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「何があっても守るんじゃなかったのかい?」
神々しい白い者が現れた。
「何者だ!? おまえがエリザさんを!?」
シューは身構える。
「その通り。私は、アダイブ・シエル。」
「アダイブ・シエル!?」
白い者はアダイブ・シエルと名乗り、その名を聞いたシューは驚愕する。
「私は末端の下級天使アダイブが何者かに倒されたので、そこで何が起こったのか確認しに来ただけだよ。きっと黒い天使に倒されただろうから、暇つぶしに狩ってやろうと思ったけど、まさか人間に倒されていたとは、笑いが止まらないよ。」
シエルはアダイブがシューにやられたことを知っている。
「・・・。」
「ん? どうしたんだい?」
シエルが愉快に話しているが、シューは話を聞いていない。
「・・・。」
それどころか、シューの心に怒りという黒い感情が生まれる。
「・・・おまえがエリザさんを。おまえがエリザさんを殺したのか!?」
シューは剣を構え体の部分部分を血に変えてドロドロさせていく。
「ただの人間ではないということか?」
アダイブ・シエルは、たかが人間というくらいに考え余裕の表情を見せている。
「絶対に許さない!!!」
シューの怒りが最高潮に達する。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
シューは体を血液化し、一瞬でアダイブ・シエルの目の前に出て振り上げた深紅の剣を振り下ろす。
「どう許さないというのだ?」
アダイブ・シエルは何事もなかった様に片手でシューの一撃を素手で剣を掴み防ぐ。
「なに!?」
シューは自分の一撃が簡単に防がれたことに驚く。
「その程度で私に勝てると思っているのか? 死んだ人間の娘の敵も討てないぞ。」
アダイブ・シエルは、わざとエリザのことに触れ、シューに奮起を促す。
「クソ!? 神の光と炎!」
シューは掴まれた剣を血に変え、アダイブ・シエルの腕から剣を解き放ち間合いを取りながら、サリエルの神の光と炎を放ち攻撃を加える。
「ふん。」
「なに!?」
シューの放った神の光と炎はアダイブ・シエルの体を何事もなかったかのように貫通してしまう。
「そんな紛い物が私に効く訳がない。なぜなら、私はアダイブ本体に限りなく近い存在なのだから。」
アダイブ・シエルは自身をアダイブ本体に近い存在だという。
「それは、どういうことだ!?」
シューにはアダイブ・シエルの言葉の意味が分からなかった。
「今から死ぬ人間が知る必要もない。神の裁きの光を受けるがいい。」
アダイブ・シエルの指先から神々しい光がシューの心臓を目掛けて放たれる。
「グワッ!?」
神々しい光がシューの体を貫き、シューは吹き飛ばされ口から血も吐く。
「本当にアダイブが、こんな脆い人間に倒されたというのか? 信じられないな。」
アダイブ・シエルは、人間であるシューとの戦いに手ごたえを感じなかった。
「こ、このまま・・・ぼ、僕は死ぬのか? ・・・何もできなかった。守ると言ったのに、エリザさんを救うことができなかった。あの時と同じだ。エクレアさんの時と・・・。僕は強くなったはずなのに・・・強くなったはずなのに・・・何もできなかった。」
シューは死を覚悟し、自分の無力さを痛感する。
「僕は・・・もう・・・。」
シューが生きるのを諦める。
「シュー! 起きなさい!」
その時、シューを呼び止める女の声がする。
「はは、エリザさんの声が聞こえてくる。きっと幻聴だな。」
シューは声には気にせず命を終えようとしていた。
「シュー! 勝手に死ぬなんて許さないわよ!」
「エリザさん!?」
さすがに2度目のエリザの呼びかけにシューは目を開く。
「シュー! 私、生きてるのよ!」
「うわあ!? 痛い! 痛い! やめて下さい!」
エリザは涙を流しながら喜びの余りシューに力強く抱きつく。
「ああ~、生き返らしちゃった。」
「ジブリール!? それにサリエルも!?」
シューの目の前にアダイブ・シエルだけでなく、死者を蘇えらせる天使ジブリールと、月と死を司る天使サリエルと、神を癒す天使ラビエルと、神の代行者たる裁きを司る天使ミハイルの黒い天使4人が勢揃いしていた。
「ウリウリ、シューに私を紹介してよ。お嬢さんの回復は私がしたんだからね!」
