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44 アンニュイ
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ずっと鎖の重みに苦しんできた。
時の経過も、日付の感覚も失われる暗い部屋の中で、一人きりで過ごす時間は、本当に長かった。
看守さんは私に、自分の意志では食事すら摂ることを禁止した。
飲み物は水だけは許されたけれど、それ以外のものは、彼の口からしか受け取ってはいけなかった。
すごく屈辱的だったし、物理的にも苦しくて、食事の時間は苦痛だった。
しかし、拒否することは許されなかった。
彼はいつも私より遅く眠り、私より早く目覚めた。
お前に寝込みを襲われないためだ、と彼は楽しげに嘲笑って言った。
健康を保つため、最低限の運動と、短すぎる外出のせいで、私の精神は容赦なく蝕まれた。
彼は悪戯に私を虐めた。
本当に酷い人。
私を愛しているといいながら、私に愛されることは一切望んでいない。
冷酷無比で、意味不明で、理解不能。
私は長い間、彼のことをそう思い続けていた。
「ゼノさん、どうしたの? お腹空いてないの?」
427番君の問いかけで、私はハッと我に返った。
彼は不思議そうに私を見ている。
「え、えぇ少し……食欲がなくて。私の分も食べますか?」
「大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですよ。小食なんです」
427番くんと出会ってから、私の生活は一変した。
看守さんは私に彼の世話役になるように命じて、その命令に従う限り、私に自由を許した。
彼は出勤後、私を迎えに来て、その後一緒に427番くんに会いに行き、彼の退勤の前に送られ、彼が退勤する、という生活を続けた。
稀に都合が変わって、迎えに来てもらえないときもあった。
朝、彼が出て行ったあと、彼が戻って来てくれるのを、私は待っていた。
嫌で仕方なかった看守さんの訪問が、やがて私の心を支えるようになった。
彼は、私を閉じ込める悪魔でありながら、私を孤独から救う天使でもあった。
「ゼノさん、看守さまのことが心配なんだね」
「えっ」
「そうなんでしょ?」
幼いのに、その目はやけに鋭い。
427番は、年端もいかない幼い子で、とても賢くて可愛らしい子。
最初こそ、そうだと思っていた。
「そうだよね。ゼノさんは看守さまのこと、大好きだもんね」
確かに彼は子供らしくて、可愛らしく、純朴で素直。
けれどその真っ赤な口の中は、まるで奈落のように暗く、濁り、それはまるで泥のように、彼の心の奥底を覆い隠している。
「ねぇ、ゼノさん。看守さまのこと、大好きでしょ?」
看守さんのことを好きか、と言われたら、以前の私なら迷いなく、嫌いだと答えていただろう。
ほとんどの看守がそうであるように、いや、他の看守以上に、彼は自分の本心を見せない。
笑うことはあるけれど、何しろ、彼は声を荒げることをしない。
呆れるとか、諭すとかいうことはあっても、大声で怒鳴ることをしない。
負の感情を一切見せない。
私が舌を噛もうが、股を蹴り上げようが、至極楽しそうに「悪い子だな」とか言うくらいだ。
怒りのままに怒鳴りつけたり、汚い言葉を浴びせたり、そういうことを好まない。
彼は拷問する。
けれど、静かに、冷静に、粛々と、楽しそうに、執り行う。
そうか、苦しいか。
あぁ、苦しいだろうな。
なんだ、謝らなくていい。
お前には、俺が怒ってるように見えるのか?
