茶店の歌姫2

渋谷かな

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エヘッ! 10

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「やって来ました! ベルファスト!」
 おみっちゃんたちは北アイルランドの首都ベルファストにやって来た。
「さあ! ここでも歌いまくるぞ!」
 歌う気満々のおみっちゃん。
(歌うな! 澄んだ空気が毒ガスに変わるだろうが! おまえは化学兵器か!)
 心の中でおみっちゃんの歌を危険視する女将さんたちであった。
「ああ! 新聞にエドワードの家族が行方不明って書いてますよ!? 心配ですね。」
 おみっちゃんが新聞でエドワードの家族が行方不明だと知る。
(おまえがやったんだろうが。)
 心の中で犯人はおまえだと言っているシャーロット。
「ここにはアンドルー第2王子がいます。息子のジェームズと娘のルイーズと3人暮らしです。」
 ダイアナ情報。
「じゃあ、早速アンドルーおじい様に会いに行きましょう。」
「おお!」
 シャーロットたちはアンドルーに会いに行く。

「たかが人間に任せていては、シャーロット王女は殺せないな。」
「やはり私たちが手を下さないとね。」
 黒の組織パパラッチの面々が会話している。
「私が行こう。」
「おお! セイレーン! 行ってくれるか!」
「相手が歌で攻撃してくるのなら、歌を歌える私が適任でしょう。思い知らせてやりますよ。私の殺人ボイスでね。」
 セイレーンはベルファストに向かった。

「大きい!」
 アンドルー王子の家は大きかった。
「すいません。シャーロットです。入ってもいいですか? どうぞ、ご自由にお入りください。分かりました。失礼します。OKです。」
 シャーロットは忍法を使えるようになっていた。
「だから、それは不法侵入だって。」
 良い子はマネしないようにしよう。
「さあ! ダンジョンへ! レッツ・ゴー!」
 シャーロット達はアンドルーの家に入っていく。
「よく来た! シャーロット王女!」
 アンドルー王子が出迎える。
「バレてる!?」
 シャーロットは気づかれていることに驚く。
「そりゃあ、あんな大声を出して侵入すればバレるよ。」
 呆れる女将さん。
「幽霊って便利ですね。壁を通り抜けれるから。エヘッ!」
「そうですね。死んで良かったことの一つですね。」
 おみっちゃんとダイアナは幽霊である。
「ちなみに冷蔵庫に残っているケーキを食べても誰にもバレません! ああ! 死んで良かった! 幽霊最高! エヘッ!」
 幸せを噛み締めるおみっちゃんとダイアナ。
「こら! おまえたちは忍び込んだのがバレたんだぞ! もう少し慌てろよ!」
 アンドルーは不謹慎なおみっちゃんに怒っている。
「いいえ。私たち堂々と正門から入ってきたんです。コソコソではありません!」
 言うようになってきたシャーロット。
「ぬぬぬぬぬ!? シャーロットめ!? その口を叩けないようにしてやろう! ジェームズ! ルイーズ!」
「はい! お父様!」
 そこにアンドルーの子供のジェームズとルイーズが現れる。
「シャーロットお姉ちゃん! 助けて!」
「ルイ!?」
 アンドルーたちはシャーロットの弟のルイを人質にとっていた。
「ルイ!? どうしてあなたが!?」
「お姉ちゃん!? 怖いよ! 狭いよ! 暗いよ! 助けて!」
 恐怖でルイは錯乱していていた。
「さあ! カワイイ弟を助けたければ降参しろ!」
 アンドルーはシャーロットに降伏を迫る。
「人質とは卑怯な!?」
 シャーロットは弟を人質に取られて自由に動けなくなる。
「卑怯? ワッハッハー! 誉め言葉と受け止めよう! 勝てばいいのだよ! 勝てば! ワッハッハー!」
 極悪人アンドルーの笑い声が響き渡る。
「クソッ!? 私はどうすればいいの?」
 人質をとられたシャーロットは困り果ててしまう。
「私たちで助けてこようか? 私、忍者だし。」
「私も幽霊ですから気づかれないで近づけますよ。」
 おみっちゃんとダイアナが名乗り出る。
「ありがとう! おみっちゃんとおばあ様!」
 シャーロットの弟ルイの救出作戦が始まる。
「ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザアー! ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア! ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア!」
 その時、変な歌声が聞こえてくる。
「何事!?」
「おみっちゃんが歌を歌っているの?」
「え? 私は歌っていませんよ。それに私はこんなに音痴じゃありませんよ!」
 ムキになって反論するおみっちゃん。
(どこが?)
(嘘つき。)
(おみっちゃんの歌声を聞いてるから酷い歌声なんだけど致命傷にはならないわ。)
 シャーロット、ダイアナ、女将さんたちは謎の歌声を聞いてもダメージを受けなかった。
「ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア! ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア! ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア!」
 謎の殺人ボイスの歌声は続いている。
「ギャアアアアアアー!」
「アベシ!」
「ヒデブ!」
 アンドルー、ジェームズ、ルイーズの3人は粉々に砕け散った。
「シャーロットお姉さま・・・・・・。」
 酷い歌声の性でルイは粉々に砕け散った。
「ルイ! ルイ! ルイ! 嫌ー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
 悲しいシャーロットの悲鳴が木霊する。

