銀河英雄戦艦アトランテスノヴァ

マサノブ

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王家の絆編

PART26 3将軍の挑戦

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PART21,5 3将軍の挑戦━━━━━━━━━━━━━━━━━━

登場戦艦

デストロイ・カタストロフαウルフシューター
魔導振動レプリカ兵器
デストロイ・カタストロフβグリフォン
魔導液体重金属レプリカ兵器
デストロイ・カタストロフγワイルダー
魔導ガス星雲レプリカ兵器

全長700メートル
全高380メートル
全幅235メートル

兵装
主砲は50センチ魔導破壊砲4連4門
副砲33センチ3連装砲3基搭載
(ウルフ・ASS735エンジン搭載)
乗員 士官、兵員6,666名

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★付箋文★

太陽系に平穏が訪れて数日後
今や太陽系防衛艦隊の象徴となった
宇宙最強の駆逐艦ハヤテに対して
宇宙から謎のメッセージが届く

送り主はウルフシューター
メッセージを人知れず届けたのはJジョーカー
受け取り主は大城誠矢である

その文面が問題だった
{此はハヤテ只1艦に対しての招待状である}
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当方の戦力は
デストロイ・カタストロフα艦長ウルフシューター
魔導振動レプリカ兵器搭載

デストロイ・カタストロフβ艦長グリフォン
魔導液体重金属レプリカ兵器搭載

デストロイ・カタストロフγ艦長ワイルダー
魔導ガス星雲レプリカ兵器搭載

以上の3隻である

{一隻につき2時間の戦闘を3戦申し込みたし}
尚この提案を断られた場合はこの3隻が
地球艦隊に奇襲を掛け全滅させる事もやむなしと
此処に御伝えする。
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★付箋文★

ハヤテ第一艦橋司令室

「また大きく出たな・・何の脅しだこりゃ~」
春吉進一郎は小原正二の言葉に苦笑いである

「脅しなら良いんだが・・
ウルフシューター将軍は真実を述べている」

「そんな・・まさかこの果たし状
受けるんですか?」

「其れを判断する上でも作戦会議が必要だろう」

勝艦長が2時間後にハヤテの作戦室に集合するよう
第一メンバーに命じ、春吉と誠矢を艦長室に呼んだ

「小田総司令の承認は得ている」
勝艦長は誠矢と春吉に率直に聞いた
「二人はこの招待受けるべきだと思うか?」

「受けた方が良いでしょう」と春吉が先に答え
誠矢も遅ればせながら俺もそう思いますと答えた。

「其れでどの様な状況か春吉科学班長の
意見を聞こう」
勝艦長は状況判断に人一倍鋭い人物である
春吉の態度が尋常でない事は察しが付いた

大城誠矢も科学的な知識は無いがウルフシューター
と言う天才が詰まらない脅しをする訳がないと
思っている

「私の考えを言わせて貰うと
あの狼将軍はどうやら魔導兵器の技術を
何らかの方法で手に入れたと思われます」

「我々は発掘した2万年前の巨人文明を
再現しただけで・・ガルスグレーサーは
それを現在も運用している
だから技術の再現も容易な訳です」

勝艦長はウルフシューターが何のつもりで
自分の戦艦の情報を伝えてきたのかを聞いた
春吉はその答えとして、真耶隊員の証言からして
狼将軍はどうやらハヤテに
巨人戦艦に勝利して欲しい様だと言う

「つまりハヤテに経験を積ませる事が
主な目的だと?」

普通ならあり得ない話なのだが・・
征服された種族全員が
巨人に奴隷扱いされている状況から
解放される為なら、敵に塩も送るだろう
と言う勝艦長の言葉に誠矢も同意した。

ハヤテの大会議場には各班の隊長クラスが集い
ウルフシューターからの招待状に対する答えは
概ね一致していた

「敵の大将軍が折角招待状を送ってくれたんだ
思い知らせてやりましょう!!」

「逆に思い知らされる結果になったりしてな」

威勢の良い小原正二を岩川が茶化す
「何言ってるんだ!?このハヤテが負けるはず
ないだろう!!」
「怒るな怒るな何事も油断する成って
言いたいだけだ」と言う岩川に勝艦長が

「岩川の言う通りだ全員気を引き締めて
この招待状に挑む!相手は(3将軍)強敵だ」

「以上解散!!」

誠矢の掛け声で皆が一斉に席を立つ
喧噪の中・・真耶は複雑な表情だ
『あの凄い人達と此から戦うのね・・』

『そんなに悲しむ事はないさ』頭の中に響いた
その声に振り向くと真耶の肩に優しく手を置く
響竜一がテレパシーで話しかけてきた。

『でも・・あの人達は冥王星で捕まった私を
総司令官の拷問から助けてくれた恩人よ』

響自信、その件では3将軍達に感謝している
『でも其れは其れ此は此としてハヤテの家族を
優先して俺は戦うよ』

「家族・・そうね・・私だって
家族を失うのはもう嫌!だから・・戦うわ!」
真耶の言葉には戦う戦士の決意を感じる

響竜一は心の中で(俺は誰でもなく君の為に戦う)
これはテレパシーで読まれないよう精神ブロックした
恋人に男の矜持を喧伝するほど
恥ずかしい事は無い

だが響から少し離れて真耶が一言、
「私も竜一さんの為に」そう呟いてから
頬を赤らめたのは初々しい反応だった

そしてハヤテは3将軍が待ち受ける
太陽の裏側に向かって発進した。

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★付箋文★

太陽の裏側地点には既に

デストロイ・カタストロフαウルフシューター

デストロイ・カタストロフβグリフォン

デストロイ・カタストロフγワイルダー

の以上3隻がスタンバイしていた

「いよいよですねウルフシューター将軍」
副長のシェパードが尊敬し崇拝する
偉大な狼将軍に語りかける

将軍の衣装を脱ぎ捨て艦長服に着替えた
ウルフシューターは胸躍る感覚に捕らわれていた
「この私としたことが・・若者の様に胸が躍る」

「将軍!β・αの両艦より通信が入ります」
艦橋のスクリーンにグリフォンとワイルダーの
二人の将軍の姿が映し出された

<ウルフ、調子はどうだ?>

狼将軍はワイルダーに不適な笑みを見せ
「絶好調だよ・・悪いな1番手を貰ってしまって」

貰った?ワイルダー将軍が不機嫌そうに
<良く言う・・自分を1番にしないと
エンジンを渡さないと脅したくせに>

<全くどの口で其れを言う>と言うのに合わせて
グリフォン将軍も<全くだ良い年をして
ハヤテ相手になると子供みたいな取り合いを
始めるのはどうかと思うぞ>そう言い
背中の羽でバサッと威嚇音を立てる

「まあそう怒るな、このデストロイ・カタストロフの
設計をした私がまずは手本を見せようじゃないか」

<了解した、それではお手並み拝見といこう
但し2時間経てば次はこのグリフォンに
変わって貰いますぞ狼将軍殿>と言って通信を終えた

残ったワイルダー将軍が<俺もグリフォンの次に
ハヤテと当たるが・・正直・・貴様の考え方は
極端だと思うぞ今更だがな・・>

3将軍はハヤテの戦いとは別に何かの取り決めを
同意していた、その内容は後々判明する
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ハヤテが戦う第一の相手は
ウルフシューター将軍が指揮する
魔導戦艦デストロイ・カラストロフα
通信で送られてきた資料では
{魔導振動兵器}を搭載しているらしいが

「振動を武器にすると言う事なら
恐らく回避不能の攻撃がくる
ハヤテのガードミラージュが頼りだ」
勝艦長の表情には緊張が見える

『ウルフシューターの戦術は毎回目を見張る物がある
奴がハヤテと同等の宇宙戦艦を持つ時、果たして
どんな戦いに成るかだな』

スクリーンに映る敵艦は今まで見たどの
ガルスグレーサー戦艦とも違う印象を与えた

黒光りする船体に赤黒く発光する筋が無数に入り
死角のない武装と俊敏そうな肉食獣を思わせる
その鋭いデザインは如何にも狼を思わせる

「つ・強そうだな・・」
小原の声が上擦る、野生の感がこの敵は危険だと
警鐘を鳴らし、見る間に先程から見せていた
威勢が何処かに消えた

「大城総隊長・・俺前言撤回です、
ヤバいですよあの戦艦・・」

誠矢は小原に向かってまあ敵の強さが解るのは
お前も経験を積んだ戦士の証拠だと言って
落ち着かせた
『ヤバいか・・確かにアレは黒い魔狼だ』

「敵艦より映像通信です」
ジョン隊員が通信を繋ぐとメインスクイーンに
狼の頭を持つ人狼の異形が映し出された

<久しぶりだなハヤテの諸君・・君達に
又会うのを楽しみにしていたよ>

勝艦長は「狼将軍殿も御壮健で何よりです
又(大城真耶隊員)の件で冥王星での
心使いに深く感謝致します」と伸べた

そして勝艦長は此処だと思い彼を紹介する
「それと此処にいる者が大城総隊長です
真耶隊員の兄でもあり是非一度、貴方に
直接礼を述べたいらしいのですが」

狼将軍は紹介された若者に当初から注視していた
最初から印象的なオーラを放つ人物だと
そしてJジョーカーが言っていた
恐らく{銀河の盾のアストラ}の正体は・・

『確かにこの若者からは大きな力を感じる・・』

「お会い出来て光栄ですウルフシューター将軍
真耶を良くしてくれて有り難う御座いました」

その横に真耶が来てウルフシューターに頭を下げる
「その節は本当に有り難う御座いました」

<礼には及ばない、それに今から君達を
殺すことに成るかも知れない相手に此以上
感謝して貰う必要はないだろう>

狼将軍は・・誠矢達に遠慮なく戦えるよう
逢えてこんな言い方をしてくれた
大城誠矢はこの将軍に好感を覚える

「さあやろう!皆準備は良いか!?」
誠矢の呼びかけに
ハヤテの第一司令室艦橋の一同は
「出来てます」と答え、誠矢は気合いを入れる
「さあいよいよ強敵ウルフシューターと対決の時だ」

