ようこそレープハフトハイムへ!~借金を返済して男爵位を継ぎます~

伊織愁

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第三十話 『ウィーズ嬢、笑って下さい』

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 ウェズナーの部屋へ入ったアルフは言葉を失った。 グランの祝福の縄で縛られ、ライナーは床へ倒れ込んでいる。

 ベッドの側でくず折れているのは、ウェズナーだ。 彼女の部屋は物が壊され、無惨な状態だった。 アルフの口から思ってもいない程、低い声が出された。

 「どういう事か説明してもらおうか、ライナー氏」

 アルフの低く少しだけ殺気が混じった声に、ライナーは身体が大きく跳ねた。

 「お、俺は何もしていないっ! それに、お前らに俺たちの事は関係ないだろっ! 俺はウェナの婚約者だっ!」

 チラリとウェズナーの方を見ると、頬を赤く腫らしていた。

 「ライナー氏、ウィーズ嬢は僕が下宿屋にお預かりした大事なご令嬢です。 ウィーズ嬢に何かあれば申し訳が立ちません。 ウィーズ嬢が怪我をされている以上、伯爵に報告しないといけません。 何があったのか、話して下さい」

 舌打ちをした後、ライナーは吐き捨てる様に叫んだ。

 「少し行き違いがあって、口論になっただけだっ! もう、いいだろう。 縄を解けっ!」

 グランに視線を送ると、彼も頷いた。

 グランもライナーからは正確な話は出来ないと理解したのだろう。 ライナーに冷たい眼差しを送っていた。

 ライナーの首筋に、紫のナイフが突きつけられる 紫はグランの魔力の色だ。

 「少しでも動いてみろ。 お前の喉を掻っ切るぞっ!」

 恐怖に駆られたライナーは、青ざめた顔で高速で頷いた。 縄を解かれたライナーは恐怖で立てないのか、しゃがみ込んだ。

 「ライナー氏、下宿屋の女子寮は男子禁制ですので、今後は来られる時は管理人の許可を貰って下さい」
 「お、俺はウェナの婚約者だぞ。 身元もしっかりしている。 何故、許可を取らないと行けないんだっ!」
 「婚約者だからですよ。 若い二人が暴走すれば、身の破滅とお家断絶が待ってますよ」
 「何を言っているのか意味が分からないぞっ! 身の破滅とお家断絶って何だっ?!」
 「分からなければいいです。 貴方には想像力がないという事ですから」
 「はぁ?!」

 ライナーはアルフが言っている事が本当に分かっていないらしく、訳が分からないと怒鳴っている。

 「兎に角、彼女の手当もしたい。 今日はお帰り願いましょう」
 「なっ!」

 抵抗するライナーの首元に冷たい紫のナイフが当たり、ビクリと身体を震えさせた。 チラッとウェズナーに視線をやったライナーは舌打ちをした後、立ち上がった。

 「次に来る時は必ず、管理人のシファー家か、オーナーの僕から許可を取って下さいね」

 ライナーは何も返事もせず、ウェズナーの部屋を出て行った。 小さく息を吐いたアルフは、ウェズナーに視線を向けた。

 「えと、これで良かったかな?」

 顔を上げたウェズナーは、問いかける様な眼差しをアルフへ向けて来た。

 「ああ、部屋のポーチに作ってある門を見て、誰も入れたくないと思ったから、ライナーも入れたくないだろうと思ってね」

 勝手に門を作ってしまった事を思い出したのか、ウェズナーは顔を青ざめさせた。

 「ああ、気にしないで。 君が誰も部屋へ入れたくないのは、こういう事に巻き込む事を恐れたからでしょう?」

 小さく頷いたウェズナーに、アルフは優しく微笑む。

 「大丈夫、君がここに居る間は僕たちが守ってあげるから」
 「……どう、してっ?」
 「うん、それは僕にも分からない。 でも、君の事を放っておけない」

 アルフの答えにウェズナーは、瞳を見開き驚いている様だ。 アルフは自分で言った事が恥ずかしかったのか、頬を染めた。

 「アルフレート様、男子禁制は当然ですので、来訪しても追い出しますよ」
 「うん、それでいいよ。 規則だからね。 ウィーズ嬢も、もしまたライナーが来る様なら、はっきりと言えばいい。 男子禁制だから無理だって。 ウィーズ嬢が嫌がるなら、許可も降りないしね」

