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エピローグ~崇side2
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「崇君。肥料は何をもらっているのかな?」
菜々が真っ赤になって下を向いている。菜々はこういうときになるととたんに黙るからばれる。
仕事の時は毅然としているのに、恋愛のことになると妙にグニャグニャになる。
まあ、そこが可愛いところだ。他の奴には教えてやらない。
「いやあ、さすがの専務にも教えられませんね。菜々と俺のことは内緒です。絶対嫉妬するから」
「……何だと?」
「だって、菜々のことなんだかんだ言って誰にも渡したくなかったんでしょう?わかってましたよ」
菜々が驚いて顔を上げた。俺と専務の顔を交互に見ている。
「わかっていたなら感謝しなさい。彼女のことは娘のように可愛がっていたつもりだ。香月さんの父親からは嫉妬されていた。何しろ家を出た彼女を私の秘書にした。娘を取られたと思ったんだろうな」
「……専務」
「だから彼女に関しては、いくら君でも未だ芽も出ないような、敵の多い男に預けられない。精進して彼女を幸せにしてもらわないとね」
「そんなことは言われなくてもやります。何しろ彼女を取り戻すため、仕事片付けてアメリカから一週間で戻ったんですよ。菜々のためなら何でもします」
「……ちょ、ちょっと崇さんったら……」
「あまり彼女を溺愛しすぎると、彼女が大変になるよ」
「は?」
「いいかい。君は昔から自分のものは人にやりたがらない。それどころか、手にしたいと決めたら何が何でも手に入れようとする。いいようで悪い」
「専務」
「彼女の体調に気をつけてやりなさい。今日も疲れた顔をしていたせいか、酔いが早いようだ」
菜々は涙目になっている。
「わかりました。肝に銘じます」
「よろしい。じゃあ、僕は先に失礼するよ」
「え?」
「恋人の時間を邪魔するほど無粋じゃないよ。また連絡するからね。元気でね、香月さん」
「はい専務……あ、の……お車……回しますか?」
「駅も近いし、酔い覚ましに歩きながら行くよ。お会計だけ、御曹司にお願いしよう。あ、ここでいいから……ごちそうさま」
立ち上がった私達を制すると、ひらひらと手を振って彼は出て行った。
「菜々。大丈夫か?すまない、気を配ってやれなくて」
菜々はふっと息を吐いて、そのまま俺に寄りかかってきた。
「専務は……わざと……言ったの……体調は……だい……じょうぶ」
「いや、菜々が忙しいのはわかってる」
「崇さんだって……忙しい」
ふたりで顔を見合わせて笑った。俺は菜々を抱き寄せた。
「菜々は仕事も忙しいのに、俺が肥料をもらいすぎると疲れるだろう。少し我慢するよ。専務がいいたいことはわかっているつもりだ」
「……そんなわけ……ない……」
「え?」
「私だって……肥料……欲しいの……」
肩に持たれながら俺を上目遣いで見た。背筋に何かが走った。まずい。我慢できない。
彼女の顎に手を掛けると食いつくように最初から深いキスをしかけた。
「……ん……あ……」
「……は……菜々……」
彼女は何故か俺のキスがお気に召しているようで、キスをするとスイッチが入ってしまう。
こんなところでいけないと思って唇を離すと、濡れた目でじっと俺を見つめている。まずい、いや、ここはダメだ。
「……菜々。続きはあとで……」
そう言って軽くおでこにキスを落とすと、ぎゅっと抱きついてきた。もしかして、酔ってる?グラスを見ると空だ。専務のワインもすでに二本空いている。
「菜々。もしかして……俺が来る前から結構飲んだ?」
こくりと頷き、涙目の彼女。俺は顔を覆ってため息をついた。
彼女は酔うと猛烈に色気が増す。そこへ俺のキスがスイッチを押してしまったようだ。
彼女の荷物を持って立ち上がらせようとしたが、両手で俺の腰に抱きついたままだ。まずい。
「……菜々」
「……ん?」
「手をどけて」
「ん……やだ」
「動けないよ。手を繋ごうか」
そう言って、彼女の腕をほどいて左手で彼女の手を握る。
「イヤ……崇さん」
「わかったから……」
俺はウエイターを呼ぶとホテル内にいつもの部屋を取るように言った。
その日は、どう考えても俺が彼女に肥料を上げていたと思う。積極的な彼女に俺も理性が飛んだ。
翌日、起きられなくて涙目で訴える彼女に、ひと言。
「菜々。お酒は注意が必要だ」
「え?」
「まあ、いいけどね。俺以外の男と飲みに行くのは禁ずる」
「ええ?」