ハヤテは見た目は133Mの小型艦でその一方
魔導戦艦デストロイ・カタストロフαは全長700M
大きさ的に余りにもハヤテ不利に思える勝負だが
大きい方が勝と言う概念はハヤテの登場で
完全に覆っていた

そしてデストロイ・カタストロフ自体が
{艦隊行動の場合には味方艦が邪魔}で
強力すぎる主砲は使用できないばかりか
勝手に動けば{艦隊の統率を乱し味方の足をも
引っ張る}結果となる

『成る程、ハヤテが独立遊撃戦法を選ぶのも
当たり前の話だ』

寧ろ足が遅く火力がない味方は邪魔者以外
何者でもないだろう
同じ発想で設計したこのデストロイ・カタストロフに
乗ってみれば、その理屈はより一層解る

黒い船体が加速しハヤテの俊敏な動きにも
対応する「主砲{魔導破壊砲}全門発射!」

ウルフシューターはハヤテに対して初手から
主砲を発射した、紅い光の光線がハヤテに向かって
猛追しハヤテに張られるエネルギーバリアーに
当たった「バリアー貫通!」

そして貫通した光線がハヤテの装甲に衝突し
10分の1に圧縮された超金属が融解し小規模な
爆発がハヤテに起きた

その瞬間ハヤテの中では信じられない事が
起きていた、だがこの事実は認めるしかない
「船尾被弾しました!」
「被害状況調べます」

デストロイ・カタストロフの艦橋では
ウルフシューターが不敵な笑みを漏らす
「やはり効果があったか・・」

副官のシェパードは
「この艦の主砲が与えたダメージが
小破程度とは恐ろしく頑丈な艦ですなと」
感想を述べると、其れを聞いた
ウルフシューターが噛むように笑い
「小破?とんでも無い、奴の中では
10倍の被害が出ている筈だ」

ウルフの言う意味がまだ副官には理解出来ないが
どうやらハヤテに与えたダメージは見た目程
小さくはなさそうだ。

春吉は敵の主砲を分析し魔導砲の意味を理解した
『成る程・通常のエネルギー砲を魔導力で
10分の1に圧縮し其れを束ねて発射したのか・・』
やられた・・敵はシルヴァニア現象を解析している

「あの砲は当たればハヤテの装甲を貫通します
こちらも主砲で反撃してください」

理屈で言えば同じ理論の主砲なら相殺出来る計算だ
ハヤテはデストロイ・カタストロフが撃ってきた
主砲の第2射を主砲アレキサンドライト・カノン
の砲撃で相殺し難を逃れる

「威力がアレキサンドライト・カノンと同等!?」
誠矢でさえ想定しない敵の火力だ
どうやってそんな威力を叩き出しているのか!?
だがそんな事よりハヤテの主砲ももしかしたら

「響ハヤテを敵の周りを螺旋回転に飛ばせ」

勝艦長の指示に響は殆ど脊椎反射で行動し
敵艦の動きに逢わせ螺旋状にハヤテを飛ばす

7対1、3のサイズ比でなければ成立しない
動きで追走しハヤテはアレキサンドライト・カノンを
敵艦に向かい集中砲火を浴びせた、だが・・

「デストロイ・カタストロフを回転させながら
魔導カノンで敵主砲を迎撃せよ!」とウルフシュータ
ーの指示で艦体を回転させる
その指示通りアレキサンドライト・カノンが
魔導カノンにより迎撃されてしまう

この繰艦をするデストロイ・カタストロフの
操縦士はCANIS(カニッシュ)族でも達人級操縦士
{セントバーナード(元)少佐}
ウルフシューターと同期の伝説的人物だ

互いの主砲が逸れて当たらない場合は
ハヤテもデストロイ・カタストロフにも
互いの主砲が艦に命中し装甲を貫き被弾した
デストロイ・カタストロフは上部端甲板を
直撃して貫かれたが被害は小破ですんで

ハヤテは運の悪い事に第一砲塔に
直撃し大爆発をおこした
「第一砲塔大破!!」

「チイイッ!!」

響は衝撃で螺旋の動きが乱れた反動で
ハヤテが遠心力で吹き飛ばされないように
繰艦し体制を整える
そこにデストロイ・カタストロフは追撃をかけた

「響!そのまま急速縦旋回!
敵艦の後方に回り込め!」
勝艦長の指示に響は復唱し
「了解!敵の後方に回り込みます!」

「大城!銀河式53cm連装宇宙魚雷
回転に逢わせ随時発射だ!」
勝艦長の指示が飛び
ハヤテ後方部に転移ゲートが展開すると
其処から宇宙魚雷が次々に発射されていく

「ランサーミサイル全問発射!!」
ウルフシューターがまるで
そう来ると読んでいたかのように直ぐ様
ハヤテから来る宇宙魚雷に対応した

「悪いが其れは読んでいたよ」
戦艦の主砲は構造上真上に撃てないのが弱点
こんな時に使えるのは魚雷かミサイルなのだ

ウルフシューターはミサイル使いの達人である
「ランサーミサイル回転防御態勢!」

デストロイ・カタストロフの周りを
ランサーミサイルの光の槍が回転して
防御する、ハヤテから撃たれた魚雷群が
その槍に切り裂かれ次々に爆発し

「このまま近接飛行してハヤテをナマスにする
やれるかセントバーナード!?」

「おう!ワシに任せとけ狼艦長!」
セントバーナードはウルフシューター将軍を
昔から狼艦長と呼び親しくしていた

退役し孫の世話を楽しむ余生を送る彼に
将軍が頭を下げ現役に復帰させたのだ
副官シェパードはその伝説のパイロットの
操縦技術の神業に驚きが隠せない

『凄いパイロットだ・・まだガルスグレーサーに
此ほどの伝説が存在するとは』

ハヤテ後方からデストロイ・カタストロフが急接近し
回転するランサーミサイルが鋸状にハヤテを切り裂き
削っていく、ハヤテの装甲が火花を上げて損傷し
電気系統を傷つけ青白い電磁サージが
ハヤテの艦体に飛び散る

「又してもハヤテにダメージが!!」

「ランサーの粒子までも10分の1に圧縮してある
魔導技術で一本一本加工したのか!?」
春吉科学班長はウルフシューターの
{ハヤテ対策に}対する恐ろしい程の
執念を感じた{半ば想像力と推理だけで}
此処まで仕上げてくるとは

ガルスグレーサーと言う国家は宇宙中から
膨大な才能をかき集めている、その最上位の
才能は空恐ろしい物だった

『事、天才を手中にするには
実に効率の良い国家(システム)だ』

だが・・やられてばかりでは居られない・・
「艦長!アレに対抗する秘策があります!」
どのような案かを説明する春吉の提案を聞き
勝艦長は其れを承認した

「大城!アレキサンドライト・カノンを
全門発射後にエネルギーを絞りソード状にして
それを維持させろ!」

「名付けてアレキサンドライト・ソードだ!」

「了解です!!」

誠矢は前に春吉に聞いたランサーミサイルから
ヒントを得たという一つの構想を遂に使う時が
来たのだと悟った

「アレキサンドライト・ソード発動!」

ハヤテは主砲を全く目標がない方向に発射した
何のつもりだ!?とウルフシューター将軍も一瞬
この行動の意味に疑問を感じたが、次の瞬間

アレキサンドライト・カノンが出しっぱなしの
状態になりドンドン短く光が塊の様に
凝縮していった

その長さが300M程になると
主砲から生えた光の剣とも言うべき
{物}が完成する

『バカな・・どうしてあんな事が可能なのだ!?』

「驚くのはまだ早いぞ狼将軍!!」
勝艦長は響に命じる「{超高速戦闘用意}
敵のランサーミサイルを無力化する」

響はハヤテの速度を限界速に引き上げた
「ハイスピードファイティング発動!」

この状態になるとハヤテの推進力は爆発的に増し
殆ど光の弾丸と化した状態となる、そのまま
主砲をソード化しデストロイ・カタストロフの
背面から斬りつけた、だが其れをD・S操縦者は
神懸かり的な繰艦で急制動を掛け
反転してミサイルランサーで弾き返す

この宇宙戦艦同士とは思えない凄まじい鍔迫り合いは
数秒間続き両艦は数度打ち合って離れた

『己ハヤテめ・・』
ウルフシューター将軍の設計思想は異次元だが
その性能を一番把握しているのも将軍だ

最強の戦艦に最高のパイロットを揃えた
『この方に最早負けはない』
副官のシェパードは勝利を確信する

「艦長、ここは一気に
魔導兵器を使用するべきかと」

ウルフシューターは副官の助言に頷く
「確かに互いに手を出し尽くし此処から手詰まり
になる、使い所だろう・シェパード魔導振動砲用意」

「了解!魔導エンジンから
振動砲に魔導力充填せよ!」

デストロイ・カタストロフ内部に凄まじいエネルギーが
集中し多数ある排気口らしきヶ所から光の発光現象が漏れ出して見えた

主砲アレキサンドライト・ソードを展開した
ハヤテは敵の様子から何かを察し
先手をうつためにソードを艦体の前方に出し
剣で言う所の牙突攻撃を繰り出した
これは特攻ではなく近接戦法なのである。

だがその体制で突進して来るだろうと
予測したようにミサイルランサーを
1本1本と言う形で投擲し

ハヤテはその槍に何度も船体を刺されて速度が落ちる
それでも止まらずソードをデストロイ・カタストロフ
の艦体に突き刺そうと突進したが

突き刺したと思った瞬間デストロイ・カタストロフは
超短距離リープをしその場から1万キロ離れた場所に出現する

ハヤテは姿勢制御バーニアを吹かして急停止し
探知レーダーでデストロイ・カタストロフの
移動場所を探す

「今だ!魔導振動砲発射せよ!」

ウルフシューター将軍の命令と共に
デストロイ・カタストロフの排気口に見える
複数の穴からハヤテに向けて目には見えない
だが確実に危険な{何か}が発射された
━━━━━━━━━━━━━━━━━━★付箋文★

