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9.旅猫の贅沢(3)
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柳之宮は想像以上に広かった。厠は数カ所に点在しているし、大浴場は1度に10人が入っても広々と使えるような広さ。宴会場だと案内された部屋はいったい何人を招くつもりで作られたのかと思ったほどに広かった。大半の部屋は何十人もいる使用人たちに割り振られているようだが、それでも使われていない部屋が少なくとも10部屋はあるようだ。
弥生はそんな大屋敷の中、撫子の婚約者候補という事があってか、彼女の部屋に近い部屋を割り当てられた。
日が暮れ、部屋に運ばれた食事を取った後の弥生は、湯船に浸かり1日の疲れを癒していた。
「はあぁぁぁ。いい湯だ」
撫子の言った通り、弥生には浴室の部屋が割り当てられた。しかも湯船は足を延ばせるほど広々としている。
弥生は思うままに手足を伸ばし贅沢を堪能していた。
「どう見ても隷属した妖怪に与えるような部屋じゃないよなぁ。まあ、くれるというならありがたく使わせてもらうけどさ」
全身が温もると弥生は立ち上がり、湯船の栓を抜いて中を空にして浴室を後にする。どうやら女中が毎日掃除に入ってくれるらしい。使いっぱなしにするのは申し訳ない気もするけれど、そのままにしておいてと言われているので、手を出さない方がいいのだろう。
「至れり尽くせりすぎて、ちょっと不安になるかな」
脱衣場に出ると弥生は用意されていた寝間着を身につける。のぼせ気味なのか妙に火照って仕方ないため、着物の上を腰ひもで折り返して上半身裸になり、そのまま褥の上に横になった。これまでに使った事のないようなふかふかさで心地の良い寝具だ。1日が怒涛だったせいもあってか、心地よさが眠りを誘ってくる。
「はあ……今日一日でいろんなことがあり過ぎだろう」
見るのも珍しい嫁入り行列に遭遇し、花嫁に助けを乞われ言われるがままに連れ出し、その花婿であり狐の頂点でもある男と戦い、敗れ、隷属するという形で側近となった。しかも秘密をすべて丸裸にされたうえで、婚約者まであてがわれそうになっている。
いっそ目が覚めたら夢だった、なんてことはないだろうかと思わずにはいられない。
「おい」
襖の向こうから低い声が聞こえてきた。
「大和様かい?」
突然の主人の訪問に驚き、弥生は体を起こした。こんな遅くにいったい何の用があるというのだろう。
「今いいか?」
「かまわないけど」
「明日の事なのだが、昭人に……」
大和が襖を開けた。そして褥の上に鎮座していた弥生の姿を見た途端、目を丸くしそのまま閉めてしまった。
「え?」
「そんな姿で妖怪を招き入れるな! 馬鹿か!」
「そんな姿? あー……」
上半身裸だったことをすっかり忘れていた。しかし同じ男の姿だ。焦ったように閉める必要などないのにと思いながらも弥生は手早く寝間着を着直した。
「着たよ」
「まったく」
大和が呆れながら再び襖をあけた。弥生の姿を確認すると眉間に皺を寄せ、不機嫌そうに近づいて来る。
「えっ? え? 何?」
目の前で腰を下ろした大和が戸惑う弥生をよそに、これまでそんな事などしたこともないだろうに、弥生の大きくはだけていた襟を正し始めた。
「お前は女だろう。だからわざわざ風呂付の部屋を与えたというのに」
「今は男だ。これくらい気にすることないよ」
「だが中身は女のままだろうが。今後万一女の姿で過ごすようになった時、今の癖が抜けずに苦労するのはお前だぞ」
「そ、それは……」
既に元の姿に戻っても夫を真似た言動が自然と出てきてしまっているので返す言葉もなかった。
大和は弥生の襟を正すと少し離れて確認し、「上出来だな」と1人頷いた。これ以上の説教はごめんだ。
「そっそんなことよりさ、僕に何の用があるんだろう?」
「そうだったな。明日の事だ。昭人にお前の事を説明するから、明日の朝俺の部屋へ来い」
「昭人って、この屋敷に来て最初に会った、眼鏡をかけた妖怪だよね」
「そうだ。あいつには策を練る時、知恵を貸してもらっている。それに俺が不在の際、代理を務めるよう指示も出している」
「へぇ。頭良いんだね、彼」
「ああ。だから、あいつにもお前の正体を明かしておきたい」
弥生の眉間がピクリと動く。