 ウェズナーの腫れた頬の治療をしながら、マルタが厳しい声を出す。

 「いくら婚約者だとしても、暴力を振るうと分かっている者を女子寮へ入れる許可は出しませんっ!」
 「まぁ、そうだね」

 マルタの意見にアルフも賛同した。

 「では、若様。 私はノルベルトに今回の報告をして参ります。 ノルベルトの方から先方へ苦情を出すよう、要請します」
 「ああ、分かったよ、よろしくね」

 問題も解決して、自身はどうするか考えた。

 「あ、僕も出て行かないとっ! 男子禁制だしっ!」

 ウェズナーの怪我の治療を終えた事を確認すると、アルフは踵を返した。 部屋を出て行こうとするアルフの背中に、ウェズナーの声が掛かった。

 「あ、ロイヴェリク様、お待ちになって下さいっ!」

 ウェズナーが突然、大きな声を出した事に驚き、アルフは勢いよく振り返った。

 しかし、アルフと視線を合わせると、ウェズナーは途端に俯いた。

 「ウィーズ嬢、これだけ聞かせて下さい。 頬が腫れたのはライナー氏の所為ですか?」
 「……っ」

 上手く嘘がつけないのか、ウェズナーは黙り込んでしまった。 アルフは出来るだけ優しい声を出して、ウェズナーに語り掛けた。

 「ウィーズ嬢、大丈夫です。 もう、貴方を責める人はいませんよ。 私たちはここで聞いた話は他言しません。 ただ、今後、ライナー氏を追い返す為には、使用人全員に周知させる必要はあります」
 「ウェズナー様に暴力を振るっただけで充分ですわ」

 マルタも頷きながら同意した。 ウェズナーはあまり人に優しくされた事がない様で、戸惑っていた。 アルフの中で、砂糖を噛む様なセリフを自身が言う事になるとは思ってもいなかった。

 「ウィーズ嬢、笑って下さい。 僕は貴方の笑顔が見たいです。 出来れば、友人となり、貴方の愛称を呼びたいです」

 アルフの恥ずかしいセリフを聞き、ウェズナーとマルタが口を大きく開けて固まった。 恥ずかしいセリフを言ってしまったアルフは、自身も顔を真っ赤に染めて、固まってしまった。

 (グランがここに居なくて良かったよっ。 僕は一体、何を言っているんだ?)

 恥ずかしさから抜け出した三人は、ウェズナーの話に戻った。

 話に寄ると、アルフが壊してしまったライナーの武器の弁償を、ウェズナーがアルフに頼めと、言って来たらしい。

 しかし、弁償の件は王族であるトゥールに一任されている。 ウェズナーは断ったのだが、気に入らないとライナーは部屋で暴れたらしい。

 アルフとマルタから呆れた様な溜め息が吐き出された。 つまりはアルフが武器を壊さなければ、起こらなかった事案だ。

 アルフの口から呻き声が漏れる。

 「ごめん、僕の所為だっ」
 「いえ、それは違いますっ! 殿下が復元してくれると仰っておられたのに、駄々を捏ねたライナー様が悪いのですっ!」
 「ええ、そうですね。 試合に負けて悔しくて嫌がらせしたかったに違いありません」
 
 ウェズナーの治療を終えたマルタは、怒りが収まらないのか、キリキリしている。

 家の事情は言ってくれなかったが、まだ簡単には話してくれないだろう。 徐々に仲良くなり、何でも言い合える仲になれればと、アルフは勝手に思い始めていた。

 ◇

 何とかライナーは追い返したが、禍根を残してしまった。 個人的にライナーの武器を弁償しようと思ったが、グランに止められた。

 「やめておいた方がいいでしょう。 トゥール殿下にも失礼になりますし」
 「うん、グランの言う通りだと思います。 今は放っておく方がいいですよ」
 「そうか、分かったよ」

 ライナーには魔法学校の廊下ですれ違うたびに、睨まれる事になった。 因みに親に新しい武器を買ってもらい、機嫌は治った様だ。 現金なものである。

 後、ライナーはウェズナーの所へ来ていないらしく、姉のジルフィアの取り巻きをしている様で、ウェズナーとは全く一緒にはいなかった。

 「本当に馬鹿にしているよね」
 「そう思うんでしたら、若様がお幸せにしてあげればよろしいのでは?」
 「何を言ってるんだよ、グラン! ウィーズ嬢とはそんなんじゃないよっ!」
 「そうなんですか?」
 「そうだよっ!」
 「えっ、アルフはウィーズ嬢の事が好きなんですか?」
 「マゼルまで何言ってるの?! 本当に、そんなんじゃないからっ!」