地球から見て太陽の裏側の特等席で
2隻のデストロイ・カタストロフが
肩を並べ、この(夢の戦い)を見守っていた

「ウルフシューターめ楽しんでいるな」
ワイルダー将軍がハヤテと戦うウルフシューターを
羨ましそうに思いながら、そう発言した

グリフォン将軍はウルフシューターの戦いを見て
楽しんでは居るだろうが余裕は余り無い様だと
私見を述べながら

「だがデストロイ・カタストロフの性能は充分
ハヤテに通用するようだ、恐らく例のシルヴァニア
現象を限定的に再現しその効果が出たのだろう」

「本当に戦艦が{10分の1サイズに縮小}する事が
可能とは、最初ウルフシューターが言い出した
時は正気を疑ったがな」

「ああ・・だがまさかJジョーカーが
ガルスグレーサー本星から持ち出した巨人戦艦の資料中に」

「シルヴァニア現象を過去に使っている艦が存在し
又其れが長年の謎だった巨人族が我々と同サイズに
縮小する事が出来る秘密だったとは」

「確かに秘匿もするだろう、巨人族にとっては
国家の存続にも係わる重要機密だからな・・
だが其れを盗み出してしまうJジョーカーも
大した奴だ」とワイルダーは感心しつつ
デストロイ・カタストロフαを見ながら

「たしかαには魔導振動砲なるものが搭載されて
いるんだったな、どのような兵器なんだ
聞いているかグリフォン?」

「地球には(鯨)と言う巨大な海洋生物がいて
獲物を捕らえる際{その頭から強力な音波を飛ばして
獲物を気絶させる}、
それに近いとウルフシューターは言っていたな・・・・」

如何にデストロイ・カタストロフがスピードで
追いつけてもハヤテの俊敏な動きにはどうしても
着いていけない、そんな獲物に振動波を撃ち込み
狩り取る武器が{魔導振動カノン}だ

ハヤテの上方角度67°地点に小距離ワープし
出現したデストロイ・カタストロフから
魔導力で生み出された{振動波}がハヤテ方向に
発射され、響が避けようとハヤテを操艦するものの
範囲が広すぎて逃げる事が出来ず
その強力な振動波に飲み込まれてしまった

ハヤテの包まれた空間そのものが歪み
艦の中がまるで地震が起きたように激しく
揺さぶられた、

その振動で弱い構造体が崩壊し
飛び散った破片や構造物にぶつかり
多数の怪我人が艦内全域に発生してしまう

此はハヤテを一時的に動けなくするのが
最大目的の攻撃であり、その狙いは的中し
ハヤテのエンジンは完全停止してしまう

ハヤテ第一艦橋司令室では
エンジン停止という緊急事態に流石の
誠矢も顔色を変えた
「艦長ハヤテのエンジンが」

勝艦長は春吉(総科学班長)に目線を向け
「春好君此は・・?」

そして苦しげに口を開く春吉は
「安全装置ですよ艦長、ウルフシューターの
狙いは最初からエンジンコアの暴走を止める
安全装置だったんです」

春吉はこの時してやられたと思った
ハヤテのエンジンは悪まで通常の化学理論で
核エネルギーを利用している、
つまり敵は異常な振動を
ハヤテのエンジンに与えて自動的に
安全装置(制御棒)を作動させたのだ

此は設計に携わる者なら容易に思いつく
基本戦術であろう、と
こうして痺れて思うように動けなくなった
(獲物)ハヤテに対して狼将軍
ウルフシューターはランサーミサイルを
発射した、10本のランサーミサイルが
ハヤテに向かって襲いかかる!

「エンジンがフリーズし再点火出来ない」
そんなハヤテに情け容赦なくランサーミサイルが
艦体に突き刺さった

その場所に居た隊員達はランサーの
青白い光熱線で焼かれ蒸発するしかない
その上艦体内部に進入したら爆発する仕掛けの
念の入りよう{ハヤテの伝説は此処で終了か?}

第一艦橋司令室に緊張が走る!
「ハヤテの被害状況を調べろ!」
勝艦長がそう命じると各艦内からの報告が

「敵のミサイルランサーが途中で止まっています
装甲を貫かれましたが被害はありません!」

信じ難い報告だったウルフシューターが
手を抜くとは考えにくい
こんな事が出来るのは・・一人しか居ない

勝艦長と大城誠矢は殆ど同時に、この奇跡を
起こした人物に注目した
「真耶隊員・君か?」勝艦長の発言に
他の隊員も殆ど一斉に真耶に注目する

見ると真耶の瞳が青白く発光し超能力の
発動状態と成っていた

「真耶!」誠矢は迷わず真耶に命令した

「敵のランサーミサイルを利用して
次の攻撃に反撃しハヤテの復旧までの
時間を稼いでくれ!!」

真耶はキツそうな顔をしながらも
只一回頷いた
______________________
★付箋文★

デストロイ・カタストロフ艦橋
「バカな何故爆発しないのだ!?」
副官シェパードはこの理不尽な状況に
思わず犬のように吠えた!

「慌てるなシェパード、こんな事は
折り込み済みだ、あの船には破壊型超能力者が
乗って居るんだからな」

「破壊型・・それでは我々はハヤテだけでなく
デストロイヤー級のESPを相手にせねばならぬの
ですか?」

「そう言う事だ」何事も無いように
ウルフシューターは言うが、
破壊型と言うことは、もう1隻所か
艦隊規模の戦力がハヤテに乗って居るのと同義
「(超能力者搭載)の戦闘戦艦だと言うのか・・」

ミサイルランサーがテレキネッシスで
装甲板から引き抜かれ、其れをまるで
槍の花の様に回転させながら浮かせた大城真耶は

動けないハヤテに向かって追い打ちをかけてくる
デストロイ・カタストロフの撃つ
ランサーミサイルを次々に迎撃していく。

まるで生き物のように真耶に操られた槍で
敵の槍を打ち防ぐが、やがて
ランサーミサイルもだんだんその
明かりが弱まってくる

「ランサーミサイル内部の魔導コアがもう・・
やはり10倍のエネルギー消費量はキツい様だ」

「直ぐにも使えなくなるぞ!」
春吉は勝艦長にランサーミサイルが
物の数分で寿命が尽きると警告した
真耶の守りも後数分しか続かない

「岩表機関班長エンジンの
再点火はまだ出来ないのか!?」

「いま総力を挙げてやってますが
後30分は掛かるかと」

『完全停止状態からの復旧だからな・・』

勝艦長は「無理は承知だ!20分で
サブエンジンを点火してくれ!」と岩表に命じた

「了解です艦長、ですが科学班長をお借りします!」
恐らくエンジンルームに直接向かい
アドバイス的に設計者に来て欲しいと言う事か?

勝艦長は春吉にアイコンで合図し
春吉もアイコンタクトで了承した
『行ってくれ春好君!』『了解です艦長!』
二人はハヤテのエンジンルームに向かい
緊急EVで急行した

一方で真耶は支配していたランサーミサイルが
力を失うと同時にあっさり其れを手放し
ハヤテに向かって更に攻撃を仕掛ける
デストロイ・カタストロフの主砲攻撃を
念動で当たらないように曲げて
何とかハヤテを護り続けていた

第一司令室艦橋に居る全隊員が
固唾を飲んで真耶を見守る中、
超能力を使えば使うほど真耶の顔色が悪くなり
その表情から頭痛に苦しんで見える。

「済まない真耶・・今はお前頼りだ」
誠矢の言葉に真耶はニコリと笑い

「大丈夫よ誠矢兄さん、寧ろ皆を守れて
嬉しいんだから」
そう言って頑張る真耶に隊員達の心が熱くなる
「頑張れ真耶」「頑張って真耶さん」「真耶!」

仲間達の励ます声に真耶は勇気付けられ
もう少しだけ頑張れると思った
誠矢は真耶の頑張りを応援しながらも
エンジンの再起動に向かった春吉と岩表に
一刻も早く普及してくれと心から願う。

______________________
★付箋文★

ハヤテ機関
グランディディエライト号艦本式缶4基
艦本式グランディディエライト2基2軸
(魔導コア・シルヴァニア機関)

補助エンジンの艦本式グランディディエライト2基2軸を
無理矢理動かすには相当の爆発力が必要で
時限式の爆弾を使用する必要があると
春吉進一郎博士が言った

「爆弾でハヤテのエンジンの目を覚ますのか?」

春吉の突拍子もない提案に岩表は冷や汗を流す
普通ならエンジンが壊れる所か周辺にも被害が出る
可能性まであるのに何を言い出すのかこの天才は?

