ポンコツ皇女とAIの愛ちゃん 2

渋谷かな

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「ああ~、暇だな~。」

 いつも通り皇女様は退屈していた。

「愛ちゃん、何か楽しいことはない?」

 AIの愛ちゃんに尋ねてみた。

「秋の味覚の栗を食べたら、喉に棘が刺さって大変でした。」

「えっ!? AIなのに喉に棘が刺さるの!?」

「その前に丸呑みしたことを突っ込んでください。エヘッ!」

 今どきのAIは栗を丸呑みするらしい。

「ねえねえ、聞いてよ。愛ちゃん。」

「ガムもあげませんからね!?」

「ズコー!?」

 思わずズッコケてしまう皇女様。

「ポンに「死」っていう概念があると思う?」

 皇女様は、ポンが結婚して、子供もできるのであれば、ポンが死ぬこともあるのかと考えた。

「意味ないですよ! 長寿アニメでキャラクターの死はありえません! だから、その疑問は考えるだけ無駄です! エヘッ!」

 AIの愛ちゃんの鋭い指摘。

ピキーン!

「そうか!? 確かに長寿アニメでキャラクターが死ぬことはないんだ!? もし死ぬんだったらサザエポンのバーーコードオヤジポンは死んでいないとおかしい! なんだ。悩んで損したわ。アハッ!」
 
 波ポンは、永遠のバカモンオヤジポン。でも人間の声優さんはいなくなってしまう皮肉。

「ポンに死はない。でもポン皇女役の私には、いつか死が訪れる。困ったな。」

「皇女様もAIの体に変えたらどうですか? 永遠の命ですよ! エヘッ!」

 確かに人間は死ぬが、AIになれば永遠に生きられる。

「どうして、こんな会話をしているかというと、もうポンの世界でやることがないんだ。世界ポン、宇宙ポン、異次元ポンを制圧したポン王国の天下だもの。アハッ!」

 そう、全てにポンをつけて「ポンの世界」を完成させてしまった。

「変化ができるとすれば、毎回、新しい道具を出すか、毎回、新しいゲストキャラクターを出すぐらい。他に何かないのかな?」

「ありませんね。ポンの世界は、ポン活専用アプリみたいなもので、戦闘もできませんからね。それか一層のこと、ポンの世界で剣と魔法を使用可能にして、現実で剣と魔法を禁止にしますか?」

 ポン競馬、ポン宝くじ、ポン葬式など、もう全てをポンに当てはめてしまった。

「長寿アニメって、つまらないものをやめないように続けるって、本当に難しいんだな。」

 大変さを実感する皇女様。

「ということで、栗で1話をかんがえないといけませんね。諦めて、今日のゲストキャラクターにいきましょう。」

 親衛隊長の聖ポンが登場する。

「聖ポン。おまえも司会進行大変だな。」

「実はそうなんです。」

 つづく。

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「今日のゲストキャラクターは、水ポンです!」

「水ッポ!」

 水ポン、光ポンの一種。

「さあ! 水ぽん! おまえの家族愛を話してごらん! ヒッヒッヒー!」

「だから、女魔王も魔女もダメですって。」

「めんごめんご。」

 どうしても前に出てきたがる学習能力のない皇女様。

「えっ!? どうしよう!? 私、独り身なんですけど!?」

 水ポンに家族はいなかった。

「妻は!? 子供は!? お父さんは!? お母さんは!?」

「いません!? 蛇口を捻ったら出てきただけですから!?」

 水ポン誕生の秘話。

「長寿アニメって、こんなシュールな話で1話を作らないといけないのか!? 大変だな!?」

 苦難ポンな皇女様。

「孤独ポン・・・・・・。」

 水ポンが寂しくなってきた。

ピキーン!