感情的な人よりも、そういう人物の方が人を支配するのには向いているのかもしれない。
彼はとても気まぐれで、私に罰を与えるときもあれば笑って見逃すときもある。
でも、彼がどんな反応を示すのかは、少なくとも私には全く予想できない。
機嫌がいいからとか、機嫌が悪いからとか、そういう理由が全く分からない。
分からないから不安になる。
何か私に原因があるんじゃないかと。
でも、考えてみても分からない。
逆らってみてもいいかどうか分からない。
機嫌がいいときが分からない。
分からないのは不安だ。
不安は服従だ。
分かっているけれど、どうしようもない。
私はるつぼに落ちていく。
実際彼には私を殺す権限と、その力があり、実際にそうする可能性も大いにある。
今まで一度もなかったけど、でもその可能性はずっと否定できない。
彼は私のことを侮っていて、心から軽蔑していて、奴隷のように思っているし、道具のように扱っていて。
私の心も体も彼にとっては玩具に過ぎず、悪戯に愛を囁いてみたり脅してみたりして、私を怖がらせたり驚かせたりぬか喜びさせたりすることを娯楽にしている。
私はずっとそう固く信じていた。
「そうですね」
私は素直に肯定し、肩を竦めた。
大好き、かどうかはさておき、近頃の私は、看守さんを嫌っているわけではない。
彼が確かに本心を見せないことには変わりないけれど、最低限、どうやら私を今すぐに殺してやろうとか、そういう気持ちは、ないような気がする。
彼は本心を隠しているのではなくて、ただ単に、負の感情を表現しないだけなのだ。
そして恐らくその本心は、致命的に理解し難いほど狂っているというわけでもない。
彼が他の看守と話しているところとか、427番くんとじゃれ合っているところとかを見る限り、看守さんは人並みに、いや人以上に、優しい人だ。
同僚さんにも慕われている。
いや、違うんだった。そういえば、彼が看守長だということを、私はこの前知ったのだった。
彼は囚人の顔と囚人番号とそのスケジュールを完璧に覚えているみたいで、427番くんに言われるがままにあちこち動き回っているのにも関わらず、ほとんど他の囚人と顔を合わせる機会がない。
そして時折駆け寄ってくる他の看守と話をして、彼らを励ましたりしているのを小耳に挟む。
彼はとても仕事熱心な人なのだろう。
私は仕事ができなかったので、余計に彼はすごいと思う。
「看守様、遅いね」
「近頃は、お仕事がお忙しいのかもしれませんよ」
「僕にも構ってくれないよね」
「それは……そうですね。構って欲しいんですか?」
「うん。でも帰って来ても、構ってもらえないけどね」
「そんなことは……どうしてそう思うんですか?」
「だって、看守さまはゼノさんのだからだよ」
「えっ、あ、え、えぇその……そう……そんなつもりは……ないんですが」
「ゼノさんにそのつもりがなくても、看守さまは僕のこと、あんまり好きじゃないと思うよ。看守さま、ゼノさんとドクターのことは好きだけど、僕のことは会ったときから嫌いだったみたいだし」
427番くんは、看守さんがいるときといないときでは、態度が違う。
私に対してだけ冷たいわけではなく、ドクターがいるときもそれは同じだ。
「嫌いというわけではないと思いますよ、楽しそうに話をしているじゃありませんか」
「でも愛してくれるわけじゃないよ」
「愛してくれていますよ、彼は優しい人ですし」
「……そうだね。看守さまって、天使みたいな人だよね」
「て、天使ですか? 天使は言い過ぎだと思いますが……」
427番くんだって人を選ぶ権利はあるだろうし、単に看守さんに懐いているのだと思う。
427番くんにとっても、看守さんは特別な存在なのだと思う。
「ゼノさん、看守さまに聞いてみてよ」
「何をですか?」
「大丈夫? って」
「……それは、」
聞くまでもなく、彼は大丈夫じゃなさそうだった。
彼が「官吏」と呼んでいた人、ドクターが姿を消してから、もう一月は経っただろうか。
彼は月日が経つにつれて衰弱していき、無言でいることが増え、帰宅することが減り、帰宅したとしても、仕事ばかりしている。