「おみっちゃん! どうして弟を殺したのよ!」
 怒りに燃えるシャーロットがおみっちゃんに食って掛かる。
「え!? 私、何にもしていませんよ!?」
 おみっちゃんは歌の性でシャーロットに疑われる。
「私の可愛い弟を殺したのはおみっちゃんよ!」
 完全にシャーロットはおみっちゃんが犯人だと思っている。
「ええー!? 私じゃありませんって!?」
 自分の無罪を主張するおみっちゃん。
「確かにおみっちゃんは何もしていなかったよ。」
 女将さんはおみっちゃんをかばう。
「そうです。私の横で昼寝してましたから。」
 ダイアナもおみっちゃんをかばう。
「そ、そんな!? じゃあ、一体誰が私の可愛い弟を殺したというの!?」
 シャーロットは疑心暗鬼になる。
「おまえの弟を殺したのは私だよ!」
 そこに一人の女が現れる。
「何者だ!?」
 身構えるおみっちゃん。
「私は黒の組織パパラッチの幹部の海の歌姫セイレーンだ!」
 現れたのは黒の組織パパラッチの幹部のセイレーンだった。
「歌姫!?」
 おみっちゃんの夢は江戸で歌姫になることです。
「おまえがルイを殺したのか!?」
「その通りだ! 私の歌声を聞いた者は体内から粉々に崩れ去るのだ! ケッケッケ!」
 恐るべし! セイレーンの歌声!
「しかし、なぜおまえたちは私の歌声を聞いても生きていられるのだ?」
 セイレーンの素朴な疑問。
「まあ、私たちは免疫があるからね。」
 呆れる女将さん。
「北斗と南斗みたいなものですか?」
 ダイアナは星に願う。
「ゆ、ゆ、許さないぞ! セイレーン! 私の弟を返せ!」
 シャーロットは弟の復讐に燃えている。
「いやいや。シャーロット。あんた、さっき私が弟を殺したと疑ったわよね?」
 おみっちゃんは幽霊だけに恨みの根が深い。
「え? そうだったかしら? アハッ!」
 笑ってとぼけるシャーロット。
「悪いことをしたら、ちゃんと謝りな。それが筋ってもんだよ。」
 女将さんはシャーロットを諭す。
「ごめんなさい。おみっちゃん。疑って悪かったわ。」
 素直に謝る育ちの良いシャーロット王女。
「いいのよ。謝ってくれれば。私が本物の歌をあいつに教えてやる!」
 おみっちゃんはセイレーンに戦意を燃やす。

「なんだ? おまえは?」
 セイレーンはおみっちゃんに問いかける。
「私はおみっちゃん! 私の夢は江戸で歌姫になることです! エヘッ!」
 おみっちゃんの夢は歌姫になること。
「ふん、まだ歌姫にもなっていないのか? そんなクズに私の相手が務まる訳がない。ケッケッケ!」
 セイレーンは歌姫の先輩である。
「違う! それは違うぞ!」
 おみっちゃんの声が爆発する。
「歌姫は、私の憧れている歌姫はみんなに夢や希望を与えるものだ! おまえみたいに人を悲しくさせる者が歌姫のはずがない!」
 これがおみっちゃんが歌姫に憧れる理由だ。
「そんなものは幻想だ! 歌姫は人間を不幸にするために歌を歌うのだ!」
 セイレーンにも歌に拘りがある。
「おまえの歌を私の歌で切り裂いてやる!」
 海の歌姫セイレーンとエヘ幽霊の歌姫見習いおみっちゃんの戦いが始まる。
「耳栓用意!」
 女将さん、シャーロット、ダイアナは耳栓をする。
「おまえも粉々にしてやる! くらえ! 海は狭いな! 小さいな! ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア! ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア! ザザザザザザザザザザザザザザザザザアザアッザザザザアザッザアザザザザザアザアザアッザア!」
 セイレーンが歌を殺人ボイスで歌い始める。
「1番! おみっちゃん歌います! 曲は夢と希望の歌姫! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ! ガガガガガガガガッガガガガガアッガガガガガガガガガガガガガッガガガガガガ!」
 おみっちゃんも歌を歌い始めた。
「ご、互角だわ!?」
 おみっちゃんとセイレーンの歌声は互角で火花を飛び散らせる。
「セイレーンも音痴なんだ・・・・・・。」
 海の歌姫セイレーンも音痴だということが判明した。
「歌姫って、いったい?」
 歌姫の存在自体に疑問を抱く女将さん、シャーロット、ダイアナであった。
「ギャアアアアアアー!」
 その時、セイレーンが苦しみだした。
「効いている! 効いているんだわ! おみっちゃんの歌声が!」
「ということは!? おみっちゃんの方がセイレーンより音痴なんだ!」
 おみっちゃんは極度の音痴でデスボイスの持ち主であった。
「わ、私の歌が負けるなんて!? ギャアアアアアアー!」
 セイレーンは体内から爆発して消滅していった。
「ご清聴ありがとうございました。」
 おみっちゃんは歌を歌い終えた。
「あれ? セイレーン先輩がいない!? 次のステージに旅立ったのかしら?」
 おみっちゃんが歌った後には争いはなくなり平和になった。
「おみっちゃん、次の街へ行くよ。」
 女将さんたちは逃げるように次の街へ移動したかった。
「待ってくださいよ! 女将さん! 私は茶店のカワイイ歌姫なんですから! エヘッ!」
 おみっちゃんが音痴だと知らないのは本人だけであった。
 つづく。
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