アリスと兎

Neu(ノイ)

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一章:不良アリスとみなしご兎

不良アリスとみなしご兎の幸せ 03

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「おい。俺が幸せにするって決めたんだ。まだガキだから、出来ることは限られてるけどよ。それでも、守りたいって思ったんだ。俺が守るんだ、怖いことなんかあるもんか」

翔の髪を乱暴に掻き乱す。
柔らかい髪が指に絡んだ。
翔は俯いて、か細い声で、うんと一度だけ頷いた。

「なんだかプロポーズみたいだね」
「っば、んな訳あるか! そういうこと、お袋の前で言うなよ! あのババア、喜びやがる」

吹っ切れたように顔を上げた翔は、悪戯な笑みを浮かべていた。
効果がないとは解っているが、反射的に怖い顔を作る。

「喜んで貰えば良いじゃない」

くすくすと笑みを漏らしながら小首を傾げる様は、やはりと言うか、可愛い。
だが、中身は変わらずに真っ黒なようだ。

「ざけんなよ。兄ちゃんの言うことは聞くもんだろ」
「ああ、お兄ちゃん面するんだ? カケルの癖に生意気」

いきなりのことだった。
胸倉を掴まれ、ぐっと引き寄せられる。
目と鼻の先に、翔の可愛らしい顔があった。
愉しそうだ。

「な、なんだよ?」
「こういうの、羞恥プレイになるのかな?」

恐る恐る尋ねる。
悪い予感しかしない。

「……っん!?」

背伸びをした翔の唇が、俺の口に触れた。
目を見張るも、触れるだけですぐに離れる。
文句を口にしようとして、俺は固まってしまった。


 鉄仮面と目が合った。
鉄仮面改め長田だ。
長田が翔の背後に立っている。
いつの間にいたのか。
気配も感じなかったが、長田の存在に、翔の台詞の意味を理解した。
途端に顔が熱くなる。
翔の狙い通り、俺は羞恥で言葉も出せなかった。
立ち尽くす俺に一瞥をくれ、長田はぴくりとも表情を動かさずに宣った。

「盛るのも結構ですが、青姦は暗くなってからにして下さい。邪魔ですよ、坊っちゃん」
「問題ソコかよ! てか俺か? 俺のせいなのか!?」

思わず大声で突っ込んでしまった。
翔は俯いてくつくつと口許を押さえながら笑っている。
計算通りなのだろう。

「すいません、長田さん。つい。ね、カケル?」
「知るかっ! もう俺に近寄んな!」

ふい、とそっぽを向き、体の向きを変えて一人で玄関に上がった。
面白がっている翔はタチが悪い。
俺の手には負えそうになかった。

「あはは、待ってよ」
「坊っちゃんは照れ屋ですので。翔坊っちゃん、中に入られましたら、先ずは手洗いうがいをお願いします。坊っちゃんもお忘れにならないように」

後を追うようにして二人も玄関に入ってきた。
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