私が食事を作っても、食べてくれないことが多くなった。
彼は決して「疲れた」とは口にしない。
その日何があったのか、私にも427くんにも一切言わない。
守秘義務とか職務上の理由とか、色々あるんだろうけれど、それは、本当に不自然なくらいに言わない。
元々の彼の性格もあるような気がする。
負の感情を見せない。
つまりそう、弱みを見せない。
それは心配させたくないとか、信頼してないとか、そういう次元を超えるくらいに。
「……それは、大丈夫、には見えませんが」
「じゃあ、助けてあげてよ」
「……そうしたいのは山々ですが」
私だって、できることなら力になりたい。
でも、看守さんは何も言わない。
私が聞いても、無視されるだけだ。
何があったのかすら、彼は教えてくれない。
「427番くんの方が、看守さんの事情には詳しいかもしれませんよ」
「なんで?」
「……彼も、君と話している方が楽しそうですし」
「そうだね」
427くんは、私のことがあまり好きではないのかもしれない、と思うことがたまにある。
看守さんの前では、私にも人懐っこく甘えるような素振りをするけれど、彼の目がないときにはそうではない。
看守さんは、私を指定したのはこの427くんだと言っていたけれど、本当にそうなのだろうか。
「でも、ゼノさんは看守様と結婚したんでしょ」
「……はい」
別に結婚したからといって、何が変わったわけでもないけれど。
彼の態度は変わらないし、むしろ冷たくなったかもしれない。
いや、冷たくなったというよりも、彼と過ごす時間が減っただけだ。
私に何時間もかけて食事を与えるようなこともしなくなったし。
食事は苦痛で仕方なかったけれど、全く構ってもらえないのは、少し寂しい。
「じゃあ、支え合うべきじゃないの?」
「……はい」
なんだか、こんなに小さい子に、叱られているような気分。
不思議と嫌な気持ちにならないのは、私が既に作り変えられてしまったからかのかもしれない。
「ゼノさん、ドクターとお話してたよね。看守さまのお話じゃなかったの?」
ドクター。看守さんが「官吏」と呼んでいた人。そして、彼の母親。
負の感情を見せないという点では、看守さんによく似ている。
「ドクターは……」
「ドクターも、ゼノさんに『頼む』って言ってたでしょ?」
私はそう囁く427番くんのその幼い横顔に、遠い憂愁の色を見る。
時の経過も、日付の感覚も失われる暗い部屋の中で、一人きりで過ごす時間は、本当に長かった。
看守さんは私に、自分の意志では食事すら摂ることを禁止した。
飲み物は水だけは許されたけれど、それ以外のものは、彼の口からしか受け取ってはいけなかった。
すごく屈辱的だったし、物理的にも苦しくて、食事の時間は苦痛だった。
しかし、拒否することは許されなかった。
彼はいつも私より遅く眠り、私より早く目覚めた。
お前に寝込みを襲われないためだ、と彼は楽しげに嘲笑って言った。
健康を保つため、最低限の運動と、短すぎる外出のせいで、私の精神は容赦なく蝕まれた。
彼は悪戯に私を虐めた。
本当に酷い人。
私を愛しているといいながら、私に愛されることは一切望んでいない。
冷酷無比で、意味不明で、理解不能。
私は長い間、彼のことをそう思い続けていた。
「ゼノさん、どうしたの? お腹空いてないの?」
427番君の問いかけで、私はハッと我に返った。
彼は不思議そうに私を見ている。
「え、えぇ少し……食欲がなくて。私の分も食べますか?」
「大丈夫?」
「ええ、大丈夫ですよ。小食なんです」
427番くんと出会ってから、私の生活は一変した。
看守さんは私に彼の世話役になるように命じて、その命令に従う限り、私に自由を許した。
彼は出勤後、私を迎えに来て、その後一緒に427番くんに会いに行き、彼の退勤の前に送られ、彼が退勤する、という生活を続けた。
稀に都合が変わって、迎えに来てもらえないときもあった。
朝、彼が出て行ったあと、彼が戻って来てくれるのを、私は待っていた。