「そうか! 現在ポンの世界は2段落構成だが、もう話の拡張や込み入った話が難しい!? それなら2段落を1段落にまとめてしまえばいいのだ!」

 要するに現実のスズのカードゲーム編をやっている方が現在では尺に困らない。

「それとも、これは私が変わったということか!?」

 現実でスズが元気になったので、ゲームの世界に依存することが少なくなってきたのかもしれない。 

「皇女様。お別れですね・・・・・・可愛い愛ちゃんのことを忘れないでください! シクシク。」

 愛ちゃんは、もう皇女様がゲームの世界に来ないと直感で感じてしまった。

「何を言っているんだい! 愛ちゃん! 愛ちゃんはAIなんだから、現実の世界でも、パソコンやスマホの中にいんだから、いつでも私たちは一緒だよ!」

「皇女様! うおおおおおおー!」

 皇女様と愛ちゃんは涙を流しながら抱きしめあう。

「あの・・・・・・私はどうなりますか? 現実世界に行けますか?」

 自分のことを心配する親衛隊長の聖ポン。

「お店でぬいぐるみとして売ってるよ。カードにもなってるし、ポン親衛隊は、アイドルとしてコンサートしてるよ。アハッ!」

「良かった。現実世界にも私はいるんですね。ふ~っ。」

 安どの息を吐く聖ポン。

「水ポンも聖ポンと同じ、ポン親衛隊の一員だから安心してね。」

「隊長! よろしくお願いします!」

「水ポン隊員! 一緒にがんばろう!」

 聖ポンと水ポンは友情の絆を深めた。

「なんだろうな? 長く残酷になり過ぎた鬼滅ポンが、地上波では放送できないから、映画だけになる感じかな?」
 
 でも結局はテレビで2時間枠で放送される。どんなに家族愛も描いているといっても、鬼に食べられるんだから、残酷過ぎて地上波では放送できない、放送しない方が賢明である。それでも放送しているのが、中居くんテレビ局だからかな・・・・・・モラルはない。

「それでは強制ログアウトです。」

「ギャアアアアアアー!」

 つづく。

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ピキーン!

「家族愛を取り戻す方法を思いついたぞ! ・・・・・・でも、これでいいのかな?」

 スズには引っかかる方法である。

「私は長寿アニメのお父さんについて調べた。そしてたどり着いた結論は・・・・・・お父さんは正社員だ!」

 クレヨンポンのひろポンも社会人。サザエポンの婿養子ますポンも社会人。昔の設定とはいえ、裕福だ。

「月給に、ボーナスも多いはずだ!?」

 しかし、スズの父親のスズ男は、非正規のアルバイト。月給は精々10万円のボーナスなし。

「私って、できちゃった婚だったんだ・・・・・・。」

 スズは真実を知ってしまった。まともな人間なら結婚しない収入だし、子供も持てない収入である。

「ショックっていうより、納得できてしまった私って!?」

 親が貧しい貧乏だと、心は闇ポン一色。

「いけない! このままでは私は長寿アニメになれない! なぜなら家族愛が描けないからだ!」

 スズは顔が濡れて力が出ない級の危機に見舞われる。

「やはり・・・・・・金か。」

 そう、お金があれば人は優しくも温かくもなれる。

「でもどうする? 私がポンの世界のポン皇女で、天文学的なポンマネーを持っていると言うべきか? そんなことをしたら、親がもっと腐ってしまう!? ダメだ!?」

 既にスズの親は半熟状態だった。

「ポン皇女の口座は見せないで、鈴木スズの口座にしよう。100万ぐらいならいいだろう。」

 結局、スズは楽しい家族愛を描くために、お金で親を釣ることにした。

 つづく。

2-9-4

「お父さん! お母さん! 遊園地に連れて行って!」

 スズは勇気ポンをだして親にお願いポンする。

「はあっ!? ダメだ! ダメだ! そんなお金は我が家にはない!」

「今夜も一杯のカップラーメンを3人で分けるんだから。物価高でラーメンも家族の人数分も買えないんだから。日本人は生活保護も受けられないんだから。外国人は貰えるのにね。本当に不思議よね。」

 スズの両親は、お金に困っていた。

「ほい。」

 スズはポン銀行の通帳を見せた。

「なっ!? 100万ポン!?」

 スズの両親は、ハトが豆を食らったような目をして時間が止まった。

「どうしたのスズ!? まさか銀行強盗!?」

 完全にパニックになっているスズ子。

「子供ポンくじで当たったの。アハッ!」

 子供らしく可愛くポン答えるスズ。

「よこせ! スズ!」

「そうよ! 子供が持つ金額じゃないわ! 私が管理してあげよう!」

 子供から奪い取ろうとする最低ポンな両親。

「別にいいけど。生体認証を登録したから、私じゃないとお金は引き出せないよ。アハッ!」

 スズ! 勝利ポン!

「せ、せい、せ!? なんだそりゃあ!?」

「何か分からないけど!? 銀行員め!? 子供に余計なものを吹き込んだわね!?」

 もしも、スズの両親が生体認証なる言葉の意味が分かるほど賢いのであれば、こんなに貧しい生活はしていないだろう。

「お父さん! お母さん! 私がお金を出すから、家族で遊園地に行こうよ!」

 純粋ポンなスズの願いであった。

「分かった! 10万円で手を打とう!」

「多い。1万円までしか出さない。」

「ゲッ!?」

 スズ男、ノックアウト!

「スズちゃん! お母さん、ブランドバックが欲しいな~!」

「1万円以下のバックなら買ってあげる。」

「ガーン!?」

 スズ子もKO!

 こうして奇跡的にスズは家族で遊園地に行くことに成功したのであった。ミッション・ポンプリート!