「冗談ではないんだなジーニアス?」

「当然だこんな時に冗談は言わないよ
爆発に逢わせてスターターを回し起動させる
タイミングも重要だ、爆弾の威力も
弱すぎると意味がない」
春吉は用意した爆弾の名を明かして
更に岩表を驚愕させる。

「使うのはプロトニック743だ」

「何だって!?」

岩表が目を剥くのも無理はない
其れは小型の核爆弾でガルスグレーサーが
大規模破壊活動に最も使用する悪名高い
時限式小型核爆弾であった。

「Jジョーカーが仕掛けた物を爆弾処理班が
回収した物がまだ数個保管庫にあるから
それを使うんだ」

春吉の説明に多少目眩がしながらも岩表は
「解ったよ天才先生・・悪事に荷担するよ
・・エンジン内で核を爆発させ見事
ハヤテを動かして見せようじゃないか」

恐らく自分の職歴にエンジンを動かすのに
核を利用したという経歴を持つ者は
後にも先にも自分くらいだろうと岩表は
苦笑しながら作業に入る

「爆発を上手く誘導してサブエンジンから
噴射させれば恐らくエンジンが掛かる・・
上手くサブが動けばメインも目覚める可能性が
あるかもな!」

エンジン室から第一艦橋司令室に居る
響(航行班長)に連絡し爆発と同時に
弁を開けるから、其れと同時に
イグニッションを入れるよう

指示を出した、「合図と同時にやるんだ
2度目はないと思ってくれ!」

______________________
★付箋文★

当然の事ながら、この合間にも
真耶は仲間をハヤテを護る為に
超能力で戦い続けていた

「魔導カノン発射の後ランサーミサイル
4発ハヤテ後方に回り込ませ貫け!」

デストロイ・カタストロフの魔導カノンは
ハヤテの10分の1に凝縮された装甲を
貫く為に10対1に圧縮しそれを10本に
纏めて撃っている集約砲だ

故に・通常のエネルギー砲の10倍以上の破壊力を
持つに至る、並の戦艦なら艦体をそのまま
抉り取られる威力である。

それはハヤテの主砲アレキサンドライト・カノンと
違う原理で同等の破壊力を誇るものだ
真耶はそれをハヤテに当たらないように
空間を曲げて外し、逸らしきれないときは
ハヤテを念動で動かして避けていた

だが後ろからまるでブーメランのように
迫って来るランサー4本に気付かない

「響!サブエンジンを点火だ」
エンジン室から岩表の指示が入り
響がイグニッションを入れたのが殆ど同時で
ハヤテはエンジン内部で起きた核爆発で得た
推進力により一気にエンジンが蘇った

ランサーミサイルがハヤテに突き刺さる
その瞬間に真耶も気が付くがもう遅い
もう(間に合わない)と思ったその刹那

サブエンジン部から
核爆発エネルギーが噴出し、
その推進力がハヤテの艦体を
急激に前方に押し出しギリギリの所で
ランサーミサイルの驚異から逃れられた

そしてサブエンジンが点火したのを切っ掛けに
メインエンジンのパワーも復活する。

「艦長メインエンジンが生き返りました」
岩表(機関班長)の報告で息を吹き返したハヤテ
「響、全速前進、そのまま
ハイスピードファイティングだ!!」
勝艦長の指示が飛ぶと響はハヤテを
超高速戦闘状態に繰艦し始めた

真耶はハヤテを動かす必要がなくなり
ランサーミサイルだけに集中し
4本のミサイルの支配権を奪うと
デストロイ・カタストロフに向け投擲した!

「エンジン全開!ハヤテに向かって突っ込め」
ウルフシューターの指示に従い
セントバーナード(元)少佐が
デストロイ・カタストロフを加速させると
真耶が放ったランサーミサイルが目標を失い
何もない後方に飛び去っていく

その飛去ったミサイルの処理は
デストロイ・カタストロフが後部
主砲を撃ち4本のランサーミサイルを迎撃

そのまま新たなランサーミサイルを6本発射し
前方に6本を固定させハヤテに向かって
突き刺す形で全開の全速前進で突撃した

「させるか!!」

「真耶が守り通した
ハヤテを沈めさせて成るものか!」
誠矢と響は心を一つにしてこの攻撃に対抗する

ハヤテがアレキサンドライト・カノンを発射し
それも敵艦の魔導カノンで迎撃され
更にミサイルランサーに貫かれると読んだ
勝艦長はさらにハヤテの主砲を
ソード化して待ち受ける。

ソードとランサーの威力は殆ど互角
だが長さがハヤテの主砲ソードの方が
200M程長い、但し
「これがミサイルだと忘れてないか!?」
ランサーが発射され長さの有利は
当然の様に失われる

ミサイルを撃ったデストロイ・カタストロフは
ハヤテの上を通り抜けるが謎の攻撃を食らう
「なっ!?」

ハヤテの後部主砲がソード化しており
それがデストロイ・カタストロフの艦底を
切り裂いた

ランサーを弾き返すと同時に後部主砲ソードで
ダメージを与え「響ハヤテをバクテンさせろ!」
勝艦長の指示通り響きは姿勢制御ブーストで
艦隊を後方大回転させた

「大城、ソードで敵艦の艦橋を狙い斬れ!」
勝艦長の指示を聞く前から誠矢の狙いも同じだった
「了解です!」

だが切り裂く動作に逢わせデストロイ
・カタストロフの艦体を傾け僅かに反らすセントバーナードの
超絶テクニック、伊達にウルフシューターが
頭を下げてまで連れてきたパイロットではない

同業者の響も此には舌を巻いた
『凄いパイロットだ』

だがこの時、響も未来を読んだ予測操縦で
ハヤテを横凪に回転させていた
ハヤテの主砲ソードがデストロイ・カタストロフの
主砲を一つ切り裂き大破させるのに成功する

『やるな~あのパイロット!読まれたか・・』
セントバーナードもハヤテパイロットが
尋常ならざる者と認識した瞬間だった
_____________________
★付箋文★

「撃ち合うと言うより、もう斬り合うといった
感じだなあの二艦は」
ワイルダーの言葉にグリフォンも頷く、
突出した戦艦同士の戦いは在り来たりな常識など
全く通用しない様相を見せる

「それにしてもウルフシューターめ随分腕の良い
パイロットを引っ張ってきたな羨ましい限りだ」
ワイルダーが褒めるのも頷ける繰艦技術だと
グリフォンもそれは思ったが

「何・・我が艦の操縦士も次戦に披露するが
なかなかの腕前だぞ」と喧伝をする

ワイルダーは「俺のパイロットもまあまあ
やれると思うぞ、お前達の自慢のパイロットには
及ばないが」

『良く言う・・γ艦の操縦士は君がやるのだろう?
ワイルダー』 ワイルダーには将軍の顔とは別に
もう一つ顔があり、それが繰艦の寵児と言う
有名なあだ名であった

ガルスグレーサー全ての操縦士の中で
現在に至るまで、その繰艦能力は化け物と
伝説として語られる評価は揺るぎのない事実
セントバーナードでさえ全盛期でも勝てないと
認める超人であった。

「それにしてもそろそろ2時間だが・・」

「ウルフシューターは本当に
我々に順番を回すは気あるのか?」

グリフォンとワイルダーは1生に1度のこの機会を
自分なら譲れないとしか答え様がない
『これ程まで(猛る)戦闘は
貴公も初めてであろうウルフシューター』

_____________________
★付箋文★

デストロイ・カタストロフは「魔導振動砲」を
再びハヤテに向けて発射した

「超重力圧懐砲発射!!」だが
それを迎撃するのもまた同じ決戦兵器だ

「二度と喰らうか!!」大城誠矢が吠える

超重力の塊と振動波が激突し宇宙空間が
歪な感じでネジ曲がりその影響で両艦の装甲が
軋み亀裂が走る、影響はやはり
デストロイ・カタストロフの方が大きい

二つの超兵器同士が衝突した空間が目の前にあり
まだその影響が消えていない
「このまま突っ込め!避ければ隙が出来る!」
勝艦長の言うとおり敵も同じ考えだ

未だに空間が危険な状態にある中に
ハヤテとデストロイ・カタストロフは
突入した、重力に締め上げられ
艦内に振動が起きる、だがどちらも
致命傷には至らない。

「アレキサンドライトソード展開!」

「ランサーミサイル全門発射体制!!」

<其処まで!!>その声が通信機に響渡り
広範囲な液体金属が両艦の行く手を遮る

ハヤテとデストロイ・カタストロフは
互いに剣を鞘に納め距離を取る

ウルフシューターが見ると既に2時間が過ぎていた
『もうそんな時間になっていたか・・・』
ハヤテとデストロイ・カタストロフは
その場で互いの被害状況を見合う時間となる

「どっちも酷い状態だな・・」
因みに負ったダメージは意外な事にハヤテの方が
少ないみたいだ・・

最後に超重力圧懐砲と魔導振動砲が
(遂消滅)した空間に突入した事が
ダメージの差となった
「ハヤテの超圧縮装甲は伊達ではない」

春吉(科学班長)はドヤって分析結果を口答で
伝えながらもデストロイ・カタストロフの
特徴的な排気部分に注目した『まさかな・・』

※この(まさかな)は後々の巨人要塞戦艦との
戦いで判明する事案となる

<グリフォン将軍より入電繋げます!>
ジョン通信班長が通信を繋げる

<勝艦長素晴らしい戦いぶりに感服致しました
申し訳ないが此も戦・・続いてこのグリフォンと
戦って頂く>

はっきり言ってこの連戦はハヤテでも厳しい
併し、もし戦場で、デストロイ・カタストロフの
3隻と同時に戦っていたらと考えると
背筋が凍る思いだ

「いや、順番に戦う必要など全くないのに、
こうして待って貰える事事態が有り難い・・
・・だがハヤテは勝たせて貰う!」

そしてグリフォン将軍との第2回戦が始まる
______________★付箋文★

1時間が過ぎた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
その戦いも又壮絶な戦闘と成っていた

デストロイ・カタストロフβの決戦兵器は
(魔導液体重金属兵器)
その名の通り重金属を自在に操り
変幻自在の液体金属で攻撃してくる

ある時はトゲ状に、又ある時は剣の形状に
ハヤテに向かって有り得ない形状であらゆる
方向から攻撃を仕掛けてくるのだ

「主砲剣展開!」液体金属の刃を必死に弾くのは
この刃が液体金属の密度を10分1に圧縮し
ハヤテの装甲を斬ることが出来るからだ

普通なら10分1圧縮と言う攻撃方法は思いつき
もしない・・10倍のエネルギーを消費する
攻撃方法などエネルギー切れを起こし、
大き過ぎるエネルギーでエンジンが焼き切れる
恐れがあるからだ・・

『全力戦闘の限界は約2時間・・それがデストロイ
・カタストロフのバトルリミットだ』
ウルフシューターはデストロイ・カタストロフを
自虐的に宇宙戦艦としては(欠陥品)だと評した
この素晴らしい艦をである。

