茶店の歌姫5 スーパー

渋谷かな

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エヘッ! 15

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「おみっちゃん、順調に勝っているじゃないかい。」
 女将さんがおみっちゃんの応援にやって来た。
「あ、女将さん。次は準決勝です。エヘッ!」
 戦いの緊張感のないエヘ幽霊。
「優勝して善行を積みますよ! そして私は音痴の呪いを解いて歌姫になるのです!」
 おみっちゃんの決意は固い。
「がんばってね! おみっちゃん!」
 女将さんはおみっちゃんを応援している。

「それでは準決勝第1試合を行います。唐傘お化けさんとおみっちゃん。どうぞ。」
 いよいよ準決勝が始まる。
「傘だからってなめるなよ!」
「私が可愛いからってなめるなよ! エヘッ!」
 相手よりも自分の可愛さに寄っているエヘ幽霊。
「それでは試合開始です!」
 いよいよ試合が始まる。
「くらえ! おみっちゃん! 唐傘流奥義! 唐傘面胴突き!」
 唐傘お化けの高速の連続攻撃。
「ギャアアアアアアー!」
 おみっちゃんは倒された。
「勝った! これで決勝に行くのは私だ! ワッハッハー!」
 勝ち誇る唐傘お化け。
「それはどうかな?」
 倒されたはずのおみっちゃんが現れた。
「おみっちゃん!? どうしておまえが!?」
 唐傘お化けは倒したはずのおみっちゃんが生きていて驚いた。
「私は幽霊なので攻撃でダメージは受けないんです。」
 おみっちゃんは幽霊だったので攻撃でダメージはウケなかった。
「バカな!? 卑怯だぞ!」
 抗議する唐傘お化け。
「私が可愛いから許してください。エヘッ!」
 可愛く謝るエヘ幽霊。
「お詫びに私が歌を歌ってあげましょう!」
 おみっちゃんは歌を歌い始めた。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「ギャアアアアアアー! 耳が腐る! 参りました!」
 唐傘お化けは降参した。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! 歌って素晴らしい! エヘ幽霊。」
 ご満悦なエヘ幽霊。
「歌を歌うだけで敵を倒すとは!? なんて恐ろしいだ!? おみっちゃん!?」
 魔王妖怪マヨはおみっちゃんに恐怖した。

「続きまして、準決勝第2試合、天狗さん対魔王妖怪マヨさんの戦いを行います。」
 準決勝第2試合が始まる。
「私の対戦相手はどこにいる?」
 天狗の姿はどこにもなかった。
「ええ~天狗さんは前回の戦いで重傷を負い入院中ですので、魔王妖怪マヨさんの不戦勝が決まりました!」
 戦わずして魔王妖怪マヨの決勝進出が決まった。
「おみっちゃん! 決勝戦で勝負だ!」
 魔王妖怪マヨはおみっちゃんに宣戦布告する。
「あれ? おみっちゃんがいない?」
 しかし周囲を見渡してもおみっちゃんの姿はなかった。
「いらっしゃいませ! 美味しい! 美味しい! お茶とお団子ですよ! 期間限定でかき氷、勝ち割り氷、ふわトロ氷もやってますよ! 1杯1000円!」
 おみっちゃんは女将さんに捕まり茶店で看板娘のアルバイトをしていた。

「いよいよ決勝戦です! おみっちゃんと魔王妖怪マヨさんの戦いです!」
 妖怪オリンピックの決勝戦が行われる。
「私、茶店のアルバイトが忙しいんですけど。」
「余裕だな。私なんかは眼中にないというのか? ふざけやがって! 絶対にコテンパンにしてやる!」
 両者とも気合十分である。
「それでは試合開始です!」
 決勝戦が始まった。
「おみっちゃん。おまえなんか私の小指一本で仕留めてやる。えい。」
 魔王妖怪マヨは小指でおみっちゃんを突いた。
「ギャアアアアアアー!」
 おみっちゃんは倒された。
「魔王妖怪の私に歯向かおうなど3万年早いのだよ! ワッハッハー!」
 勝ち誇る魔王妖怪マヨ。
「それはどうかな?」
 その時、倒されたはずのおみっちゃんが現れる。
「おみっちゃん!? 倒したはずだ!?」
 半信半疑になる魔王妖怪マヨ。
「ところがどっこい。私は幽霊なので攻撃を受けてダメージを受けることが無いのです。エヘッ!」
 絶対無敵のエヘ幽霊。
「反則だ! レッドカードだ! 退場しろ!」
 抗議する魔王妖怪マヨ。
「お詫びに私の歌をお聞かせしましょう。」
 おみっちゃんは歌を歌い出す。
「ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「ギャアアアアアアー! 頭が破裂する! 私の負けだ! 歌うのはやめてくれ!」
 魔王妖怪マヨは降参した。
「ご清聴ありがとうございました! ああ~気持ち良かった! 歌って素晴らしい! エヘッ!」
 大好きな歌を歌えてご満悦なエヘ幽霊。
「あれ? 気が付いたら勝っちゃった。エヘッ!」
 歌を歌うだけで強敵を次々倒していくラッキーなエヘ幽霊。
「妖怪オリンピックの優勝者はおみっちゃんです!」
 おみっちゃんは優勝してしまった。
「やったー! これで善行は私のものです! わ~い!」
 おみっちゃんは優勝賞品の善行を手に入れた。
「あれ? 優勝賞金の善行が無い?」
 よく見ると優勝賞金の善行が無くなっていた。
「ワッハッハー! 善行は私たちが頂いた!」
 その時、何者かが現れた。
「おまえたちは何者だ?」
 おみっちゃんは尋ねてみた。
「私、鬼の頭領の酒呑童子だ。優勝賞品の善行は頂いた。返してほしければ丹波国の大江山まで奪い返しにこい。さらばだ。」
 酒呑童子は痛いことだけ言って去って行った。
「待て! 酒呑童子! 私の善行を返せ!」
 おみっちゃんは酒呑童子を追いかけることにした。
「茶店の出張ですな。きっと珍しいから儲かるぞ。イヒッ!」
 女将さんの頭の中はお金儲けのことでいっぱいである。
「待っていろ! 酒呑童子! 必ず私の善行を取り戻してやる!」
 復讐に燃えるおみっちゃんであった。
 つづく。
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