して公開出来てしまうからな。つまり、この手を拘束されている画像はデマだったということなのだろう。
「あのー?悪いんですけど、そろそろインタビュー?終わりでいいですか?あーし、友達待たせるんで」
「ん?お友達ですか?これからどちらへ?」
「コスプレイベント会場の視察ってとこかな?最近、流行ってそうなもののリサーチもあって萎えるって感じ」
こうして日常生活に溶け込みながら、怪異と呼ばれている存在と立ち向かっているようだ。手を振って見送った後、録音した内容を聞き返す。ばっちりと撮れていることを確認しながら、空美さんの反応や視界に入った情報を思い返していると引っ掛かる点があった。
それは、怪異に階級がある事について切り詰めている時にふと観ていたスマホの画面。あたしはてっきり、こう質問されたらこう回答みたいなカンペがあって上手く回答を誤魔化していたのかと思っており、それに空美さん自身も自然体に言葉を選んで話していたところから違和感を持っていなかったが、記者魂が盗み見れるもの全て見ろとスマホの画面も無意識見ていた。
その時は何の変哲もないと感じていてもその後の会話と当時を振り返ることで見えてくるものもある。そのスマホの画面に映されていた言葉には確かに書いてあった。
───魔法少女の件、もしかすると難航するかもしれない。
コスプレイベントの話はこれを隠すためと、あたしから離れて現場へ向かうための口実。であるのならば、空美さんは現在進行形で怪異を追っている。そして、その空美さんを追っていけば自ずと怪異をこのカメラに収めることが出来るということになる。
情報というのは、人の顔色や声色を窺い。その後に当時を振り返ることの出来る材料があることで見方を変えられるもの。こうしてはいられないとあたしは直ぐに、空美さんを追うことにした。しかし、空美さんの姿を見つけることは出来ず怪異を収めることも出来なかった。
今回の件で、怪異は本当に存在するかもしれない。また噂観測課と呼ばれる組織はあるのかもしれないことをここに記しておきます。次回の密着更新を待っていただければと思います。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
━ インタビューから逃げて現場に向かう途中 ━
記者対策ってこんなにめんどくさいものとは思わなかった。これをディフィート先輩は楽な仕事だと言っていたのが、どう考えても嘘としか思えない。おかげで、あーしが何をボロっているのかも気にして喋らなきゃいけない訳だし。
しかも後半、超衝撃的な情報が目に止まってしまってからはちゃんと辻褄合わせ出来ているかも分かんないし。
何であの時の写真、ある訳?あの場所って教官と第1課の人達しか知らない場所じゃないの?
インタビューが質問してきたあーしが怪異なんじゃないのかってやつは、予め決めていた返答でとぼけてみせた。けどその後に見せられた写真は、明らかにあーしが【知恵の女神ミネルヴァ】に苦しんでいた時のものだった。顔が石像になっていたところからして、その後もあーしが一人で飼い慣らそうとしていたところも見られていたってこと?
問題はそれが記者が偶然場所を探り当てたものなのか、或いは第1課の中にリークした人がいるのか。しかし、後者であるとしたらあーしがそもそも組織に配属されない。となれば、前者か第三候補として別の何者かが噂観測課を探っている可能性があるのかもしれない。
気にしていても仕方がないし、魔法少女の怪異のことも気になっているからとりあえずは教官に合流することを優先しよう────。
以上が、記者対策音雨瑠 空美 の一部始終でした。
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