「βの翼を広げろハヤテを追い込むのだ」
デストロイβに今だ1撃も入れられず
ハヤテは窮地に追い込まれていた

鳥の羽ばたきが危険な挙動を見せて
ハヤテに向かって襲いかかる
響は鳥の羽ばたきを避けながら超高速戦闘状態で
液体重金属の翼に護られたβ本体の攻撃可能な
場所を探すがそんな所は全くない

「ドリルミサイル発射!!」
勝艦長が命じると空間転移ゲートから
16発ものドリルミサイルが発射され
そのドリルが液体金属の翼に穴を開けた

「今だ大城!あの穴に向け主砲で撃ち抜け」

「主砲撃ちます!」
アレキサンドライト・カノンが
穴を通ってβに初めてのダメージを与えた
(かに見えた)が・・液体金属を
透明化し艦体覆っていたβの艦体は無傷

それどころか敵艦の主砲がハヤテに向け
発射された「魔導カノン!?」
だがそれは通常の50センチ・ガルス砲だった
{急造であるβシップの主砲は
改造が間に合わなかった}のだ

「やはり・・効かぬか」
この至近距離でもハヤテの装甲は撃ち抜けない
『この(化け物装甲)め・・』

魔導エンジンをフル稼働させての
液体重金属の運用は、間違いなく
このβ艦の寿命を喰らっている
エネルギーを喰らい尽くす前に
勝負を付けねば全て終わる

この重金属の密度は10を超え20まで密度を
増幅が出来るが・・・密度20はエンジンに
負担が大きすぎる・・
だが・全てを出し切らねばハヤテには勝てない
「デストロイ・カタストロフβよ・・
済まぬが・・御前の命使い尽くすぞ!」

グリフォンはこの時、デストロイ・カタストロフβが
(望むところ)と言った気がした、只の感傷だ・・
有り得ない・・だが・・多少延命しても
もう二度とハヤテという強者と互角に
戦える機会はないのだ。

「液体密度20!超振動ソードウイング発動!!!」

デストロイ・カタストロフβの背中から生えた
重金属の密度が更に20倍となり
それに超振動させて切れ味を増した(攻撃)
此がいかに危険かはハヤテ第1艦橋司令室に
乗る誠矢達は直ぐに理解した

「あれを物理で止めるのは絶対に不可能だ・・
ハヤテの超重力竜巻砲しか打つ手はないだろう」

誠矢の呟きに春吉は
「当然相手もそう考えている筈だ
だが変幻自在の液体金属を竜巻で
止めきれるかどうかが問題なんだ・・」

「避けられると言うことですか?」

「最悪そう成る」

そう・・ジェット・トルネードカノンも
大艦隊を相手にするための大量破壊兵器であって
あんな常識外の単体の敵を想定しておらず
だからと言って・・重力圧懐砲では
元々高密度の液体金属との相性が良くない

あの液体重金属兵器は単艦相手にもかなり使える
汎用性がある、ハヤテにも対単艦仕様兵器開発の
必要があると言うことか・・・

此が最後の戦闘になると互いに感じて
双方暫しの睨み合いの状態が続く

グリフォン将軍は魔導液体重金属の
{超振動ウイング・ブレード}を
発動させた後で、ハヤテが次に
ジェットトルネードを使うと予測し
ある作戦を考えていた


7:54 2024/10/17

そしてハヤテも誠矢と春吉の考えた作戦を
主軸に勝艦長がもう一案加えた作戦を練り上げた

此処まで来ると作戦勝ち狙いより{運任せ}
の方が大きい、勝艦長は最終作戦を決断し
臨戦状態のデストロイ・カタストロフβに
攻撃を仕掛ける

まずは主砲アレキサンドライト・カノンの
全門一斉発射でβを集中攻撃し
転移ゲートから並の戦艦の装甲ならえぐり取る
威力の破壊光線が9本向かっていくが
βの超震撼ウイングブレイドが
難なくそれを弾き飛ばし宇宙に四散させる

後にも先にもハヤテの主砲相手に此が出来た敵は
デストロイ・カタストロフβだけだろう
「予想はしていたが凄まじい硬度と柔軟性だ!」

春吉はデストロイ・カタストロフβが
アレを装甲に薄く張ってあるだろうと
確信している

ハヤテより2倍に圧縮された液体金属装甲
破壊されても直ぐに修復する
ある意味不死身装甲だ・・『これも私への
課題という訳ですか・・ウルフシューター』

悔しいが魔導科学に置いてガルスグレーサーは
2万年運用し続けてきた実績がある
遺跡を発掘し分析した技術で遣り繰りする
春吉とは自力が違うのだ。

ハヤテが超高速戦闘
(ハイスピードファイティング)
状態となり宇宙空間を光の矢となってβを
四方八方から攻撃しても、その攻撃はβの
ウイングブレードに全て弾き飛ばされてしまう

そして航跡を8の字に描きながらハヤテはβを
照準に捉えた「ジェットトルネード砲発射!」

ハヤテの前部にある突起物から異常な力を持つ
宇宙竜巻が撃ち出される、これに狙われた敵は
非常に強い渦を巻いた重力の竜巻に巻き込まれ
強力な回転力で掻き回されながらバラバラに
分解される。

如何にデストロイ・カタストロフβと言えども
その破壊力の前に為す術は無いはずなのだが

「ショートリープ!」まるでそれを読んで
いたかの様にβを1万mほどリープさせ
其処からウイングブレードを羽ばたかせ
ハヤテを切り裂くデストロイ・カタストロフγβ

『斬った手応えが無い!?』
グリフォンが感覚的に今見えているハヤテが
幻影であると見破った瞬間に自分の背中越しに
敵艦の気配を感じた

『小癪な!』

分身と見せて敵を惑わすのはグリフォン将軍の
十八番であり得意戦法である
ハヤテにはガードミラージュシステムがあり
質量まで実体で有るかの様に見せかける

(アトランテスの遺産・{モノリスコア})
そのオーバーテクノロジーを利用しており
魔導力を原動力としたグリフォン版よりも
遙かに上位の技術だった

「ハヤテが一度に6隻出現!!」

「どの幻影にも質量が・・見分けられません!」
グリフォンの表情が険しくなる

『成る程な・・化かし合いなら
此方の方が一枚上だと
言った所か・・勝艦長・とんだ狸よ』

「だが・・本物を探す・・手はあるぞ」
グリフォン将軍の判断は素早い

「主砲全門発射!」」

『本物に当たれば反応がある筈だ!』

βはハヤテには効果がない主砲を全門発射した
だがそれは本物を見つけ出す為の攻撃である
「本物を見つけたら超振動ウイングブレードで
攻撃する!」

デストロイ・カタストロフβの主砲が
幻影を貫くとその幻影は一瞬映像が揺らぎ
元のハヤテの姿に戻った、明らかに偽物だ
他の偽ハヤテも大概同じだったが
一つだけエネルギーが当たった反応を示した
奴が居た、間違いなく此が本物のハヤテだ

その見つけた本物に向けてグリフォンは
ウイングブレードを放つよう命じ・・(ない)

いつの間にか、ガスがこの宇宙域に充満し
透明化していたハヤテを浮かび上がらせた
『!!』其処かとばかりにβがウイングブレードで
攻撃を仕掛けるが一瞬早く透明化を解いたハヤテが
超加速で移動し攻撃を避ける

エネルギーに反応した(奴)は
そう見えるように見せかけたハヤテのフェイクで
実は本物は透明化して隠れたいた
それを暴き出したのがガスを充満させ遮蔽を
見破るターナー戦法だった

だが勝艦長は恐らくグリフォンなら必ず
其れを見破ると読んでおり
遮蔽を解き加速して逃げる事を想定しその時を
待ちかまえていた

ハヤテは予測された攻撃を回避しつつ
βにわざと隙を見せる

「今だウイング・ブレード」
その瞬間突然グリフォンの視界に
鮮烈な赤色をした一機の戦闘機が遮蔽を解き
その姿を現した

『何だあの赤い戦闘機は!?』

その戦闘機の先端部から危険な光の牙が姿を見せる、
この赤い凶悪なデザインをした戦闘機の名は
新兵器{魔導戦闘機}カラメティドラゴン

春吉進一郎が試験運用にまで漕ぎ着けた
地球初の魔導エンジンを搭載した言わば
試作機である、それを更に弄って
真耶が鹵獲したランサーミサイルの槍部を
20倍に圧縮調整して新型戦闘機に搭載した。

この凶悪極まりない怪物を操縦できる怪物
それはハヤテでも限られる

まず人間離れした反射神経と操縦技術、そして
魔導を身に纏い戦える戦闘能力が必要となれば
必然的にその操縦者は搾られる、ハヤテ最強の
超人(坂巻進吾)以外に考えられなかった。

何も無い宇宙空間、だが併し其処には確かに
一機の戦闘機がその姿を隠していた

ターナーのガス式探知戦法を逃れるのはハヤテの
大きさでは到底不可能だが、この戦闘機は
小型の上に魔導鉱石で坂巻流真魔導拳までも
(再現出来る)そこで坂巻進吾はガスの密度と
移動速度迄を読みきり気配を消す
(目視しても認識させない)技を使い
ガスその物に成りすましたのだ。

そしてグリフォン将軍の持つ
猛禽類の眼さえも騙して
カラメティドラゴンで強襲した

その機体からは禍々しい(紅光の牙)が生え
それがランサーミサイルを更に改造した
いや魔改造した代物だとグリフォンには
推測が立った

『・・・ランサーミサイルには自爆装置を
備えて置くべきだったなウルフシューター・・』

新兵器カラメティドラゴン
その戦闘能力は全てが未知数だった
春吉(博士曰く)坂巻隊員の魔導を操る
戦闘技術を有る程度戦闘機で再現出来る
性能で{削れる武装は全て削ぎ取り}
残された唯一の武器が{紅光の牙}だ

だがこの尖りに尖った超性能機を坂巻は
感覚的に操る『信じられない事だが
・・俺の技が戦闘機で使えるみたいだ』

この小さな{魔導戦闘機}カラメティドラゴンが
デストロイ・カタストロフβの脅威になるとは
流石の大鷲将軍でも想像もつかなかった

「新型戦闘機か・・ランサーミサイルを搭載して
近接戦に使うとは正気か?・・春吉博士・・
もう少し人道的な科学者だと思っていたのだがね」

「坂巻流(魔導拳奥義)烈破斬!!」

{魔導気を全身に纏}い敵を魔導の衝撃波で
木っ端微塵に撃ち砕く技を戦闘機の機体で再現する
魔導式エンジンを搭載しているからこそ出来る
超絶戦闘法だ!