「はいはい。シュー、こちらは回復専門のラビエル。」
「よろしくね。シューシュー。」
「は、はあ。」
シューはエリザに抱きつかれながらも、個性の強いラビエルの挨拶を受け入れる。
「シュー、残念だけど、君は自己蘇生と自己回復するから、簡単には死ねないみたいだ。」
「そうなんですか。」
シューは倒したアダイブから、ウリエル、ガブリエル、ラファエル、ミカエルの血を深紅の剣に吸わせて、その能力を手に入れている。
「ハッハッハ! シュー! 君は大人しく私の活躍を見ていればいいのだ!」
「・・・ウザそうな人だな。」
自信過剰なミハイルがシューをけん制する。
「奴は、このミハイルが倒す!」
剣を構え黒い羽を羽ばたかせ、ミハイルはアダイブ・シエルに突撃する。
「神の裁きの剣か。さすがに堕天使4人を相手にするのは分が悪いな。」
アダイブ・シエルは4人の黒い天使を相手にするのはおもしろくなかった。
「今日の目的は確認だけなので、失礼するよ。人間よ、もしも大切なものを失いたくなければ、今度で会うまでに強くなって置くことだ。」
そう言うとアダイブ・シエルは、この場から瞬時に消え去った。
「あれれ!?」
ミハイルの剣は空を切った。
「終わったみたいだよ。」
「迎えに来て正解だったね。」
「大丈夫? シュシュ。」
「は、はい。」
「シューこの人たちは何?」
エリザは初めて出会った有翼人に目を丸くして不思議そうに見ている。
「悪魔。」
シューは言葉に困って思わず、悪魔と言ってしまう。
「誰が悪魔だ!? 私は元は大天使ミカエルだぞ!」
「酷いシュシュ!? せめて黒い天使か堕天使と言ってよ!?」
「うっかり間違えた!? うっかりは私のものだぞ!?」
「自己蘇生が尽きるまで殺しまくろうか?」
「え・・・え!? ・・・ギャア!?」
シューは4人の悪魔にボコボコに蹴られ生死の境を彷徨った。
「た、助けて・・・エリザさん。」
ボロボロになったシューはエリザに助けを求める。
「皆さん、仲がいいんですね。シューの友達ですか?」
エリザは鈍感力を発揮して、笑顔で堕天使を受け入れる。
「実は・・・そうなんです。この黒い羽はコスプレ衣装ですよ。ジブリールと申します。お嬢さん。」
「私はラビエル。よくラビオリと間違えられます。」
「うっかりウリエルこと、サリエルです。可憐なあなたを照らすために月を光らせましょう。えい。」
月を司る天使としてサリエルが満月の光をきれいに輝かせる。
「ワッハッハー! かかってこい! アダイブ! このミハイルが成敗してくれるわ! キャッハッハ!」
エリザを照らす月の光がミハイルにも当たってしまい狂喜乱舞させ剣を振り回して走り回ってしまう。
「・・・あの人、大丈夫なんですか?」
「害はありませんが・・・少し・・・いや、かなり、ウザいだけです。」
「キャッハッハ!」
これでも黒い天使の実力とある意味で最強キャラであるミハイル。
「なんだか安心しました。シューはいつも一人で居るイメージだったから、これだけ愉快な友達がいるんですもの。」
「と、友達!? 人間と私たちが!?」
「シュシュは、ラビラビの友達!」
「そうですね。これから、もっと仲良くなりますね。」
サリエル、ラビエル、ジブリールは人間と友達と言われても自分たちが違和感を感じなかったことに戸惑った。
「じゃあ、その友達を踏むのをやめてくれないか?」
「え?」
堕天使たちはシューを踏みながら喋っていた。
「すまん、すまん。うっかりしてたよ。」
「まったく。」
これが正しいうっかりだとサリエルは言いたかった。
「よかったら、皆さんでお茶をしませんか? おいしいエクレアも食べて行ってください。」
「いいんですか!? お嬢さん。」
「はい。御馳走しますよ。」
「やったー! ラビラビ、甘いモノ大好き!」
「クス。」
エリザが和やかな雰囲気を全員にもたらす。
「キャッハッハ! キャッハッハ!」
相変わらずミハイルは笑顔で剣を振り回して野を駆け回っていた。
「・・・あの人はどうしましょう?」
「関わらないで下さい。ウザいだけですから。」
「目を合わせちゃあ、ダメです。愛犬のように近づいてきますからね。」
「は、はあ。」
「さあ、さあ。お茶に呼ばれに行こう。」
こうしてシューたちは丘の上から降りて行った。