嫌で仕方なかった看守さんの訪問が、やがて私の心を支えるようになった。
彼は、私を閉じ込める悪魔でありながら、私を孤独から救う天使でもあった。
「ゼノさん、看守さまのことが心配なんだね」
「えっ」
「そうなんでしょ?」
幼いのに、その目はやけに鋭い。
427番は、年端もいかない幼い子で、とても賢くて可愛らしい子。
最初こそ、そうだと思っていた。
「そうだよね。ゼノさんは看守さまのこと、大好きだもんね」
確かに彼は子供らしくて、可愛らしく、純朴で素直。
けれどその真っ赤な口の中は、まるで奈落のように暗く、濁り、それはまるで泥のように、彼の心の奥底を覆い隠している。
「ねぇ、ゼノさん。看守さまのこと、大好きでしょ?」
看守さんのことを好きか、と言われたら、以前の私なら迷いなく、嫌いだと答えていただろう。
ほとんどの看守がそうであるように、いや、他の看守以上に、彼は自分の本心を見せない。
笑うことはあるけれど、何しろ、彼は声を荒げることをしない。
呆れるとか、諭すとかいうことはあっても、大声で怒鳴ることをしない。
負の感情を一切見せない。
私が舌を噛もうが、股を蹴り上げようが、至極楽しそうに「悪い子だな」とか言うくらいだ。
怒りのままに怒鳴りつけたり、汚い言葉を浴びせたり、そういうことを好まない。
彼は拷問する。
けれど、静かに、冷静に、粛々と、楽しそうに、執り行う。
そうか、苦しいか。
あぁ、苦しいだろうな。
なんだ、謝らなくていい。
お前には、俺が怒ってるように見えるのか?
感情的な人よりも、そういう人物の方が人を支配するのには向いているのかもしれない。
彼はとても気まぐれで、私に罰を与えるときもあれば笑って見逃すときもある。
でも、彼がどんな反応を示すのかは、少なくとも私には全く予想できない。
機嫌がいいからとか、機嫌が悪いからとか、そういう理由が全く分からない。
分からないから不安になる。
何か私に原因があるんじゃないかと。
でも、考えてみても分からない。
逆らってみてもいいかどうか分からない。
機嫌がいいときが分からない。
分からないのは不安だ。
不安は服従だ。
分かっているけれど、どうしようもない。
私はるつぼに落ちていく。
実際彼には私を殺す権限と、その力があり、実際にそうする可能性も大いにある。
今まで一度もなかったけど、でもその可能性はずっと否定できない。
彼は私のことを侮っていて、心から軽蔑していて、奴隷のように思っているし、道具のように扱っていて。
私の心も体も彼にとっては玩具に過ぎず、悪戯に愛を囁いてみたり脅してみたりして、私を怖がらせたり驚かせたりぬか喜びさせたりすることを娯楽にしている。
私はずっとそう固く信じていた。
「そうですね」
私は素直に肯定し、肩を竦めた。
大好き、かどうかはさておき、近頃の私は、看守さんを嫌っているわけではない。
彼が確かに本心を見せないことには変わりないけれど、最低限、どうやら私を今すぐに殺してやろうとか、そういう気持ちは、ないような気がする。
彼は本心を隠しているのではなくて、ただ単に、負の感情を表現しないだけなのだ。
そして恐らくその本心は、致命的に理解し難いほど狂っているというわけでもない。
彼が他の看守と話しているところとか、427番くんとじゃれ合っているところとかを見る限り、看守さんは人並みに、いや人以上に、優しい人だ。
同僚さんにも慕われている。
いや、違うんだった。そういえば、彼が看守長だということを、私はこの前知ったのだった。
彼は囚人の顔と囚人番号とそのスケジュールを完璧に覚えているみたいで、427番くんに言われるがままにあちこち動き回っているのにも関わらず、ほとんど他の囚人と顔を合わせる機会がない。
そして時折駆け寄ってくる他の看守と話をして、彼らを励ましたりしているのを小耳に挟む。
彼はとても仕事熱心な人なのだろう。
私は仕事ができなかったので、余計に彼はすごいと思う。
「看守様、遅いね」
「近頃は、お仕事がお忙しいのかもしれませんよ」
「僕にも構ってくれないよね」
「それは……そうですね。構って欲しいんですか?」