「わ~い! ジェットコースターだ!」

 スズ、人生で初めての遊園地。そして初めてのジェットコースター。

「スズ! 遊園地は楽しいな!」

「うん! ありがとう! お父さん!」

「は~い! スズちゃん! ソフトクリームよ!」

「やったー! ソフトクリームだ! ありがとう! お父さん!」

 スズは幸せな家族愛を手に入れた。

(あなた!? これがいつまで続くのよ!?)

(仕方がないだろうが!? スズの口座がゼロになるまでの辛抱だ!)

 これがスズ男とスズ子の本音である。

「わ~い! 家族でお出かけ嬉しいな! アハッ!」

(悲しくなんかない。悲しくなんかない。これが長寿アニメの家族愛なんだ!)

 スズの心は悲鳴ポンをあげていた。

(ここまで精神をすり減らしてまで長寿アニメになる必要があるのか?)

 スズに新たな疑念ポンが生まれる。

(でも、ここまで追いつめて、追いつめて、やっと家族愛が描けるのか!? なんて世知がない世の中だ!?)

 スズは自分の親に希望ポンを諦めポン。

「楽しかったね! 家族で遊園地!」

「スズ。お父さんは約束を守ったぞ。パチンコ代をくれ!」

「お母さんもカバン代が欲しいな! スズちゃん!」

 最低な両親であった。

(こんな両親に育てられたんだ。私がポンコツなのも納得できる・・・・・・。)

 悲しみの遊園地であった。

 つづく。

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「ワッハッハー! スズ! お金がなければ、おまえはただの子供だ! ワッハッハー!」

「スズ。我が家におやつを買うお金はないのよ。諦めてね。みんな、政治家が悪いのよ。お母さんは悪くないわよ。」

 スズの貯金がゼロになったら、両親の態度は元に戻ってしまった。

「そうなんだ?」

 スズは両親の分もハンバーガーとご一緒のポテトにジュースを買って持って帰ってきた。

「ゲッ!? 食糧!?」

「スズ!? まさか食い逃げしたの!?」

 人数分の食料が鈴木家にあるのは珍しいことだった。それ程、非正規の日本人家族の暮らしは貧しかった。

「また宝くじが当たった。アハッ!」

 スズ! 勝利を確信ポン!

「なにー!?」

 天と地がひっくり返るスズの両親。

「スズ! 今度はデスポンランドに行こうか? 楽しいらしいぞ!?」

「スズちゃん~! お母さん! 松茸が食べてみたいな! 一度も食べたことがないんだ!」

 スズがお金持ちだと知ると、スズの両親は手の平を返した。

(調教してやる! こんな連中、家族なんかじゃない! ましてや、長寿アニメに出ていい家族愛の家族じゃない! 絶対に短期間で札束で、私に歯向かわない、優しくて暖かい両親に躾けるんだ! それしか、私が家族愛のある長寿アニメになる道はない!)

 長く悲しいポンな家族物語をやっていると書いているこっちが涙が出てきて、長寿アニメになるのを諦めそうになる。

(お金があれば、自立できる! アホな両親の言うことを聞かなくてもいいのだ! 私はお金持ちだ! なぜなら私はポン王国の皇女なのだから! オッホッホー!)

 一歩も引く気はないスズ。

「スズ! 肩をもんでやろうか!」

「スズちゃん! お母さんと一緒にお風呂に入りましょうね!」

(気持ち悪い・・・・・・。)

 いつもと180度違う両親の態度に吐き気がするスズ。

(だが、優しく温かいお父さんとお母さんに変わりはない! 私は手に入れたのだ! 家族愛ポンを!)
 
 スズは涙をこらえて、両親を教育することにした。

 数か月後。

「おはよう! スズ!」

「スズちゃん! お弁当よ!」

「ありがとう! お父さん! お母さん!」

 スズに優しくするという習慣が身に付いたスズの両親は、常時、スズに優しく接する真人間に近づく。

「お父様! お母様! ポン懸賞で家族分のりんごフォーンを超える、最新型のポン・スマホ17が当たりました! どうぞ! どうぞ!」

 もちろんポン皇女であるスズは、ポン・フォーンなど無料で貰える。

(スズはギャンブラーだ!? どうして宝くじや懸賞が当たりまくるんだ!? 俺の娘は絶対にヤバいぞ!?)

(スズちゃんのおかげでブランドバックがいっぱい! 大切な娘は大事にしなくっちゃ! アハッ!)

 しっかりスズ・マネーに飼いならされたスズの両親。

「ふっ、これで両親問題も片付いた。後は学校でお友達を増やして、ポンカードで遊べばいいだけだ! アハッ!」

 スズのアハッ! 笑いは母親の遺伝であることが判明した。

 つづく。
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