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「絶対? 本当に? 絶対に解けない謎はない! 私が絶対法則をぶち壊す!」

この物語は、性格にクセのある女子高生探偵が登場するライトミステリーである。


「なぜだ!? なぜ、おまえがここに居る!?」
「確かにコンクリートに埋めて、船に積まれて太平洋に沈めたはずなのに!?」
鈴と南は冒頭から驚いていた。
「なぜって? それはここが私の住居兼店舗だからだ!」
妖怪のおみっちゃんは船に積み込まれる際に、コンクリートから抜け出して、今日も元気に駄菓子バーを開業している。
「おまえら、ジュースと駄菓子と電話使用料を払わすぞ。」
「お許しください! おみっちゃんさま!」
「みんな、鈴ちゃんがやったことです! 私は悪くはありません!」
たまに南は鈴を裏切る。
「まったく、サウス&ベルには困ったものね。ご近所さんの好で許してあげよう。」
「さすが、おみっちゃん! 優しい!」
「ジュースおかわり!」
「調子にのるな!」
おみっちゃんは鈴と南にとって、とても優しいお姉ちゃんなのだ。ただし子供の頃から、おみっちゃんの容姿は変わらないで美人でカワイイままだった。
「コンコン。」
おみっちゃんのペットの妖狐の子供のコンコンが現れた。
「そうだ! 鈴ちゃんと南ちゃん。コンコンを散歩に連れて行って。」
「ええ~面倒臭い。」
「南、歩いてはいけない病にかかっちゃった! 動けない! 重症よ!」
コンコンの散歩を邪険に扱う鈴と南。
「あっそう。じゃあ、ジュース代を払ってもらいましょうか?」
「いくぞ! コンコン!」
「南、コンコン大好き!」
「重症はどこにいった。重症は。」
手のひら返しの鈴と南を疑いの眼差しで見るおみっちゃん。
「コンコン。」
「いってきます!」
「いってらっしゃい!」
こうしてコンコンは鈴と南と散歩に行くことになった。
「何事も起きなければいいけど。」
心配するおみっちゃんだが、事件に巻き込まれなければ探偵モノではないのだった。


「どうしよう?」
「どうしたの?」
「何も事件が起こらないよ!?」
鈴と南は普通に散歩をしているだけで、事件を巻き起こす不幸を持ち合わせていなかった。
「ギギギギギ!」
そこに居眠り運転の車が鈴と南を目掛けて突撃してくる。
「コン!」
コンコンが妖狐の子供らしく青い炎の狐火を出し、居眠り運転の車に狐火をぶつける。
「ドカーン!」
居眠り運転の車は炎上した。
「困ったな。事件が起こらない・・・。」
「探偵モノに平和はタブね・・・。」
考え込んでいる鈴と南には車が炎上したことは気づかなかった。
「コンコン。」
「そうだね。散歩もしたし、おみっちゃんの所へ帰ろう。」
「南、喉が渇いたからジュースもらうんだ。」
「コン~。」
コンコンもお腹が空いたので油揚げが食べたいと言っている。
「コンコンは可愛いね。」
「コン~。」
無事にコンコンの散歩を終えた女子高生探偵サウス&ベルであった。

つづく。
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