「うん。でも帰って来ても、構ってもらえないけどね」
「そんなことは……どうしてそう思うんですか?」
「だって、看守さまはゼノさんのだからだよ」
「えっ、あ、え、えぇその……そう……そんなつもりは……ないんですが」
「ゼノさんにそのつもりがなくても、看守さまは僕のこと、あんまり好きじゃないと思うよ。看守さま、ゼノさんとドクターのことは好きだけど、僕のことは会ったときから嫌いだったみたいだし」
427番くんは、看守さんがいるときといないときでは、態度が違う。
私に対してだけ冷たいわけではなく、ドクターがいるときもそれは同じだ。
「嫌いというわけではないと思いますよ、楽しそうに話をしているじゃありませんか」
「でも愛してくれるわけじゃないよ」
「愛してくれていますよ、彼は優しい人ですし」
「……そうだね。看守さまって、天使みたいな人だよね」
「て、天使ですか? 天使は言い過ぎだと思いますが……」
427番くんだって人を選ぶ権利はあるだろうし、単に看守さんに懐いているのだと思う。
427番くんにとっても、看守さんは特別な存在なのだと思う。
「ゼノさん、看守さまに聞いてみてよ」
「何をですか?」
「大丈夫? って」
「……それは、」
聞くまでもなく、彼は大丈夫じゃなさそうだった。
彼が「官吏」と呼んでいた人、ドクターが姿を消してから、もう一月は経っただろうか。
彼は月日が経つにつれて衰弱していき、無言でいることが増え、帰宅することが減り、帰宅したとしても、仕事ばかりしている。
私が食事を作っても、食べてくれないことが多くなった。
彼は決して「疲れた」とは口にしない。
その日何があったのか、私にも427くんにも一切言わない。
守秘義務とか職務上の理由とか、色々あるんだろうけれど、それは、本当に不自然なくらいに言わない。
元々の彼の性格もあるような気がする。
負の感情を見せない。
つまりそう、弱みを見せない。
それは心配させたくないとか、信頼してないとか、そういう次元を超えるくらいに。
「……それは、大丈夫、には見えませんが」
「じゃあ、助けてあげてよ」
「……そうしたいのは山々ですが」
私だって、できることなら力になりたい。
でも、看守さんは何も言わない。
私が聞いても、無視されるだけだ。
何があったのかすら、彼は教えてくれない。
「427番くんの方が、看守さんの事情には詳しいかもしれませんよ」
「なんで?」
「……彼も、君と話している方が楽しそうですし」
「そうだね」
427くんは、私のことがあまり好きではないのかもしれない、と思うことがたまにある。
看守さんの前では、私にも人懐っこく甘えるような素振りをするけれど、彼の目がないときにはそうではない。
看守さんは、私を指定したのはこの427くんだと言っていたけれど、本当にそうなのだろうか。
「でも、ゼノさんは看守様と結婚したんでしょ」
「……はい」
別に結婚したからといって、何が変わったわけでもないけれど。
彼の態度は変わらないし、むしろ冷たくなったかもしれない。
いや、冷たくなったというよりも、彼と過ごす時間が減っただけだ。
私に何時間もかけて食事を与えるようなこともしなくなったし。
食事は苦痛で仕方なかったけれど、全く構ってもらえないのは、少し寂しい。
「じゃあ、支え合うべきじゃないの?」
「……はい」
なんだか、こんなに小さい子に、叱られているような気分。
不思議と嫌な気持ちにならないのは、私が既に作り変えられてしまったからかのかもしれない。
「ゼノさん、ドクターとお話してたよね。看守さまのお話じゃなかったの?」
ドクター。看守さんが「官吏」と呼んでいた人。そして、彼の母親。
負の感情を見せないという点では、看守さんによく似ている。
「ドクターは……」
「ドクターも、ゼノさんに『頼む』って言ってたでしょ?」
私はそう囁く427番くんのその幼い横顔に、遠い憂愁の色を見る。
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