「キャッハッハ!」
ミハイルを残して。
つづく。
神々しい白い者が現れた。
「何者だ!? おまえがエリザさんを!?」
シューは身構える。
「その通り。私は、アダイブ・シエル。」
「アダイブ・シエル!?」
白い者はアダイブ・シエルと名乗り、その名を聞いたシューは驚愕する。
「私は末端の下級天使アダイブが何者かに倒されたので、そこで何が起こったのか確認しに来ただけだよ。きっと黒い天使に倒されただろうから、暇つぶしに狩ってやろうと思ったけど、まさか人間に倒されていたとは、笑いが止まらないよ。」
シエルはアダイブがシューにやられたことを知っている。
「・・・。」
「ん? どうしたんだい?」
シエルが愉快に話しているが、シューは話を聞いていない。
「・・・。」
それどころか、シューの心に怒りという黒い感情が生まれる。
「・・・おまえがエリザさんを。おまえがエリザさんを殺したのか!?」
シューは剣を構え体の部分部分を血に変えてドロドロさせていく。
「ただの人間ではないということか?」
アダイブ・シエルは、たかが人間というくらいに考え余裕の表情を見せている。
「絶対に許さない!!!」
シューの怒りが最高潮に達する。
「うおおおおおおおおおおおおお!」
シューは体を血液化し、一瞬でアダイブ・シエルの目の前に出て振り上げた深紅の剣を振り下ろす。
「どう許さないというのだ?」
アダイブ・シエルは何事もなかった様に片手でシューの一撃を素手で剣を掴み防ぐ。
「なに!?」
シューは自分の一撃が簡単に防がれたことに驚く。
「その程度で私に勝てると思っているのか? 死んだ人間の娘の敵も討てないぞ。」
アダイブ・シエルは、わざとエリザのことに触れ、シューに奮起を促す。
「クソ!? 神の光と炎!」
シューは掴まれた剣を血に変え、アダイブ・シエルの腕から剣を解き放ち間合いを取りながら、サリエルの神の光と炎を放ち攻撃を加える。
「ふん。」
「なに!?」
シューの放った神の光と炎はアダイブ・シエルの体を何事もなかったかのように貫通してしまう。
「そんな紛い物が私に効く訳がない。なぜなら、私はアダイブ本体に限りなく近い存在なのだから。」
アダイブ・シエルは自身をアダイブ本体に近い存在だという。
「それは、どういうことだ!?」
シューにはアダイブ・シエルの言葉の意味が分からなかった。
「今から死ぬ人間が知る必要もない。神の裁きの光を受けるがいい。」
アダイブ・シエルの指先から神々しい光がシューの心臓を目掛けて放たれる。
「グワッ!?」
神々しい光がシューの体を貫き、シューは吹き飛ばされ口から血も吐く。
「本当にアダイブが、こんな脆い人間に倒されたというのか? 信じられないな。」
アダイブ・シエルは、人間であるシューとの戦いに手ごたえを感じなかった。
「こ、このまま・・・ぼ、僕は死ぬのか? ・・・何もできなかった。守ると言ったのに、エリザさんを救うことができなかった。あの時と同じだ。エクレアさんの時と・・・。僕は強くなったはずなのに・・・強くなったはずなのに・・・何もできなかった。」
シューは死を覚悟し、自分の無力さを痛感する。
「僕は・・・もう・・・。」
シューが生きるのを諦める。
「シュー! 起きなさい!」
その時、シューを呼び止める女の声がする。
「はは、エリザさんの声が聞こえてくる。きっと幻聴だな。」
シューは声には気にせず命を終えようとしていた。
「シュー! 勝手に死ぬなんて許さないわよ!」
「エリザさん!?」
さすがに2度目のエリザの呼びかけにシューは目を開く。
「シュー! 私、生きてるのよ!」
「うわあ!? 痛い! 痛い! やめて下さい!」
エリザは涙を流しながら喜びの余りシューに力強く抱きつく。
「ああ~、生き返らしちゃった。」
「ジブリール!? それにサリエルも!?」
シューの目の前にアダイブ・シエルだけでなく、死者を蘇えらせる天使ジブリールと、月と死を司る天使サリエルと、神を癒す天使ラビエルと、神の代行者たる裁きを司る天使ミハイルの黒い天使4人が勢揃いしていた。
「ウリウリ、シューに私を紹介してよ。お嬢さんの回復は私がしたんだからね!」
「はいはい。シュー、こちらは回復専門のラビエル。」
「よろしくね。シューシュー。」
「は、はあ。」