デストロイ・カタストロフβの装甲が
液体重金属膜で保護されていることは
既に春吉によって見抜かれていた
どんな攻撃も20倍に圧縮された液体重金属膜の
防御力に拡散され効果はない筈だが

坂巻はこの手の(技を受け流す)類の技を
熟知しており、その突破方法も心得ていた
同じ箇所に集中攻撃しその中心部が
最も防御が薄くなったその瞬間に
「坂巻流魔導衝撃掌」で撃ち抜く

巨大な敵を想定し生み出された
対巨人用の戦闘術・坂巻流真魔導拳
其の威力を存分に発揮し
カラメティドラゴンは連続技の集中と
20倍に圧縮した紅光の牙で其れを実現させた

「敵戦闘機が当艦の装甲を破りました」

「馬鹿な!」流石のグリフォンも他に言葉が出ない
デストロイ・カタストロフβのぶ厚い装甲を突破して
艦内に突入するカラメティドラゴン
突入した場所は艦の心臓である魔導エンジンの
直ぐ近くだった。

700Mの巨体の後部デッキが爆発炎上しβに
大きなダメージが入ったのが見て取れ
20メートル程の戦闘機でも内部で暴れられれば
それは途轍もないダメージとなる

『普通の戦闘機ならばあの様な特攻は
爆散して終わりだ、だがあの戦闘機は
魔導障壁を全身に纏っている・・
地球の魔導力の研究はガルスグレーサーをも
凌駕すると言うのか!?』

βの内部構造体を破壊し続け
坂巻が目指すのはグリフォンがいる
デストロイ・カタストロフβの艦橋だった

『敵の首魁捉えたぞ!』

<其処までだ!!>
坂巻の目の前に液体重金属の壁が突然現れ
カラメティドラゴンの行く手を遮った

デストロイ・カタストロフは自らのウイングブレード
を腹に突き刺しカラメティドラゴンの動きを止めた

そこに勝艦長から坂巻に通信が入る
<ご苦労だった坂巻隊長、作戦は終了する
残念だが2時間の時間切れだ>

坂巻が時計を見ると2時間は既に2分も過ぎていた
<おっと・・>
道理でハヤテが相手をしていたウイングブレードを
デストロイ・カタストロフγβがこっちに向けて
使えるわけだ

グリフォン将軍が坂巻に直に通信して来た
<坂巻隊長、君の勝ちだ私は負けを認める
ルールがなければ私の命は確実になかった>

カラメティドラゴンは通常飛行に戻り
βのウイングブレードに手酷く痛め付けられた
ハヤテに帰還した

<坂巻隊長、転移ゲートより帰還して下さい>

<了解!>

坂巻は最後にデストロイ・カタストロフβを見て
『ハヤテがあの翼を引き受けてくれてなければ
俺は生きて帰れなかったな』

とは言え連戦しているハヤテの傷は想像以上に
深く重い、この状態でワイルダーと休み無く
戦うのは(窮地)と言って過言ではなく
ハヤテは誕生後初めて敗北と言って良い状態に
追い込まれていた_______________
______★付箋文★

「敵が3隻同時に連携して攻めてきたら
我々に勝ち目はあったと思うかね春吉君?」
勝艦長の言葉に春吉は首を振り

「勝ち目はないでしょう、ハヤテの性能に
此処まで対応されては打つ手がない
1隻だからまだ勝負が出来ているんです」

「後・・敵がどうやら2時間しか
全力を出せない事は間違いない様ですね」

誠矢は「それで2時間の制限を提案してきたのか」と言い「上手いものだ」と感心する

「何敵を褒めてるんだ」響が誠矢にそう突っ込みを
入れると真耶が、「それよりワイルダー将軍と
少しお話させて欲しいんですが」と言い出した

「何を急に時間稼ぎをするのか?」

「それもあるけど私はテレポートで
直接お会い出来るのよ、お話がしたいわ」

「悪くすると冥王星の二の舞になるが・・」
{双方にまだ死人が出ない内に話し合いで
解決したい}と言う真耶の願いは
誠矢にも思う所があった

「確かに此以上戦えば双方に犠牲が出るのは確実だ
話し合う価値はあるだろう・・」

____________________

最後に残ったデストロイ・カタストロフγは
ワイルダーに与えられた魔導戦艦だ
デストロイ・カタストロフγワイルダー
魔導ガス星雲レプリカ兵器

魔導力で宇宙のあらゆるガスを再現し
武器として使うことが出来る

ガスというのは毒だけでなく
エネルギーを吸収する吸血ガスや
あらゆる金属を腐食させる腐食ガス
レーダーを阻害するガスそれに
{人知を超えた}ガス状生物兵器もある

長身長髪の銀髪と言う異形に
青い皮膚を持つガルスグレーサーでも
武闘派で飛び切り有名なこの男こそ
戦鬼将軍ワイルダーである

「いよいよ決戦だが・・今のハヤテの
戦闘能力は良くて50パーセント台と言った所か・・」

γの艦橋にハヤテから入電ありと言う通信士の
報告、ワイルダーは其れを繋ぐように指示を出した
『何事だ?』

通信から聞こえたのはあの少女の声だった
「此は大城真耶の声・・俺と話がしたい?
直接会ってだと?そして・・今から来る!?」

「超能力反応有り!巨大です!」
と言うコンピューターの
声が聞こえその反応が此処だと聞かされる
「全員そのまま待機!俺の客だ」

ワイルダーの部下達は歴戦の勇者と言うより
全員歴戦のバイキングと言った風情である
全員恐ろしく肝が据わった連中だった。

其処に黒髪で華奢な美少女が夢のように
姿を現した、完全非武装の淡い色のワンピース
姿に{バイキング戦士達}は警戒所かうっかり
疎かに損なわれて可憐なその姿に見とれる、
「おお~天使が現れた」

「お久しぶりですワイルダーさん」
真耶の最初の挨拶に
ワイルダーの表情が明らかに優しく緩み
部下達が普段目にした事のない優しい顔を見せた
「むさ苦しい場所にようこそお嬢さん」

「艦長むさ苦しいは余計ですぜ!こんな可愛らしい
お嬢さんと知り合いだなんて隅に置けやせんね
俺達にも紹介して下さいよーっ」
と艦長であり将軍をさえからかうこの連中は
間違いなく宇宙の荒くれ者だ

己の実力と才気だけで此処までのし上がった
宇宙の無法者集団の頭であるワイルダーの部下達は
流石にひと味もふた味も違う。

「真耶、何をしに来た?」
ワイルダーは解っていても其れを聞くしかない

真耶はしっかりとワイルダーを見て
「実はハヤテとの戦闘を違う形で行うことを
提案しに参りました」と言いだした

違う形?と言うのはどういう意味なのか?

真耶の説明ではハヤテのコンピューター
シュミレーションによってγとハヤテの
戦闘を互いの戦力を想定して行い
決着を点数で付けると言う物だった

「此方の選手は誠矢兄さんが、そちらは
ワイルダーさんが{戦う}というのは
如何でしょう?」

ワイルダーは大城誠矢こそが例のアストラだと
ウルフシューターが言っていたのを思い出した

『成る程・・これで奴の力量が計れるな
果たして本当にガルスグレーサーの命運を占う
解放者たる器と成るか見極めてやろう・・』

「成る程其れは願ってもない申し出だ
ハヤテに行けば良いのか?」

もう行く気満々であるワイルダー艦長に部下達は
「不味いッスよそりゃ~幾ら何でも
不味いですよ頭ーっ」

ワイルダーは将軍の長いコートをワイルドに
着こなす大男、そして二枚目だが迫力のある容貌で
睨みつけられるだけで相当怖い

だが部下はそんなことは一切気にせず
「だからウルフシューターの旦那と
グリフォン先生に黙ってそんな面白い事したら
後で酷いですぜ!」と言いたいことを言う

又其れはワイルダーも無視出来ない案件だ
「ああ確かに・・それは不味いな」

ワイルダーは少し考えて
「真耶、悪いんだが彼奴等も呼んで良いか?
そうしないと絶対後でゴネると思うんだ」

真耶は「まあ嬉しい是非いらして欲しいわ」

その笑顔を見てワイルダーは思った
『俺に超能力がなくても、この娘に悪意が無いのは
見れば直ぐに解る・・あの二人も異存はないだろう』

______________________
★付箋文★

ハヤテの転移ゲートルームに
先にテレポートで到着した真耶とワイルダー
そしてゲストを出迎える為に、勝艦長と
大城誠矢戦闘隊長が出揃っている。

※{大城真耶は春吉が開発した
{圧縮式転移変換装置}により
ハヤテに登録されており瞬間移動で
自由自在に出入りが出来るのだ}

続いて転移ゲートが開き
グリフォン将軍が出現した
「毎度の事ながら貴公の破天荒ぶりには
驚かされるよワイルダー」

大鷲将軍はハヤテに招待されるのに礼儀だからと
将軍の正装服で現れ勝艦長に挨拶した

次にハヤテの転移ゲートを通って
現れたのは同じく正装服を身につけた
ウルフシューター将軍だった
「お招きにより参上しました
ウルフシューターです」
そう言って勝艦長と握手を交わす

「艦橋から艦橋に転送する技術・・
ハヤテには腕の良い転送技術者が居ますな」
ウルフシューターの褒め言葉を聞けば
{春吉さんがさぞ喜ぶだろう}と
※(転移ゲートは春吉オリジナルの魔導方式)

