後輩の屈折した恋心と鈍感な先輩

Neu(ノイ)

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四章:別離の冬

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「たとえばさ、今はお互いにまだ子供で、解らないことも沢山あるかもしれないけど。お別れじゃなくて、交流がまだ続くなら、大人になってからチャレンジしてみるのもいいんだし。今すぐにどうこうじゃなくて、関係を繋げられるようにしてみたら?」

不安が顔に出たのだろう、困ったように目を瞬かせて、最後のアドバイスだと史壱の言葉が続いた。
その台詞は、ヤケにすんなりと心に入り込んできた。

「それも良いですね」

少しだけ、気持ちが軽くなる。
ここで終わりだと思うから悲壮になるのだ。
それならば、終わらせなければいい。
それは単純なようでいて、神流では到底思い付きもしなかった発想だ。
ふふ、と含み笑いを漏らすと、史壱も安心したのだろう、双眸を眇める。

「じゃあ、またね。僕は、宮原のこと応援してるから!」

ポンポン、と軽く神流の肩を叩いて史壱は部屋を去って行った。
もう教室の中は薄暗くなり始めている。
神流も手早く片付けを済ませ、帰る支度を始めるのだった。




 結局、その後、卒業式当日まで羽李と会うことはなかった。
それでも、前までのどうしようもない焦燥感はなくなっていた。
焦ることはないのだ。
これは長期戦なのだからと、自分で納得する答えを得たからか、神流の心は何処か晴れやかだった。


 学ランの胸ポケットに花を飾った三年生が体育館に集まり、卒業証書が渡される。
卒業生はステージ側に、その後ろに在校生が並び、更にその後方に卒業生の保護者が並ぶ。
神流は自然と羽李を探していた。
羽李のクラスに目線を走らせると、緊張した面持ちの羽李らしき人物が小さくだが窺えた。
既に授与が始まっている館内は静かで、校長の呼ぶ生徒の名前だけが響いている。


 遂に、羽李のクラスに突入した。
視線の先に映る彼は、太腿の上で拳を握り、俯いてしまう。
肩が僅かに震えているようだった。
それでも、5人前の生徒が呼ばれれば、何事も無かったように顔を上げて立ち上がる。
堂々とした態度で卒業証書を受け取るのを、神流はその目に焼き付けていた。


 体育館での卒業証書授与式が終わり、在校生から卒業生への催しも無事に終わる。
ちらほらと涙を流している生徒がいるのが窺えた。
矢張りと言うのか、特に女子は人目も憚らずに号泣している。
本泣きなのか、もらい泣きなのか、どちらにせよ、別れは人間にとって辛いものなのだ。
隣の女子が啜り泣いているのを聞きながら、体育館から教室までの道程を歩いた。
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