小学生でメジャーリーガー!?

渋谷かな

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成仏

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「今年の甲子園の優勝チームは・・・・・・沖縄高校です!」
 熱戦を繰り広げた高校球児の暑い夏。元メジャーリーガーの那覇を要する沖縄高校が有終の美を飾った。那覇は5試合に投げて4完封0失点でMVPに選ばれた。
「MVPの賞金100万円です。」
「安い!? アメリカなら1億はもらえますよ!?」
 那覇の金銭感覚はアメリカ人と同じである。メジャーリーガーになった日本のプロ野球選手が日本に戻ってこないのは、年俸が桁違いなので、その性だろう。
「ああ~レベルアップし過ぎたら、人生がつまらないことになってしまった。」
 少し遠くを見る俺。
「俺の夢はプロ野球選手になること。もうメジャーリーガーにもなったし、甲子園にも出場して優勝した。なんだか、もうこの世界に未練がないな。」
 俺は夢を全て達成してしまい、この世にとどまっていてもつまらないと思っていた。燃え尽き症候群というやつだ。
「俺は成仏して天国に行くわ。那覇、今までありがとうよ。後のことは俺の子供に託す。」
 俺は那覇の体で夜のマウンドも那覇のリリーフをしていた。きっと那覇の妻のお腹にいる子供は俺の子供だ。例えDNAは那覇であっても、俺の炎の闘志を引き継いだ、俺の子供だ。
「今までどうもありがとう! あばよ!」
 那覇の体から俺は幽霊になって天国に飛び立つって行く。
「ああ~きれいな青空だ。この世界を歪めているのは人間の夢や欲だな。」
 俺は死んで見て初めて、この世界を汚していたのが、自分のプロ野球選手になりたいという夢だったと気づく。
「俺がプロ野球選手になるために、同じ夢を持った野球仲間の夢をたくさん奪ってきたんだな。他人を不幸にした者しか幸せになれないなんて、神様も残酷なことを考えるぜ。」
 俺の意識は、現実世界から完全に消え去って、天に召された。
「それでは那覇選手、MVPを取った感想をお願いします。」
 那覇は甲子園球場でMVPインタビューを受けていた。
「すいません! すいません! ごめんなさい! 許してください!」
 気弱な那覇は相変わらず謝ってばかりの人生を送るのであった。
「あらあら、パパったら、いつまでたっても謝っているのね。」
 沖縄でテレビを見ている安室は少し大きくなったお腹に話しかけていた。
「あんなパパでも夜は大エースになるのよ。スゴイでしゅね。」
 頼りない那覇であるが夫婦の夜の営みが炎の闘志なので、安室は満足していた。
 終わる。
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