誠矢は想像して笑いそうになりながら
今はそれよりも此からシュミレーションで
対戦するワイルダーの事が気になった

『この男がワイルダーか・・』
見るからに只者ではない空気を纏っている
誠矢がそう考えているといつの間にか
ワイルダーとグリフォンそして
ウルフシューターの
3将軍に取り囲まれていた

「貴殿が大城誠矢殿か」

「流石になかなかの面構えだな!」

「成る程、これは楽しみだ」

3将軍は興味津々な様子で
誠矢を眺めて来る『罰が悪いな・・』
「御三方立ち話も何ですので」
勝艦長が誠矢に助け船を出すと

真耶が3将軍に向かい
「シュミレーションルームに
御案内します、どうか此方へ」と言い
道案内を始める、3将軍は真耶に大人しく
ついて行った

『ふう・・助かった』
只の戦闘隊長の俺にあの将軍達は何であんなに
グイグイ来るんだ?『全くおかしな連中だな・・』
※3将軍が自分の事をアストラだと知ってると
この時の大城誠矢は思っていない

そしてシュミレーションルームでは
春吉進一郎が戦闘シュミレーションの
プログラムを準備し終わった所で

「オオ!本当にお会い出来るとは!」
そう嬉しそうにウルフシューター将軍に
握手を求める

ウルフシューターも喜んでその握手に応える
「博士とは一度心行くまで科学談義をしたいと
思っていたのです!」

二人はその場で本当に談義を始めた、
もう一時も待ちきれない様子だ

「本当に10分の1の世界は驚きの連続だ
空気や分子、粒子に至るまで圧縮されている
と思うと何やらむず痒くなるよと」
ウルフシューターは自分自身の顔を掻いた

「私はその辺りは気にしない様にしています
そう言うものだと思うのが魔導科学に毒されない
最良の付き合い方なのだなと」

「確かに常識で考えると沼にハマる・・」
グリフォンも二人の会話に参加した

「併し実に上手い考えだシルヴァニア現象が艦を
10分の1に圧縮し、ハヤテは無敵の駆逐艦として
敵味方の眼を欺きながら大活躍した」

「独立遊撃艦と言う絶妙な立場に加え銀河円盤と言う
架空のキャラクターを作り出しそのオマケに
銀河の盾と言う組織まで丁稚上げるとは
素晴らしいの一言につきる」

『やはり3将軍は全てお見通しか』

「まあそう構える必要はない、我等も
巨人文明とは既に敵対する運命にある」

春吉は最早隠す必要はないと確信し
「恐らく3将軍ばかりでなく多くの
ガルスグレーサー兵が同じ考えなのでしょう」

「巨人種に対する嫌悪感の話か・・?」

グリフォンとウルフシューターは顔を見合わせ
「その通りだ、巨人になると人格まで変貌し
尊大で凶暴になる傾向があり私はそれを
巨人族のパラノイアと呼んでいる」

「それは巨人から普通サイズになれば
治るんでしょうか?」

「禁断症状はあるが薬で抑える事は出来る
但し巨人文化で育つと巨人でなくなる事が
思想的に受け入れられなくなる傾向が強くなるな
これは大人になり年を経るほど酷くなる様だ」

『この辺りの話はどちらかと言えば北本先生の方が
聞きたい話だろう・・』

春吉はグリフォン将軍が精神医学に精通しているのは
戦術に使えるから学習したのだろうと推理した

「所で我々は銀河の盾と言う架空の組織の力で
銀河連邦の呪縛を断ち切りました・・同様に
あなた方を巨人支配の呪縛から解き放とうと
考えています」

グリフォンはそこで忠告をした
「銀河の盾は確かに強力なカードだったが・・
ガルスグレーサーは銀河円盤が1機しかないと
考えている者が中枢に居る」

「銀河円盤の技術はガルスグレーサーを
裏切った者が巨人戦艦の設計図を盗んで
銀河に持ち込んだと予想しているのだ」

「成る程・・時系列的に・それだと
複数機を製造できる筈がないと考えるか・・」

「どちらにせよ1万機と言うブラフはもう
通用しないと考えた方が良い」

ウルフシューターそしてグリフォン
相手に春吉進一郎の3人が立ち話で
談義をしている間にも、
大城誠矢はワイルダー将軍と
{戦闘シュミレーション}で戦っていた

誠矢はハヤテを、ワイルダー将軍は
デストロイ・カタストロフγを使い
模擬戦闘の勝負は拮抗している
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「成る程そうくるか・・中々やるな大城総隊長!」

「将軍の方こそ、もの凄い操縦技術ですよ」

シュミレーション内では
ハヤテに向かいデストロイ・カタストロフγが
魔導ガス兵器を駆使して、まず宙域全域の水素を
一気に太陽に向け移動させた

そのせいでハヤテはエネルギー不足となり
戦闘能力が激減する

ガスを自在に操れると言うことは
宇宙そのものを武器にも防御にも使える
バトルフィールドを自分に有利に
作り替えることも容易だ

次にハヤテ内部の酸素濃度を一気に
致死レベルにあげる作戦に出るが
誠矢が其れを読んでリープで逃れて
一気に反撃に転じた

「エネルギー残量低下!残り54パーセント」

コンピュターが警告を発する
「主砲アレキサンドライト・カノン発射!」

デストロイ・カタストロフγは
ガスの密度を急速に上げてカノンの威力を殺す
逆に通常兵器であるデストロイ・カタストロフの
主砲を撃ち、それが直撃する空間に爆発力のある
強力な可燃性ガスを濃縮させて爆発させた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ウルフシューターが春吉に向かい
「ハヤテの主砲には泣かされた、どんなに
再現しようとしてもあの威力は出ないからね・・」

「まさか魔導科学による異常現象で
10分の1に圧縮し転移ゲートを通して
発射していたとは」

「それなら大口径ビームを自然に圧縮し
発射するだけで推進力と威力を増大出来る」

「最もハヤテが元の大きさだったら・・
此処まで強力な存在には成りえなかったと
断言するがね・・」

春吉はグリフォンが放った今の言葉に
ハヤテの弱点を指摘された気がした

『まさか・・私のハヤテに弱点など在るはずが・・
だがシルヴァニア現象に問題が生じたら
どうするか考える必要は確かにあるな』

一方━━━━━━━━━━━━━━━━━━

シュミレーションのハヤテは
その小ささに物を言わせ
デストロイ・カタストロフγのガス攻撃を
速さと俊敏な動きで凌いでいた

「本当にハヤテの操縦士は良い腕だ
俺の若い時なら良いライバルに成っていた」

誠矢はワイルダーの方が響以上の腕だと言われて言い返す
「この人工知能が造った響が本当の実力だと
思わないで頂きたい彼奴はこんなモンじゃない!」

『恐らく本当なのだろう・・だが悪まで此は
互いの指揮能力を競う為の模擬戦だ
本物のハヤテの実力に満たないからと言って
俺に負けるようでは、彼奴の指揮する
巨人要塞戦艦に勝てる訳がないぞ!』
ワイルダーは宰相リンクスこそが巨人要塞戦艦
最強の艦長なのだと知っている

『天才の彼奴に生半可な手は通用しない』

だが範囲攻撃の究極系と言えるガス攻撃は
ハヤテが如何に素早く動いても
逃げ場を奪い徐々に追いつめていく

「さあどうする?もう逃げ場がないぞ」

誰の目にもワイルダーの勝ちは決まったかに見えた
だが・・・それは大城誠矢を舐めすぎだ
勝艦長は誠矢が何かを狙っていたのを解っていた

だがそれはワイルダーも持ち前の野生の感で感じ取った
「何だ!此奴何かやる気だな!?」

ハヤテ艦主から角を延ばしジェトトルネードを
発射するがガスはトルネードに吹き飛ばされるも
ハヤテに向かって襲いかかる

『当然だ例え重力竜巻でもγはガスを生き物
みたいに操れるのだからな・・』

だが次の瞬間ワイルダーの余裕の笑みも
ハヤテが重力竜巻の中に突入したのを見て
凍り付いた『そんなバカな!幾ら何でも竜巻を
身に纏うだと!?』

此を見てワイルダーよりウルフシューターの方が
遙かに驚いて春吉を見た、だが春吉でさえ
ウルフシューターに肩を竦めながら
『あんな機能私だって知らないよ』と
ジェスチャーして見せた

だが現実として重力竜巻はハヤテの周りで
渦巻いている「アレは正しく攻防一体の究極戦法だ!」
竜巻がハヤテをガスから守り敵を攻撃する
それが解るからこそワイルダーも
ハヤテの追撃から全力で逃げた

ジェトトルネードによって黒雲ガスが渦巻き状に
回転しながらハヤテを包む竜巻に攪拌され消えていく
あの竜巻に飲み込まれたらγと言えど只では済まない

春吉はブツブツと呟きながら
「馬鹿な・・こんな事は物理的に有り得ない・・
『そうか!誠矢君は・・』相変わらず大胆だな」
そして何か確信し苦笑いになる。

その春吉を見てグリフォンは何かに気づき
『ああそう言う事か、填められたなワイルダー』

そうこうするうちに2時間のタイムリミットが来て
模擬戦の画面が停止した
「どうやら決着付かずだな・・・」

「お互い惜しい所でした」

そう言って誠矢とワイルダーは互いの健闘を称えあい
力強く握手をしてシュミレーション室を離れる
『最後に見せたあれがもしも出来れば、ハヤテは無敵
なのだが・・現実では不可能なんだろうな』

ハヤテがジェットトルネードに飛び込み
その状態で体当たり攻撃など空想の産物であると
解ってはいたが、其れは敢えて指摘しない事にした
結果として引き分けなら、それも有りだと
勝利の為なら多少の狡も・・許されるだろう