大和は弥生が2つの性を持つことを隠しておきたいと思っている事を知っている。それなのにこれ以上秘密を共有する者を増やさせようとするなんてと、弥生は苛立ちを覚えた。
大和も弥生がどう感じるかは予想できていたのだろう。
「お前にはこれから俺が受けた任の手伝いもしてもらうつもりだ。故に策を練る時、お前の正体を知っているかどうかで、策の幅が広がってくる。隠密としても役割も策に練りこめる。もちろん、お前の正体がこれ以上広める事のないよう言い含める。了承してくれ。頼む」
「そういう事なら、まあ……わかった」
頭を下げられるまではなかったけれど、思わぬ大和の低姿勢に、弥生は思わず了承してしまった。
「明日あいつの前で女の姿をさらしてもらう事になる。そのための妖力を必ず回復させておけ」
「わかった」
「なら良い。以上だ」
「うん」
「……」
用は済んだはずなのに立ち上がろうとする様子はなく、何故か弥生の事をじっと見ている。
「どうかしたのかい?」
「……わかったのなら寝ろ」
「えっ? わっ!」
大和は弥生を褥に押し倒した。覆いかぶさるような体勢で弥生の事をじっと見下ろしている。近距離で男に見下ろされる状況に居心地の悪さを感じ抜け出そうとするけれど、手首を強く押さえつけられて逃げ出すことができない。
身じろぎしていると、突然胸部をまさぐられた。
「な、なんだい?」
「ふむ……やはり気のせいだな」
「は?」
そう勝手に納得すると拘束は解かれた。大和は腰を上げると、思いきり弥生に布団を被せた。
「うわっぷ! 本当になんなんだい、君は⁉」
「……おやすみ」
「はっ? え? あ、ああ。おやすみ?」
大和は何も弁明することなく、灯りを消してそのまま立ち去ってしまった。暗い部屋の中、弥生は訳も分からず部屋に1人取り残された。
「なっなんだったんだ? あれ」
何かを確かめようとしていたように感じたけれどよくわからない。
もしかすると本当に2つの性を持つのか確かめようとしたのか。けれど今の弥生の体は完全に男に変わっているという事は、術を使用する前後の全く違う体格を見ているのだからわかりきっているはず。故に、女であるかどうかの確認のために胸部を触られたわけではない。
考えているとふと撫子の言葉を思い出した。
『大和兄様が……弥彦様の事を気に入ってるのではと思いまして……その……恋をしている、という意味で』
撫子の言った通り、実は大和は弥生に恋をしていて、先ほどの奇行はそれを確かめようとした結果なのか。
(……まさか、ね)
そんなことなどあるはずないと自身に言い聞かせ、弥生は答えから逃げるように布団に潜り込み、眠りについた。
弥生はそんな大屋敷の中、撫子の婚約者候補という事があってか、彼女の部屋に近い部屋を割り当てられた。
日が暮れ、部屋に運ばれた食事を取った後の弥生は、湯船に浸かり1日の疲れを癒していた。
「はあぁぁぁ。いい湯だ」
撫子の言った通り、弥生には浴室の部屋が割り当てられた。しかも湯船は足を延ばせるほど広々としている。
弥生は思うままに手足を伸ばし贅沢を堪能していた。
「どう見ても隷属した妖怪に与えるような部屋じゃないよなぁ。まあ、くれるというならありがたく使わせてもらうけどさ」
全身が温もると弥生は立ち上がり、湯船の栓を抜いて中を空にして浴室を後にする。どうやら女中が毎日掃除に入ってくれるらしい。使いっぱなしにするのは申し訳ない気もするけれど、そのままにしておいてと言われているので、手を出さない方がいいのだろう。
「至れり尽くせりすぎて、ちょっと不安になるかな」
脱衣場に出ると弥生は用意されていた寝間着を身につける。のぼせ気味なのか妙に火照って仕方ないため、着物の上を腰ひもで折り返して上半身裸になり、そのまま褥の上に横になった。これまでに使った事のないようなふかふかさで心地の良い寝具だ。1日が怒涛だったせいもあってか、心地よさが眠りを誘ってくる。
「はあ……今日一日でいろんなことがあり過ぎだろう」
見るのも珍しい嫁入り行列に遭遇し、花嫁に助けを乞われ言われるがままに連れ出し、その花婿であり狐の頂点でもある男と戦い、敗れ、隷属するという形で側近となった。しかも秘密をすべて丸裸にされたうえで、婚約者まであてがわれそうになっている。
いっそ目が覚めたら夢だった、なんてことはないだろうかと思わずにはいられない。
「おい」
襖の向こうから低い声が聞こえてきた。
「大和様かい?」
