楠葵先輩は頼られたい

黒姫百合

文字の大きさ
53 / 78

第五十三話

しおりを挟む
 遊園地の出口に到着するとすでに実乃里と瞳が待っていた。

「お待たせ~」
「おぉ」

 葵が手を振りながら瞳たちに近寄ると、瞳も手を振り返す。

「瞳~、ずいぶん実乃里ちゃんとラブラブだったじゃな~い」
「おまっ、もしかして二人で盗み見してたのかよ」
「ううん、観覧車に乗ってたらたまたま見つけただけ。それにしてもイチャイチャしてたわね」
「そういうことか。別に良いだろ、カップルなんだから。それにもしそんなところを目撃してもあたしに言うな。恥ずかしいだろ」

 実乃里とイチャイチャしていたことを葵にからかわれた瞳も恥ずかしそうに声を荒げる。

「お前も彼氏ができて人目を憚らずイチャイチャしてたらからかってやるから覚えておけよ」
「はいはい」

 恨めしそうに見つめる瞳を葵は適当に受け流す。

「倉木さんって本当に西条先輩のことが好きだんね」
「えっ、当たり前だよ。だって私の彼女だから。だから瞳ちゃんともっとイチャイチャしたいし」
「……可愛い~……」

 照れながら惚気る実乃里を見て、その可愛さに思わず優は見とれてしまう。
 照れている実乃里を見ていると、本気で瞳のことが好きなんだと伝わってくる。

「瞳はもっと実乃里ちゃんとイチャイチャしたくないの~」
「お前には関係ないだろ」
「もう~素直じゃないんだから~」
「あぁ~、マジで覚えておけよ葵」

 素直じゃない瞳をからかう葵に、瞳はまた声を荒げる。

「倉木さん、あの二人止めなくて大丈夫?」
「うん。いつものことだから大丈夫。もし本気だったら今頃絶交してると思うし」

 言い争いをしている二人を見て優は心配になるが、実乃里が言うには日常茶飯事の光景らしい。
 軽口を叩けるほど葵と瞳はお互いを信頼しているのだろう。

「それよりも中村さんの方はどうだったの。なんかあった」
「えっ、なにもないよ」
「本当に? 告白とかされなかった」
「告白っ」

 実乃里の突拍子もない質問に優は思わず大声を上げる。

「告白?」
「なんの話をしてるんだ実乃里」
「ううん。こっちの話、瞳ちゃんたちは気にしないで」

 いきなり大声を上げた優に葵と瞳は注目を向ける。
 葵と瞳に話を聞かれたくなかった実乃里は適当に誤魔化す。

「……告白ってどういうこと?」

 質問の意図が分からない優は実乃里に耳打ちをする。

「だって中村さんと楠先輩、良い雰囲気じゃん。両想いじゃないの?」
「両想いっ」

 また突拍子もない言葉に優は大声を上げる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...