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一章:不良アリスとみなしご兎
不思議な国の兎さん 03
しおりを挟むぶっちゃけ、これ以上、奴の隣にいるのは辛かった。
座っていたベッドから立ち上がる。
「てか、んな俺が嫌いならもう帰るわ。これからは俺に関わらなきゃ良い。確かに、お前は特別だった。けど、お前がいなくたって俺は生きていける。どんなに傷付いたって、俺は立ち上がるから……じゃあな」
部屋を出る為に扉に近づこうとする俺の背中が引っ張られる。
奴の手が、俺の制服を掴んでいた。
背中に奴の額が当たる。
「ズルイよ、有住君は。こんなにも憎いのに、何で君は僕の中に残るの? どうして……愛しいんだろう?」
「ハッ、そんなの決まってる。強すぎる愛情が憎悪に変わるみたいに、強すぎる憎悪は愛情に変わんだよ」
可笑しいね、と奴は笑いながら俺の腰に腕を回す。
俺がそれを振り払おうとしたら、奴は弱々しい声を出した。
「帰っちゃうの?」
「お前が嫌いだっつぅからっ」
「……帰らせて、もらえるとでも思ってる?」
奴は変だ。
普通の人間じゃあない。
可愛くなったかと思えば急に黒くなる。
訳が解らない。
油断したのは俺だ。
腰に回された腕でグッと引き寄せられ、流石に体勢を崩しベッドに倒れ込んだ。
「っぶねぇな! 何すんだ、テメェ!?」
布団に受け止められた体を僅かに起こし奴を睨み付ける。
奴は堪えた様子もなく、可愛らしく笑んで俺の顔の横に手を着いた。
顔がヤケに近い。
「ね、有住君。キスしても良い? 君って、思ったより図太いから、少し虐めてアゲル」
「はぁ!? おまっ……何言って」
「黙ってよ、ムードが出ないでしょ?」
出てたまるか、と反論したかった。
口さえ塞がってなければ今すぐ反論するのだが。
奴の唇が冷たくて、俺は反抗出来なかった。
力は俺の方があるに決まっている。
抵抗すれば逃げれると思う。
なのに、俺は抵抗しなかった。
奴が調子に乗って唇を舐める。
湿った感触が皮膚を走った。
それでも、俺には奴を拒絶することが出来なかった。
奴が満足して唇が離れた頃には俺の息は上がっていた。
「何で、抵抗しないかなあ。もっと、進めちゃうよ? カケルのこと、抱いちゃうよ?」
奴の顔がイヤらしく歪んだ。
舌が耳に移る。
耳朶を口に含まれ、不覚にも体が波打った。
奴に下の名前を呼ばれただけで、抱かれても良いかも、と思い始めた俺は可笑しい。
頭がイカれたのかもしれない。
「何で俺が抱かれる方なんだよっ」
「あ、ツッコムとこそこなんだ? 僕とSEXするのは問題にならないのかな」
「知るかっ! 退きやがれ、俺は帰る」
「それなら、抵抗したら? 君なら簡単な筈だよ」
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