突然の主人の訪問に驚き、弥生は体を起こした。こんな遅くにいったい何の用があるというのだろう。
「今いいか?」
「かまわないけど」
「明日の事なのだが、昭人に……」
大和が襖を開けた。そして褥の上に鎮座していた弥生の姿を見た途端、目を丸くしそのまま閉めてしまった。
「え?」
「そんな姿で妖怪を招き入れるな! 馬鹿か!」
「そんな姿? あー……」
上半身裸だったことをすっかり忘れていた。しかし同じ男の姿だ。焦ったように閉める必要などないのにと思いながらも弥生は手早く寝間着を着直した。
「着たよ」
「まったく」
大和が呆れながら再び襖をあけた。弥生の姿を確認すると眉間に皺を寄せ、不機嫌そうに近づいて来る。
「えっ? え? 何?」
目の前で腰を下ろした大和が戸惑う弥生をよそに、これまでそんな事などしたこともないだろうに、弥生の大きくはだけていた襟を正し始めた。
「お前は女だろう。だからわざわざ風呂付の部屋を与えたというのに」
「今は男だ。これくらい気にすることないよ」
「だが中身は女のままだろうが。今後万一女の姿で過ごすようになった時、今の癖が抜けずに苦労するのはお前だぞ」
「そ、それは……」
既に元の姿に戻っても夫を真似た言動が自然と出てきてしまっているので返す言葉もなかった。
大和は弥生の襟を正すと少し離れて確認し、「上出来だな」と1人頷いた。これ以上の説教はごめんだ。
「そっそんなことよりさ、僕に何の用があるんだろう?」
「そうだったな。明日の事だ。昭人にお前の事を説明するから、明日の朝俺の部屋へ来い」
「昭人って、この屋敷に来て最初に会った、眼鏡をかけた妖怪だよね」
「そうだ。あいつには策を練る時、知恵を貸してもらっている。それに俺が不在の際、代理を務めるよう指示も出している」
「へぇ。頭良いんだね、彼」
「ああ。だから、あいつにもお前の正体を明かしておきたい」
弥生の眉間がピクリと動く。
大和は弥生が2つの性を持つことを隠しておきたいと思っている事を知っている。それなのにこれ以上秘密を共有する者を増やさせようとするなんてと、弥生は苛立ちを覚えた。
大和も弥生がどう感じるかは予想できていたのだろう。
「お前にはこれから俺が受けた任の手伝いもしてもらうつもりだ。故に策を練る時、お前の正体を知っているかどうかで、策の幅が広がってくる。隠密としても役割も策に練りこめる。もちろん、お前の正体がこれ以上広める事のないよう言い含める。了承してくれ。頼む」
「そういう事なら、まあ……わかった」
頭を下げられるまではなかったけれど、思わぬ大和の低姿勢に、弥生は思わず了承してしまった。
「明日あいつの前で女の姿をさらしてもらう事になる。そのための妖力を必ず回復させておけ」
「わかった」
「なら良い。以上だ」
「うん」
「……」
用は済んだはずなのに立ち上がろうとする様子はなく、何故か弥生の事をじっと見ている。
「どうかしたのかい?」
「……わかったのなら寝ろ」
「えっ? わっ!」
大和は弥生を褥に押し倒した。覆いかぶさるような体勢で弥生の事をじっと見下ろしている。近距離で男に見下ろされる状況に居心地の悪さを感じ抜け出そうとするけれど、手首を強く押さえつけられて逃げ出すことができない。
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「……おやすみ」
「はっ? え? あ、ああ。おやすみ?」
大和は何も弁明することなく、灯りを消してそのまま立ち去ってしまった。暗い部屋の中、弥生は訳も分からず部屋に1人取り残された。
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もしかすると本当に2つの性を持つのか確かめようとしたのか。けれど今の弥生の体は完全に男に変わっているという事は、術を使用する前後の全く違う体格を見ているのだからわかりきっているはず。故に、女であるかどうかの確認のために胸部を触られたわけではない。
考えているとふと撫子の言葉を思い出した。
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https://www.alphapolis.co.jp/novel/411579529/408954279
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