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第十一話
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「ミカエル様を名前で呼ぶなんて。遠慮するべきなのに。どういう神経なのかしら!」
すみれが帰るのを見届けた後、嫌悪に満ちた目でみちるが悪態をつく。
それに対して、れいこはいつもの鉄壁の笑顔で言う。
「ねぇ、少し黙ってくれない?」
表情は笑っているのに、声はいたって穏やかなのに、みちるは凍りついた。
「すみません、私っ・・・!!」
そう言うみちるの言葉を遮るようにれいこは彼女の唇に人差し指を当てる。
「ねぇ、黙ってって言ってるよね。」
笑顔はいつものミカエル様なのに、こんなにも彼女を怖いと思ったことはない。
みちるが目に涙を浮かべようとも、れいこは拭ってはくれないし、ましてや可愛いなんて言ってくれない。
恐ろしい、悲しい、そして悔しい。沢山の負の感情が押し寄せてきてみちるが肩を震わせていると、れいこは、吐き捨てるように言う。
「いつもはね、貴女のそういうところが好きなのだけれど、今はとても鬱陶しい。」
そして、みちるの肩を冷たくぽんと叩くと彼女に背を向けた。
「今日はここまでにしましょう。私もこれ以上貴女を嫌いになりたくないし。」
れいこは、みちるに振り返ることなく帰っていく。
その姿をみちるはなすすべもなく、ただ見つめるしかない。
ミカエル様はどうして私にこんなことをおっしゃるの?
どうしてこんな仕打ちをなさるの?
みちるはふつふつと怒りが込み上げてきたが、決してその矛先はれいこではない。
すべては、あの子が、徳島すみれが悪いのだ。
今まで築いてきたれいことみちるとの関係をすべて壊した挙句、か弱い可愛い子を装ってれいこを騙そうとしている。
ずっとそばにいるのに名字でしか呼んでくださらない。
それをあの子は・・・。
なんて、汚い、いやらしい、最低な人間。
今まで、れいこに清らかな思慕の念でずっと接していたみちる。
勿論、日常においても彼女は品行方正狂いのない優しい女の子であった。
だが、今、抱いたこともない恐ろしいほどの憎しみの感情が彼女の中に渦巻いている。
「徳島すみれ、絶対に許さない。私は貴女を絶対に許さない。」
みちるは悔しさに涙をにじませながらそう何度も言い続けたのだった。
すみれが帰るのを見届けた後、嫌悪に満ちた目でみちるが悪態をつく。
それに対して、れいこはいつもの鉄壁の笑顔で言う。
「ねぇ、少し黙ってくれない?」
表情は笑っているのに、声はいたって穏やかなのに、みちるは凍りついた。
「すみません、私っ・・・!!」
そう言うみちるの言葉を遮るようにれいこは彼女の唇に人差し指を当てる。
「ねぇ、黙ってって言ってるよね。」
笑顔はいつものミカエル様なのに、こんなにも彼女を怖いと思ったことはない。
みちるが目に涙を浮かべようとも、れいこは拭ってはくれないし、ましてや可愛いなんて言ってくれない。
恐ろしい、悲しい、そして悔しい。沢山の負の感情が押し寄せてきてみちるが肩を震わせていると、れいこは、吐き捨てるように言う。
「いつもはね、貴女のそういうところが好きなのだけれど、今はとても鬱陶しい。」
そして、みちるの肩を冷たくぽんと叩くと彼女に背を向けた。
「今日はここまでにしましょう。私もこれ以上貴女を嫌いになりたくないし。」
れいこは、みちるに振り返ることなく帰っていく。
その姿をみちるはなすすべもなく、ただ見つめるしかない。
ミカエル様はどうして私にこんなことをおっしゃるの?
どうしてこんな仕打ちをなさるの?
みちるはふつふつと怒りが込み上げてきたが、決してその矛先はれいこではない。
すべては、あの子が、徳島すみれが悪いのだ。
今まで築いてきたれいことみちるとの関係をすべて壊した挙句、か弱い可愛い子を装ってれいこを騙そうとしている。
ずっとそばにいるのに名字でしか呼んでくださらない。
それをあの子は・・・。
なんて、汚い、いやらしい、最低な人間。
今まで、れいこに清らかな思慕の念でずっと接していたみちる。
勿論、日常においても彼女は品行方正狂いのない優しい女の子であった。
だが、今、抱いたこともない恐ろしいほどの憎しみの感情が彼女の中に渦巻いている。
「徳島すみれ、絶対に許さない。私は貴女を絶対に許さない。」
みちるは悔しさに涙をにじませながらそう何度も言い続けたのだった。
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