其処にグリフォンがワイルダーの肩を叩き
「してやられたなワイルダー」と慰めの言葉を掛ける

いやいや、中々だ真面目一辺倒な奴より
面白い男だよ、俺と気が合いそうだ、と照れ隠しで
笑うと、「やはりな」と意味深な事を言われ

何か妙だな?とワイルダーは
グリフォンの次の言葉で事態が飲み込めた

ハヤテには相手に幻覚を見せる機能があり
竜巻の下りからは全て其れが見せた幻影だったと
ガスもその幻影で見せられていただけで
本当はハヤテもγのガス攻撃で{アップアップ}
だったのだと教えられた

其れを聞いてワイルダーは目を丸くした
オイオイ噂以上の嘘つきだな
アストラと言う男は、そう言って大笑いする

何しろそのアストラと言う名でさえ
咄嗟に付いた大嘘のキャラクターであり
今やその名を知らない者はガルスグレーサー
ばかりか銀河にも居ない

「あいつは戦士よりも政治家に成った方が
大成しそうだ」そう言ってワイルダーは
大城誠矢を改めて評価する

『恐らく彼は巨人族にとって
天敵のような存在に成るだろう』
だがこの模擬戦は後々の誠矢にとって
大きな財産となる

計6時間に及ぶ死闘はこうして
一応の終わりを迎えた
結果として3隻同時に相手にしていた場合
ハヤテの完全敗北は明確であり

1隻を相手取るのにも途轍もない犠牲と
損害を出しての勝利だった

2時間のタイムリミットが有ってこの結果は
巨人要塞戦艦の複数を相手する事が
如何に困難で無謀なのかを
先に解らせてくれた得難い経験と言える。

「欲を言えば俺も本物のハヤテと1戦
やりたかったが・・」と言うワイルダー将軍に

ウルフシューターは
「確かにその気持ちは分かる」
だが・・私の艦長人生で最高の時間だった
これを譲ることは例え戦友のワイルダーでも
無理だと思った

「また機会が来るとは言えないが・・
人生何があるか解らんぞ」
そう言って希望を持たせるのも悪い気がする
それくらいあの2時間は充実した時間だった
_____________
★付箋文★

ハヤテのシュミレーションルームを出て
3将軍をエスコートする真耶は、ある意味
重要な役所となる

ハヤテのビップルームに向かいながら
3将軍の質問に真耶が仲立ちし答える事で
実にスムーズな流れでハヤテクルーとの
会話も成立した

「130Mの駆逐艦の中味が此ほど広大だとは
スッカリ騙された、最初に見せられた
ハヤテの艦橋のスペースが大き過ぎるから
欺瞞映像に加工して有るかと疑い・・果ては
もう1隻の方の駆逐艦が本物かと騙されそうに
なったよ」

そうウルフシューターが話すと
「騙されそうにですか?」と真耶が疑問符で言う
そこに春吉が話に加わりアレも実は大城隊長の案で
退役艦を私が魔改造して外装を{ハヤテ}ソックリに
偽装したんですが、と告白する

「騙され掛けたと言う事は少しは本物らしく
見せられましたか」と聞くと
ウルフシューターは、「そうですね・・
良く見比べると本物には謎の溝があり
それが恐らく、可動する装甲の溝だと解るまでは」

春吉は悔しそうに「ああーあの溝か~」と悔しがる
「アレは駆逐艦サイズをハヤテに収納する為に
改造したから、偽物には確かに入れてない」

「だけどかなり見えにくく加工をしてたのに
アレを見破るとは流石ですね」

どうやらこの二人は1分1秒たりとも
時間を無駄にしたくない様子だ
真耶は二人からそっと身を引いた

YIPルームは王族でも対応できる
豪華仕様な部屋で
3将軍をもてなすのに最適と思える
席に掛け落ち着いた頃合いに
まず勝艦長は3将軍に大事なことを聞いた

「此度の決闘ですが、余りに我々にとって
有利な条件でした」

「此はやはり・・・巨人要塞戦艦と戦う
我々えの応援(エール)の意味が?」

この質問にウルフシューターは
「どう捉えるかはそちらの自由です・・
私は全身全霊で戦いました其れだけは
間違い有りません」

勝艦長は狼将軍から僅かに威圧は感じたが
「失礼しましたウルフシューター将軍
只・・巨人要塞戦艦の実力を我々は
見誤っていましたので、この経験は大きな
財産と成ります」

其れを聞いたウルフシューターは不敵に笑いながら
「其れは不味い・・敵に塩を送るとは私とした事が
とんだ失態だ」と言いながら両眉を上げる
勝艦長は心から感謝し黙って頭を下げた

其処でウルフシューターは真剣な顔で勝艦長に
折り入って相談があると持ちかけた
「どのようなことでしょう?」

ウルフシューターの言うには
デストロイ・カタストロフαとβは魔導エンジンが
もう限界で、臨海爆発の危険性が有ると良い
最期の止めを宇宙戦艦としてハヤテに終わらせて
貰いたい言われる、勝艦長は「アレほどの名艦を・・本気ですか?」

恐らく今現在ガルスグレーサーに存在する
どの宇宙戦艦と比べても最高峰なのは間違いない
それを跡形も残らず形跡を消して欲しいと言うのが
ウルフシューターの容貌だった

「それは証拠隠滅の必要があると・・?・」

ウルフシューターとワイルダーそれに
グリフォンが沈黙で応え勝艦長も
「それでは仕方有りませんな・お力を貸しましょう」
そう応えてため息を漏らす
「アレ程の艦ならば宇宙史に名を残したでしょうに
実に惜しい」

宇宙戦艦乗りにとって艦は家であり誇り
それがハヤテという強敵と2時間とはいえ
死闘を演じ、このままハヤテの礎として
その一生を終えようとしている

ワイルダーが少し申し訳なさそうに
「本来なら俺の船も2時間の寿命を使い切り
ハヤテに葬送される運命だったのだが・・
結果として生き残ったからには全力で存在を
隠しきりイザという時は1戦力となる」

「当然その時は頼りにさせて貰うワイルダー」

「当てにしている」狼将軍と大鷲将軍は
ワイルダーと堅い握手を交わす

「それでは2隻の英雄艦を葬送する
準備に入りましょう」

「宜しくお願いします」
勝艦長とウルフシューター、そして
グリフォンは艦長として重責を持つもの同士の
艦を沈める悲哀を噛みしめ堅い握手で応える

其れから20分後

デストロイ・カタストロフγにαとβから退艦した
全乗員を乗せ終え、爆発に巻き込まれない距離に
γが離れた

その僅かな時間とは言え銀河最強のハヤテと
激闘を演じた自分達の艦が歴史から抹消される
その運命に涙ぐむガルスグレーサー将兵が
少なくなく、その栄誉を称え全員が敬礼で送る

英雄戦艦を葬送するのに選ばれたのは
ハヤテの決戦兵器の一つ超重力圧懐砲だった。

ハヤテの第一艦橋司令室の乗員達も(好敵手であり
偉大な)デストロイ・カタストロフαとβに
敬意を示し全員が起立し最期を見送る準備をする

誠矢の横に立つ響竜一がしみじみと
「本当に物凄い強敵だったな誠矢」

「ああ、敵ながら尊敬できる相手だった」

戦艦を称えるのは誠矢も初めてだ
だが其れほど迄に強力な宇宙戦艦を
ハヤテが巨人要塞戦艦と戦う礎に使われた事は
決して忘れる事も無駄にする事も出来ない

タイマー式の自動発射で
ハヤテから放たれた強力無比な超重力の塊光は
2隻の盟友の最期を迎えるのに相応しい一撃であった
誠矢達ハヤテの戦士達もその最期の勇姿を
敬礼で送る、さらば強敵達と。

この半日の戦闘は歴史の闇に消え
デストロイ・カタストロフαβと言う名の宇宙戦艦は
2度と語られることのない幻の名艦となった。

_______________________
★付箋文★

デストロイ・カタストロフαβの葬送を完了し
ハヤテは3将軍と再会を約束して別れ
一路地球に向かった

帰還先はクリスタルアーマーステーション
ではなくハヤテの修理が出来る犬吠岬の
偽装ドックである

ハヤテが基地に戻った事を{偽装}するために
クリスタルアーマーステーションには
偽装艦のハヤテF(フェイク)を向かわせた

誠矢は勝艦長に許可を得て
偽装駆逐艦に小原を始め副班長クラスを乗せ
クリスタルアーマーステーションに帰投させる

ハヤテの第一艦橋司令室で
「これでハヤテの修理時間が
有る程度取れますね」
誠矢は春吉にそう言って振り向くと
「所で御相談なんですが」と言って切り出す

そしてトンでもない要求に春吉が
「それは修理じゃなく大改装じゃないか!?」と
悲鳴を上げた

「ですが春吉さんの事だから、もうそのつもり
だったんでしょ?」誠矢は片目を瞑りニヤリと笑う

「まあ確かに、このままウルフシューター先生に
負けた侭じゃ悔しいからね少しは考えていたが
君の言うことは余りに無茶振りだぞ!」
大体本当にジェトトルネードをハヤテに
纏わせて戦いたいって物理的に無理な注文だ

二人の会話を近くで聞いていた勝艦長が
「大城、御前そんな事を春吉(科学班長)に
強請ったのか?」と言いながら近づいて来た

「気持ちは分からんでもないが幾ら何でも
それは無茶が過ぎるだろう」と言いながら
春吉を見て「どんな天才にも出来る事と
出来ない事があるんだぞ」と煽る様に言う

「そんな挑発されても無駄ですよ、まあ
代案なら無い事もないですが・・」

「やっぱりあるのか」誠矢と勝艦長は
この天才の扱いは解っている。

魔導力を纏うという代案で良ければ話が出来ますが
誠矢と勝艦長は身を乗り出し春吉の話に聞き入った

こうしてハヤテの急場の大改装が3週間掛けて
秘密裏に行われ、その間偽装駆逐艦のハヤテFが
大いに活躍したのだが、其れはまた別の話と成る。

______________________
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