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1 旅立ち
雨が降り続いた別れの日
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この季節には珍しく雨が降っている。
「はぁぁ、、、」
深いため息は、あの日から何度目であろうか。
少し丸まったその背中は、何か重たい荷物を背負ってしまったかのうように、
沈みこんでいる。
「私は、取り返しのつかないことをしてしまったよ」
自分を責めるその顔は、くしゃくしゃになっていた。
だれも責めることなんてない。
仕方のないことだった。
「あの子はね、むかしから優しい子でねぇ」
「きっと試験中も、私のことを心配してくれたんだよ」
「死にきれないってこういうことを言うんだねぇ、まったく」
「何か、最後にもう一度だけ。あの子の力になってあげたい」
「はぁぁ、、、なにか、なにか、、、」
祈るように手で口元をおおい、抜け殻となった自分の足元に座り込む。
和尚の叩く木魚の音が、静かに時を刻んでいた。
「雨、まだ降ってる?」
「はい、小雨にはなってきたみたいですけどね、、、」
「この後、火葬場に移動する時用に傘何本か、午後には晴れるって言ってたけどな」
「わかりました」
葬儀場のスタッフがヒソヒソと、この後のスケジュールを確認している。
僕は、ぼんやりと祖母の遺影を見ていた。
「ばあちゃん、、、」
高校生になった僕は、部活や友達付き合いに忙しくなり、
祖母と顔を合わせる機会も自然と減っていた。
両親からは何度かおばあちゃんが会いたがっている、
とは聞かされていたものの、なんとなく先送りにしてしまっていた。
「最後にあったのはいつだったかな、、、」
優しかった祖母の顔が浮かぶ。
そんな思いでも小さいころの記憶だ。
その日は、結局一日中雨が降り続けた。
「はぁぁ、、、」
深いため息は、あの日から何度目であろうか。
少し丸まったその背中は、何か重たい荷物を背負ってしまったかのうように、
沈みこんでいる。
「私は、取り返しのつかないことをしてしまったよ」
自分を責めるその顔は、くしゃくしゃになっていた。
だれも責めることなんてない。
仕方のないことだった。
「あの子はね、むかしから優しい子でねぇ」
「きっと試験中も、私のことを心配してくれたんだよ」
「死にきれないってこういうことを言うんだねぇ、まったく」
「何か、最後にもう一度だけ。あの子の力になってあげたい」
「はぁぁ、、、なにか、なにか、、、」
祈るように手で口元をおおい、抜け殻となった自分の足元に座り込む。
和尚の叩く木魚の音が、静かに時を刻んでいた。
「雨、まだ降ってる?」
「はい、小雨にはなってきたみたいですけどね、、、」
「この後、火葬場に移動する時用に傘何本か、午後には晴れるって言ってたけどな」
「わかりました」
葬儀場のスタッフがヒソヒソと、この後のスケジュールを確認している。
僕は、ぼんやりと祖母の遺影を見ていた。
「ばあちゃん、、、」
高校生になった僕は、部活や友達付き合いに忙しくなり、
祖母と顔を合わせる機会も自然と減っていた。
両親からは何度かおばあちゃんが会いたがっている、
とは聞かされていたものの、なんとなく先送りにしてしまっていた。
「最後にあったのはいつだったかな、、、」
優しかった祖母の顔が浮かぶ。
そんな思いでも小さいころの記憶だ。
その日は、結局一日中雨が降り続けた。
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