薄皮ヨモギの暗中模索

渋谷かな

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あなた、調子にのったことがある?

私はある。高校に入学して三日目のひょん教の変な授業の時だった。窮地を乗り切るために私は私を超える力を発動させた。

ワードズ・オブ・アウェーケニング。私は薄皮ヨモギ。私は高校を支配する。

心の中で魔法の言葉を唱える。ダメな薄皮(ススキカワ)の私から、薄皮ヨモギという良い私に入れ替わって気分がよく調子にのってしまった。副作用が起こるとも知らずに・・・。

「薄皮さん、あなた頭賢いのね。」
「はい!?」

おお! 前の席のハーフさんが私に振り返って話かけてきてくれた。頭が賢いと他の人に知ってもらうことで話すきっかけになるんだ。これなら私にも友達が作れるかもしれない! 高校に入って三日目で友達ができる!? 早い!? 早すぎるよ!? 私の胸は高鳴った。

「私のノートも書いておいて。」
「え?」

一瞬、私の時間は止まった。ハーフさんは時間を操る能力を持っているようだ。私はノートを渡されて何が起きているのか分からなかった。だが、正気を取り戻し時間が再び進みだした私の心には怒りという感情が沸々と芽生えてくる。今の私なら、薄皮ヨモギなら文句も言える! 私は勇気を振り絞って声をかける。

「ちょっと!? あなた・・・!?」
「私たち友達でしょ?」

と、と、友達!? やったー! 友達ができたー! 私にも友達ができた! 私の脳みそにお花畑が咲き乱れ、完全にノート係と友達を天秤にかけるとハーフさんの友達になる方が勝った。

「任せて! ノートぐらい書いてあげる!」 

だって友達だもの。私に友達ができた。それだけで私の心は温かいものが込み上げてきて顔は気持ち悪いくらい笑顔だった。昔、偉い人が言っていたわ。宿題を忘れるのは別に構わないけど、友達を裏切る奴は最低だって。

「こら! 薄皮! イスラ! うるさいぞ!」

ひょん教!!! 私と友達の優雅な友達トークに割り込んでくるとは許さん! その罪はひょん教の汚れた命で償っても足らないわ! ・・・イスラ。私の第一友達はイスラっていうのね。なんて響きのいい名前。うっとり。

「ワタシニホンゴワカリマセン。」

うまい!? 片言の日本語でかわした!? できる!? できるぞ!? ハーフさんは只者ではない!?明らかに頭の回転がひょん教より上だ! これがひょん教の言っていたバカと殺人者の集まりということかな?

「それが日本語だ! バカ者!」

ほほう。ひょん教も負けてはいないな~。ハーフさんの片言の日本語を見抜いた。片言でも日本語を話していることには違いは無いからな。だがどちらもまだまだ私の悩み事の範囲内。私が少し悩めば予想できる。そろそろひょん教を黙らせる一言を悩んで、友達のハーフさんを助けるとするか。

「・・・。」

こ、声が出ない!? どうして!? さっきまであんなにスムーズに出ていたのに!? 自分の声で、自分の言葉で、自分らしくしゃべることができていたのはずなのに!? なぜなの!? 私は友達を救うことができないのか・・・。

つづく。
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