 慌てふためきながら否定されても、怪しいだけである。 グランは、アルフの二度目の恋が上手くいきます様にと祈った。

 しかし、相手は伯爵令嬢で格上、婚約者は騎士爵家だが、伯爵家に軍配があがる。

 (前途多難ですね、若様)

 しっかりと、グランとマゼルには誤解されてしまった様だ。

 「あ、そうです、アルフ。 この間、言っていた盗賊に家を追われた人たちにアパートを提供してくれたそうでありがとうございます」
 「いや、こちらもアパートがずっと空き部屋状態だったからね。 僕の方も助かったよ」
 「そうなんですね、父からお礼を言って置いてくれと、言われたのです」
 「お互いに利益があったのなら、良かったよ」
 「ええ、何も理由なく追い出された様なので、その事も追求するそうです」
 「そう……」

 (逆恨みされなければいいんだけどっ)

 魔法学校から戻ると、新たな事案をノルベルトから報告を受け、また、辻馬車営所へ顔を出した。

 「何か、次から次へと営業所に問題をもっ来てごめんね」
 「いえ、若様。 今回はうちの従業員も関わりがありますしね」
 「そうなの?」
 「はい」

 辻馬車営業所は、賑わいを見せていた。

 所長のハイドラーは眉尻を下げて申し訳なさそうに微笑んでいる。

 「うちの従業員の女子社員が大浴場に通ってまして」
 「ああ、うちの大浴場だね。 ありがとう」
 「はい、女子社員は営業所の社員用の宿舎から正面入り口の大浴場まで通っているのですが、少し遠いですし、風呂場という事で、不埒者も出るでしょう?」

 ハイドラーの話に、アルフは後ろに控えているノルベルトを見た。 意図を察したノルベルトが答える。

 「報告では、不埒者は直ぐに捕えて騎士団に引き渡しました」

 ノルベルトの話を聞き、アルフはホッと胸を撫で下ろした。

 「そうか……風呂屋を覗いたり、女子風呂から出て来る女性は変な人にちょっかいを掛けられるんだ。 僕、全然気付かなかったっ」
 「はい、それに若様は一階の貸店舗に飲食店をと、考えているのでしよう?」
 「そうだね、新しく入居して来た人たちの中に料理人もいて、お店を任せられるかなって思って。 それに大浴場のお客さんもご飯を食べるお店があればいいなって思ってた」
 「ええ、お店を作る前に女性客の対応をした方がいいかと思いまして」
 「そうだよね、教えてくれてありがとうございます」
 「いえ、こちらも従業員の為ですから」
 「分かりました。 では、僕では気付けない事もあるので、従業員に要望を出してもらえますか? 全てを叶える事は出来ないでしょうけど」
 「分かりました、社員に聞いておきます」

 辻馬車営業所を出ると、アルフから溜め息が出た。 まさか、大浴場で不埒者が出ているなど、思ってもいなかった。

 「でも、何で思いつかなかったんだろ?」
 「若様はまだ、興味がないからじゃないですか?」

 アルフはグランの言っている意味が分からず、首を傾げた。

 「ほら、分かっていないでしょう? 若様も、もう15歳だというのに、まだまだお子様ですね」
 「ムッ! 僕も、15になったんだから、成人しているよ」
 「ええ、年齢だけは、成人していますね」
 
 グランの言いように、アルフが言い返した言葉が遮られた。

 『アルフ、グランが言いたいのは、性の目覚めだよ』
  
 また、いつもの様に主さまモドキは突然、現れた。 突然、耳元で声が聞こえてアルフは飛び上がった。

 「びっくりするだろ? 今後は突然に現れない様に」
 『それよりも、アルフ。 困っているのなら、アイアディアを出してあげるよ』
 「いや、でもっ」
 『大丈夫だって、もしかしたらこれは喜ぶかもしれないよ』

 主さまモドキが出した羊皮紙には、女性専用アパートと書かれていた。
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