上 下
20 / 85

2-2

しおりを挟む
「歌を歌って、事件を解決!? アイドル探偵登場!」

この物語は、性格にクセのあるアイドル探偵が登場するライトミステリーである。


「無理!」
鈴、東西南の4人は北さんのバックダンサーに疲れ切って倒れて崩れていた。
「はあ・・・はあ・・・。」
「アイドル探偵をやり続けたら、東さんが死んじゃうよ!?」
「やっぱり探偵モノは何をやっても名探偵コナ助がテレビ放送を終了しないと、どこか被ってしまうので、有名作品のシンパシーからすると大衆から否定されるのが辛いわ。」
「どうしたの!? 南ちゃんが長台詞だなんて!? さすが敏腕秘書!」
もう、物語の根幹が崩れ落ち、女子高生探偵の鈴木鈴を途中で書くのを止めよう! この素人作家、作品を途中で投げ出す最低な奴だのレッテルを張られよう! 編集さんからの信頼を無くす状態になるのだが・・・。
「もう、私は動けない・・・こうなったら、最終兵器を投入して休憩するわ!」
ついに東さんの最終兵器が公表される。ステージのライトは消され真っ暗になり、太鼓の生演奏だけが響く。
「最終兵器は・・・おみっちゃんです!」
東さんの最終兵器はおみっちゃんであった。
「え? 私? 私、幽霊ですけど?」
本作品で、鈴の家のお隣のお姉さんであり、駄菓子バー五寸釘のオーナーである。鈴たちが遠足や中間テストの時に探偵事務所サウス&ベルの依頼を代わりにこなしてくれる、頼れる幽霊である。
「ノープロブレム、問題なし!」
説明しよう。最強の歯科助手のみなみちゃんも、野菜防衛隊という作品で主人公がおやつを食べ過ぎて虫歯ができ、クセの強い歯医者さんに行った時にできた奇跡の作品である。今回、主役よりもお化け探偵おみっちゃんの方が面白そうなので路線を変えるだけである。
「ちなみに、もう、この作品で大賞は狙えないわ! はあ・・・はあ・・・。」
東だけでなく、東西南も納得の諦めである。
「え~!? アイドル探偵の北さんでいいじゃない!?」
抵抗しているのは北さんだけである。
「みんなの声援で北、アイドルになっちゃいました! ウオウオー! 握手会にはウナギのヌルヌルの皮を手に巻き付けて、消毒液のバケツを用意してるから、それでも良かったら来てね! ウオウオー!」
アイドル探偵の北さん・・・作詞作業も含めて、歌が出てくる作品は作者のかなりの負担である。
「私、前科者だよ?」
以前、おみっちゃんは子天狗と小坊主の出る作品で、回復できる妖怪がいない! ということで回復用に創作された。正式名称が、癒し女のおみっちゃん。スキルは、耳掃除、膝枕、包帯が巻ける、ボトル一本100万円である。もちろん戦闘中の回復はできない、立派な回復役である。
「また、私で字数を稼ぐんですね。もう、本当は私のことが好きなんでしょう?」
結果として、主人公はおみっちゃんに変わり、子天狗と小坊主はちょい役に降格された。主人公に昇格したり、困った時に書きたくなったり、作者の世界観として、またキャラ文芸のテーマのクセのある妖怪探偵とも合っているのだろう。
「エヘ。」
ちなみに作者が同じなので、おみっちゃんも可愛く笑う、エヘ笑いキャラである。

つづく。
しおりを挟む

処理中です...