シューはエリザに抱きつかれながらも、個性の強いラビエルの挨拶を受け入れる。
「シュー、残念だけど、君は自己蘇生と自己回復するから、簡単には死ねないみたいだ。」
「そうなんですか。」
シューは倒したアダイブから、ウリエル、ガブリエル、ラファエル、ミカエルの血を深紅の剣に吸わせて、その能力を手に入れている。
「ハッハッハ! シュー! 君は大人しく私の活躍を見ていればいいのだ!」
「・・・ウザそうな人だな。」
自信過剰なミハイルがシューをけん制する。
「奴は、このミハイルが倒す!」
剣を構え黒い羽を羽ばたかせ、ミハイルはアダイブ・シエルに突撃する。
「神の裁きの剣か。さすがに堕天使4人を相手にするのは分が悪いな。」
アダイブ・シエルは4人の黒い天使を相手にするのはおもしろくなかった。
「今日の目的は確認だけなので、失礼するよ。人間よ、もしも大切なものを失いたくなければ、今度で会うまでに強くなって置くことだ。」
そう言うとアダイブ・シエルは、この場から瞬時に消え去った。
「あれれ!?」
ミハイルの剣は空を切った。
「終わったみたいだよ。」
「迎えに来て正解だったね。」
「大丈夫? シュシュ。」
「は、はい。」
「シューこの人たちは何?」
エリザは初めて出会った有翼人に目を丸くして不思議そうに見ている。
「悪魔。」
シューは言葉に困って思わず、悪魔と言ってしまう。
「誰が悪魔だ!? 私は元は大天使ミカエルだぞ!」
「酷いシュシュ!? せめて黒い天使か堕天使と言ってよ!?」
「うっかり間違えた!? うっかりは私のものだぞ!?」
「自己蘇生が尽きるまで殺しまくろうか?」
「え・・・え!? ・・・ギャア!?」
シューは4人の悪魔にボコボコに蹴られ生死の境を彷徨った。
「た、助けて・・・エリザさん。」
ボロボロになったシューはエリザに助けを求める。
「皆さん、仲がいいんですね。シューの友達ですか?」
エリザは鈍感力を発揮して、笑顔で堕天使を受け入れる。
「実は・・・そうなんです。この黒い羽はコスプレ衣装ですよ。ジブリールと申します。お嬢さん。」
「私はラビエル。よくラビオリと間違えられます。」
「うっかりウリエルこと、サリエルです。可憐なあなたを照らすために月を光らせましょう。えい。」
月を司る天使としてサリエルが満月の光をきれいに輝かせる。
「ワッハッハー! かかってこい! アダイブ! このミハイルが成敗してくれるわ! キャッハッハ!」
エリザを照らす月の光がミハイルにも当たってしまい狂喜乱舞させ剣を振り回して走り回ってしまう。
「・・・あの人、大丈夫なんですか?」
「害はありませんが・・・少し・・・いや、かなり、ウザいだけです。」
「キャッハッハ!」
これでも黒い天使の実力とある意味で最強キャラであるミハイル。
「なんだか安心しました。シューはいつも一人で居るイメージだったから、これだけ愉快な友達がいるんですもの。」
「と、友達!? 人間と私たちが!?」
「シュシュは、ラビラビの友達!」
「そうですね。これから、もっと仲良くなりますね。」
サリエル、ラビエル、ジブリールは人間と友達と言われても自分たちが違和感を感じなかったことに戸惑った。
「じゃあ、その友達を踏むのをやめてくれないか?」
「え?」
堕天使たちはシューを踏みながら喋っていた。
「すまん、すまん。うっかりしてたよ。」
「まったく。」
これが正しいうっかりだとサリエルは言いたかった。
「よかったら、皆さんでお茶をしませんか? おいしいエクレアも食べて行ってください。」
「いいんですか!? お嬢さん。」
「はい。御馳走しますよ。」
「やったー! ラビラビ、甘いモノ大好き!」
「クス。」
エリザが和やかな雰囲気を全員にもたらす。
「キャッハッハ! キャッハッハ!」
相変わらずミハイルは笑顔で剣を振り回して野を駆け回っていた。
「・・・あの人はどうしましょう?」
「関わらないで下さい。ウザいだけですから。」
「目を合わせちゃあ、ダメです。愛犬のように近づいてきますからね。」
「は、はあ。」
「さあ、さあ。お茶に呼ばれに行こう。」
こうしてシューたちは丘の上から降りて行った。
「キャッハッハ!」
ミハイルを残して。
つづく。
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