ESF 楽しい・サイ・ファン

渋谷かな

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「町を救った伝説の女魔法剣士 カトリーヌ・ねこぴょん 凱旋パレード!」

私の人生は魔王のゾンビを倒したことにより大きく変わった。180度変わったと言っても過言はなかった。

「どうして一番盛り上がっている所で話をまたぐんだ!?」
「文字数が多いと読者・視聴者が離れるそうだ。」
「なんじゃそりゃ!?」

こうして、魔王のゾンビを倒した後の回想から始め直す。

「た、倒しちゃった!? 私が!?」

ねこぴょんは自分が行った行為に、恐怖した。

「おめでとう! ねこぴょん!」
「英雄! ねこぴょんの誕生だ!」
「あ、ありがとう。」
「俺のサイコロのおかげだ!」
「私の祈りのおかげだよ!」
「あの・・・倒したの私なんですけど?」
「わっはっは! やったー! やったー! ヤッホー! ヤッホー!」

私たちは目と目を見合い、勝利の余韻に高笑いをして踊った。

「それにしても私が私じゃないみたい!?」
「俺はサイコロの出た目の補助効果を絶対に行わせる、天下無敵のサイコロ士だ!」
「おお! やっとサイコロ士が偉大なのが分かってきたわ。」
「私は神に祈ることで、良いサイコロの目が出ることを祈る祈祷師です。」
「詐欺師みたいなシャーマンね。いるの? その祈り?」
「もし私の祈祷がなければ、自分にダメージ200万というサイコロの目が出た場合、おまえは死ぬんだぞ!」
「ええ!?」
「それでもいらないというのか!?」
「いります! いります! どうか私を許してください!」
「分かればいい。分かれば。」

これで話は一件落着したかに見えた。

「でも、どうして魔王のゾンビなんていう、高位アンデッドが初心者ばかりの始まりの町なんかにやって来たのかしら?」
「ギク!?」
「グサ!?」
「怪しい・・・まさか!? 原因は、あなたたちね!」
「ギクギク!?」
「グサグサ!?」
「なにか知っているなら言いなさい!」
「お、俺は何も知りません!?」
「私は無実です!? 悪いのはうさぴょんです!?」
「裏切り者!?」
「本当のことだろうが!? 悪いのはおまえだ!」
「あなたたち。」
「い!?」
「私の剣には、さっきの攻撃力200万の残り火が残っているんだけど、あなたたちを一瞬で消すくらいの破壊力は残っていると思うんだけど? へっへっへ。」
「ギャアアア!?」

私は、うさぴょんとくまぴょんを優しく諭した。

「うさぴょんの持っているサイコロは、魔王の心臓です!」
「魔王の心臓!?」
「そうだ。うさぴょんが魔王から心臓をえぐり出したのが、全ての悪の元凶なんです。」
「俺が悪かった! 許してくれ!」

なんと、うさぴょんのサイコロは、魔王の心臓であった。

「ちょっと待って! おかしいわ! どうして、うさぴょんが魔王から心臓をえぐり出すことが出来るのよ?」
「ごもっとも。」
「どうしてよ? 教えなさいよ?」
「それは・・・。」
「それは・・・。」
「うさぴょんが、魔王を倒した英雄だからだ。」
「はあ?」
「失礼な!」
「うそ~。魔王を倒して世界に平和をもたらした英雄の伝説は1000年以上昔の話よ。生きてる訳ないじゃない。」
「誰も生きているとは言ってない。」
「その通り。」
「え? あなたたちは死んでいるとでもいうの?」
「大正解!」
「俺たちは死んでいるのだ!」
「生きているとは一言も言ってない」
「やったー! 久しぶりに俺たちを分かる人間に出会えた!」
「ここまでの道のりは長かったな、くまぴょん。」
「そうとも、うさぴょん。これで俺たちも天国に行けるぞ!」
「おお! うるうる!」