頭を抑えて何か言っていたが無視。可愛い口をキスで塞げば、俺の恋人は大人しくなる。
fin,
菜々が真っ赤になって下を向いている。菜々はこういうときになるととたんに黙るからばれる。
仕事の時は毅然としているのに、恋愛のことになると妙にグニャグニャになる。
まあ、そこが可愛いところだ。他の奴には教えてやらない。
「いやあ、さすがの専務にも教えられませんね。菜々と俺のことは内緒です。絶対嫉妬するから」
「……何だと?」
「だって、菜々のことなんだかんだ言って誰にも渡したくなかったんでしょう?わかってましたよ」
菜々が驚いて顔を上げた。俺と専務の顔を交互に見ている。
「わかっていたなら感謝しなさい。彼女のことは娘のように可愛がっていたつもりだ。香月さんの父親からは嫉妬されていた。何しろ家を出た彼女を私の秘書にした。娘を取られたと思ったんだろうな」
「……専務」
「だから彼女に関しては、いくら君でも未だ芽も出ないような、敵の多い男に預けられない。精進して彼女を幸せにしてもらわないとね」
「そんなことは言われなくてもやります。何しろ彼女を取り戻すため、仕事片付けてアメリカから一週間で戻ったんですよ。菜々のためなら何でもします」
「……ちょ、ちょっと崇さんったら……」
「あまり彼女を溺愛しすぎると、彼女が大変になるよ」
「は?」
「いいかい。君は昔から自分のものは人にやりたがらない。それどころか、手にしたいと決めたら何が何でも手に入れようとする。いいようで悪い」
「専務」
「彼女の体調に気をつけてやりなさい。今日も疲れた顔をしていたせいか、酔いが早いようだ」
菜々は涙目になっている。
「わかりました。肝に銘じます」
「よろしい。じゃあ、僕は先に失礼するよ」
「え?」
「恋人の時間を邪魔するほど無粋じゃないよ。また連絡するからね。元気でね、香月さん」
「はい専務……あ、の……お車……回しますか?」
「駅も近いし、酔い覚ましに歩きながら行くよ。お会計だけ、御曹司にお願いしよう。あ、ここでいいから……ごちそうさま」
立ち上がった私達を制すると、ひらひらと手を振って彼は出て行った。
「菜々。大丈夫か?すまない、気を配ってやれなくて」
菜々はふっと息を吐いて、そのまま俺に寄りかかってきた。
「専務は……わざと……言ったの……体調は……だい……じょうぶ」
「いや、菜々が忙しいのはわかってる」
「崇さんだって……忙しい」
ふたりで顔を見合わせて笑った。俺は菜々を抱き寄せた。
「菜々は仕事も忙しいのに、俺が肥料をもらいすぎると疲れるだろう。少し我慢するよ。専務がいいたいことはわかっているつもりだ」
「……そんなわけ……ない……」
「え?」
「私だって……肥料……欲しいの……」
肩に持たれながら俺を上目遣いで見た。背筋に何かが走った。まずい。我慢できない。
彼女の顎に手を掛けると食いつくように最初から深いキスをしかけた。
「……ん……あ……」
「……は……菜々……」
彼女は何故か俺のキスがお気に召しているようで、キスをするとスイッチが入ってしまう。
こんなところでいけないと思って唇を離すと、濡れた目でじっと俺を見つめている。まずい、いや、ここはダメだ。
「……菜々。続きはあとで……」
そう言って軽くおでこにキスを落とすと、ぎゅっと抱きついてきた。もしかして、酔ってる?グラスを見ると空だ。専務のワインもすでに二本空いている。
「菜々。もしかして……俺が来る前から結構飲んだ?」
こくりと頷き、涙目の彼女。俺は顔を覆ってため息をついた。
彼女は酔うと猛烈に色気が増す。そこへ俺のキスがスイッチを押してしまったようだ。
彼女の荷物を持って立ち上がらせようとしたが、両手で俺の腰に抱きついたままだ。まずい。
「……菜々」
「……ん?」
「手をどけて」
「ん……やだ」
「動けないよ。手を繋ごうか」
そう言って、彼女の腕をほどいて左手で彼女の手を握る。
「イヤ……崇さん」
「わかったから……」
俺はウエイターを呼ぶとホテル内にいつもの部屋を取るように言った。
その日は、どう考えても俺が彼女に肥料を上げていたと思う。積極的な彼女に俺も理性が飛んだ。
翌日、起きられなくて涙目で訴える彼女に、ひと言。
「菜々。お酒は注意が必要だ」
「え?」
「まあ、いいけどね。俺以外の男と飲みに行くのは禁ずる」
「ええ?」
頭を抑えて何か言っていたが無視。可愛い口をキスで塞げば、俺の恋人は大人しくなる。
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