少年少女剣客隊

渋谷かな

文字の大きさ
37 / 53

災いを封印する。その6

しおりを挟む
「ねえねえ、ペリー。」
「なに? ちいちゃん。」
「私たち! 災いを封印! 少年少女剣客隊! 災い5体を封印成功!」
「封印しているのか、成仏させているのか、微妙な状況ですけどね。アハッ。」
「今日のお肉はなんだろう? キャッハッハ!」
「そんなもん無いわよ。」
「ガーン!? ペリーの意地悪。」
「人をいじめっ子みたいに言うな!」
「平和ね~。」
「どこが平和だ!?」
「だって、特にすることが無いんですもの。」
「チャンス! いつも出番が回ってこない私をアピールするチャンスだ!」
「チャンス! ここで僕のおもしろさをアピールすれば、徳川再興のチャンスだ!」
 実朝と家々は、自身の影の薄さを打ち消す千載一遇のチャンスに遭遇する。
「ということで、桜先生に来てもらいました。」
「どうも。桜です。アハッ。」
「ドテ―!?」
「ズコー!?」
 桜先生の登場により、実朝と家々に陽の光が当たることは無かった。
「どうせ私は、もやしっ子。ガーン。」
「どうせ僕も、もやしっ子。ガーン。」
「あそこでいじけているのがいるけどいいの?」
「気にしないで下さい。いつものことです。」
「所詮他人なんて、どうでもいい存在です。」
「じゃあ、先生も気にしない。」
「ゲホッ!? それでも教師か!?」
「グワッ!? 生徒を見殺しにするだと!?」
 実朝と家々はとどめをさされた。
「テーマがない? そんなものは簡単よ。テーマが無ければ、テーマを作ればいいのよ。」
「おお! さすが桜先生!」
「意外に説得力のあるお言葉だ!」
「桜お姉ちゃん、カッコイイ!」
「ありがとう! 伊達に先生はやっていません!」
 不思議と桜先生には、自分は教師という自負はある。
「メインストーリーを進めるのはどう?」
「この物語にストーリーなんてあったっけ!?」
「楓が日本中の食べ物を食べ尽くして、日本を食料不足に飢えさせるという、歴史モノらしく餓鬼が現れる羅生門的なヤツ。」
「うちの妹は化け物か?」
「楓、化け物でもいいよ。いっぱいご飯が食べられるなら。」
「だ、そうです。」
「妹の育て方を間違えたのかもしれない。」
「完全に間違っています!」
「今更、気づいたのか、化け物姉妹め!」
「ちい! ペリー! あなたたちは、宿題を5倍にします!」
「なに!? 卑怯な!?」
「職権乱用! 職権乱用!」
「うるさい! あなたたちも、ああ、なりたいの!」
「ゲッ!? 体が溶けている!?」
「スライムだ!? もはや人ではなくなっている!?」
 桜先生は、溶け込んでスライム状態でいる実朝と家々を指さす。
「桜先生に忠誠を誓います!」
「桜先生! 万歳! 万歳! 万々歳!」
「それでよろしい。本来、生徒は先生の忠実な僕なんだから、ウフっ。」
「クソ!? 生き残らなければ! ここで死んでなるものか!」
「屈辱に耐えて、耐えて、耐え抜いて、絶対にスライムなんかにはならないぞ!」
「おまえたち、心の声が、口から声になって出ているぞ。死にたいらしいな。」
「違います!? 口が私の意志とは勝手に言葉をしゃべるんです!?」
「この口め!? この口め!?」
「なんなら口にチャックを縫い合わせてやろうか?」
「遠慮します。ニコッ。」
「私も無事に卒業したいです。アハッ。」
「意地もプライドもないんだな。」
「ない! そんなもの捨てたわ!」
「プライドなんかのために、スライムになってたまるか!」
 ちいとペリーは、人生は戦いであると言っている。
「ねえねえ、桜お姉ちゃん。」
「なに? 楓。」
「そろそろ家々くんの災いのご先祖様を封印しないと、今日という一日が終わらないよ?」
「ナイス! 楓!」
「それでこそ、我が友だ!」
「そうね。夕飯の買い出しにも行かないといけないし、そろそろ閉めに入るろうか。」
 こうして、ちいとペリーは桜先生という災いから解放された。
「家々くん、ご先祖様を呼んできて。」
「は~い。」
「スライムのまま行きやがった!?」
「あれを見たご先祖様は、どう思うんだろう!?」
 そしてご先祖様がやって来た。
「私は、徳川15将軍の一人、第6代将軍、徳川家宣だ。」
「蛍さんたち! よろしく!」
「は~い!」
「楓の蛍ビーム!」
「そんなもの災いの私には効かないのだ! ワッハッハー!」
 楓の蛍ビームは、幽霊の家宣の体を透り抜けた。
「どうしよう? 桜お姉ちゃん!?」
「私に任せなさい。新必殺技! 幽霊の手!」
 桜先生の手が巨大化する。
「うわああああ~!? 家々! 本当の災いは私たち、徳川15将軍ではないぞ!」
「なんですと!? それはどういうことですか!? ご先祖様!?」
 桜先生の大きな手が家宣を握る。
「災いくん! さようなら!」
「ウギャアアアアー!?」
 桜先生の巨大な幽霊の手が、家宣を握りつぶした。
「さあ、災いも倒したし、みなさん、さようなら。」
「桜先生、さようなら。」
 こうして無事に一日が終わった。
「ご先祖様のいう、本当の災いとは何だ!?」
 ただ家々だけは、ご先祖様の言い残した言葉が気になるのだった。
 つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

対米戦、準備せよ!

湖灯
歴史・時代
大本営から特命を受けてサイパン島に視察に訪れた柏原総一郎大尉は、絶体絶命の危機に過去に移動する。 そして21世紀からタイムリーㇷ゚して過去の世界にやって来た、柳生義正と結城薫出会う。 3人は協力して悲惨な負け方をした太平洋戦争に勝つために様々な施策を試みる。 小説家になろうで、先行配信中!

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

身体交換

廣瀬純七
SF
大富豪の老人の男性と若い女性が身体を交換する話

処理中です...