うさぴょんとくまぴょんは涙を流して抱きしめ合い喜んだ。

「まったく理解できないんだけど。分かるように話してくれないかな?」
「あれは俺が20才の春だった。世の中を恐怖の魔王シューベルぴょんが支配し、人々を恐怖のどん底に叩き落していた。」
「その時、一人の勇者が立ちあがった。世界を魔王の魔の手から救った英雄トムだ。トムは、祈祷師を始めとするパーティーを組んで、遂に魔王を倒すことに成功した。」
「ところが俺は魔王の心臓がサイコロみたいで面白い形をしているなっと知り、取り出すことにした。」
「それが全ての間違いでした。」

俺は魔王の心臓をえぐり出すことに成功した。

「魔王の心臓には呪いがかかっていたのだ。」
「呪い!?」
「俺は勇者から強制的に、サイコロ士にジョブチェンジさせられ、勇者の時のスキルは全て使えなくなってしまった。」
「私は神のご加護で死ぬことはなかったが、他の戦士や魔法使いなどのパーティーの仲間は全員、呪われて死んだよ。一瞬でな。」
「そんな!?」
「魔王の奴め。罠を仕掛けていたんだ。自分が死ぬ時は、自分を倒した勇者のパーティーも道連れにするように。」
「生き残った俺たちはサイコロの特色に気づき、サイコロを振り、なんとか生霊として、ここにいる。」
「もう生きてるのか、死んでるのか分からない状態だ。俺は1020才。」
「なんだか、あなたたちの話を聞いてると嘘っぽいんだけど。」
「嘘じゃないって!?」
「信じてください!」
「離れなさい! セクハラよ!」

俺とくまぴょんは、ねこぴょんにしがみついた。感触は柔らかかった。

「じゃあ、魔王のゾンビが初心者ばかりの始まりの町を襲った理由って・・・まさか!?」
「はい! 俺が魔王の心臓を持っているからです!」
「許してください! 呪わないで下さい! もう堪忍してください!」
「やっぱり、おまえたちが原因か・・・。」
「はい・・・。」
「はあ・・・。」

反省する俺とくまぴょんを見た、ねこぴょんは呆れ果てた。

「俺たちは呪いから解放されたいだけなんだ!」
「そうだ! 成仏して天国に行きたい!」
「勝手にすれば。」
「そんなこと言わないで!?」
「ねこぴょんだけが頼りなんだ!?」
「嫌よ!? 私を巻き込まないで!」
「俺が魔王の心臓を持っているから、取り返そうと魔物が襲いかかってくる!」
「私たちはサイコロと祈りしかできない! 魔物と戦うことが出来ないんだ!」
「そんなこと知るか!」
「俺たちの呪いが解けるまで守ってくれ!」
「神様! 仏様! ねこぴょん様!」
「離せ! 痴漢よ! 痴漢!」

その時だった。俺とくまぴょんに天罰が下る。

「やめろ! 変態ども!」
「え?」
「私たちですか?」

俺たちが振り返ると、町の冒険者たちや町人たちが殺意に満ちた顔で俺とくまぴょんを睨んでいた。

「町を救った女剣士様に痴漢するとは、いい度胸だな! 変態野郎共!」
「ヒッヒッヒ!」
「ち、痴漢!? ち、違います!? 違います!?」
「ねこぴょん!? みんなに説明してちょうだい!?」
「私に任せて!」

ねこぴょんは一歩前に出る。

「キャアアア!」
「え!?」
「痴漢よ! 体中を触られた! 怖かった! この人たちを殺してください!」
「裏切ったな!?」
「何を言うねこぴょん!? 俺たちは同じパーティーの仲間じゃないか!?」
「バイバイ。」
「殺せ! 痴漢撲滅! 目を繰り出せ! 皮をはげ!」
「おお!」
「ギャアアア!?」
「殺される!?」

俺とくまぴょんは生死の境をさまよった。しかし魔王の呪いのため死ねなかった。

「良かったわね。念願の死体になれて。」
「女の英雄様。どうぞこちらへ。凱旋パレードの準備ができております。」
「ありがとう。」

こうして、ねこぴょんは英雄として冒険者と町人の間で賞賛された。

「く・・・くまぴょん。い・・・生きてるか?」
「死ねないって・・・辛いな。うさ・・・ぴょん。」

バタ・・・。俺とくまぴょんは魔王シューベルぴょんのぴょんな呪いは強力だった。

つづく。
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