時の廻廊の守り人

鏡華

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第一章 時の守り人篇

第5話 迷える子羊(ストレイシープ)

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悲鳴のした方向へ全力で走る。

「間に合ってくれ…!!」

「バウバウ!!!(先に行ってるぞ!!)」

「あぁ、頼む。サブロー。」

ドロン!!と音を立てて金色の煙がサブローを包み込む。

そして煙の中から巨大な金色の狼がものすごいスピードで飛び出した。

「バウゥ!!!(っしゃぁ!!待ってろよイズナ!!)」

「私も直ぐに追いつく!イズナは任せたぞ!!」

段々と地響きの音が近くなってきた。
イズナもこちらに向かって走ってきているようだ。大丈夫、必ず間に合う。

「……また来てしまったか…。迷える子羊ストレイシープ…。」

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

「パパっ…!!助けて!!」

ようにパパの所に遊びに来た。でもパパもサブローも何処にもいなかった。
パパとサブローのお仕事は知っている。どこか離れたところでお仕事しているんだろう、そう思って椅子に座って暇を持て余していた。
パパから貰った飴を舐めていたその時、真っ黒い姿の大きなお化けが入ってきた。
前に見たものよりもそのお化けは、私に気付いて襲いかかってきた。
とにかく走って逃げる。パパに言われた通り、大声で叫びながら走る。

「助けてーーーー!!パパ、サブロー!!!……きゃっ!!」

何にもない所なのに足を引っ掛けて転んでしまった。すぐそこまでお化けは来ている。怖さのあまり目を瞑る。

「も、もうダメっ…!!」

お化けの手が伸びて来たその時…

「バウバウ!!!(大丈夫かい、イズナ!!!)」

「さ、サブロー!!」

ザザザッとまわりの塵を巻き上げながら金色の大きな狼、サブローが間一髪で間に入る。
化け物は手を伸ばしサブローに掴みかかった、サブローも化け物の体を掴み抑え込む。

「バウバウ…バウッ(くっ…こいつぁなかなか力自慢な奴だなっ…)」

サブローが押されている。
何かしてあげたい所だけど、私には応援することしかできない。

「サブローがんばれー!!」

声援に応えるようにサブローが押し始めて、お化けを突き飛ばした。

「バウゥ!!(よっしゃ、どんなもんだい!!)」

「イズナ!サブロー!!」

サブローがお化けを突き飛ばしたと同時にが走ってきた。

「バウバウ!(ジョーカー!ナイスタイミングだ!!)」

「あぁ、あとは任せてくれ。サブローはイズナを頼む。」

「あ!パパー!」

黒い洋服に黒い帽子、真っ白な肌に大きな目、すらっとしたノッポさん。パパがサブローとお化けの間に入る。

「やぁ、イズナ。元気そうだね、危ないからサブローの後ろに隠れてるんだよ。」

「うん!!」

私はパパに言われた通りにサブローの後ろに隠れた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「さてと…。」

サブローにイズナを任せ、迷える子羊ストレイシープに向き直る。
黒いモヤのような巨体、見た目は完全に化け物だ。でも、私には分かる。このは女の子だ。とても繊細で心優しい、そんな女の子だ。

「ようこそ、ここは時の廻廊。"迷える者の休息の場所"だ。私の名前はジョーカー、ここの守り人さ。」

笑顔で優しく、大きなに話しかける。
すると彼女はゆっくりと動き、私にその大きな手を勢いよく
ズゥゥゥゥーーーーンという大きな音と共に砂煙が巻上がる。

「パパっ!!」

「バウバウ(心配すんな、あいつなら無事だ)。」

巻き上がった砂煙が晴れると、化け物の手をジョーカーが両手で優しく握っていた。

「握手!よろしくっ。君の名前を聞かせてくれるかな?」

「ヴォォォォォォオオォォオ!!」

化け物が雄叫びをあげてそのままジョーカーを薙ぎ払う。
それを颯爽と避けて化け物の肩と思われる部位に乗る。

「すまない、ちょっと失礼するよ。」

そう言って化け物の顔に触れ、目を閉じる。すると化け物のが頭に流れ込んできた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

今でも鮮明に覚えている。忘れられるはずのないの記憶。

「ねえ、神様。どうして私は生まれてきたの?」

それが私の最期の言葉だった。
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