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序章:崩壊
崩壊は突然に訪れる 04
しおりを挟むそれでも、教師というものに強く惹かれたのも事実だった。
他人を導き指導し教育するなどと高尚な気持ちは微塵もない。
守ってくれる大人に早い段階で出逢っていたならば、忠樹も母に暴力など振らずに済んだかもしれないという想いはずっと忠樹の中で燻っていた。
京が提案したのは、問題を抱える子供を守れる大人になり職業にしてしまえばいい、と言うものだった。
自分が経験したからこそ、差し伸べられる救いもある筈だと、興味もなかった教師という存在に心を動かされ、教師になることを決めた。
その日から忠樹の猛勉強な日々が始まり、寝る間を惜しんで受験勉強に励んだ。
目指したのは寮のある進学校である。
その高校にしたのは、京から離れるためだった。
京は看護師として働いており忙しい身であるし、彼氏もいて、これ以上の迷惑を掛けたくない一心で寮にて暮らすことを決意した。
まだ彼女と一緒に暮らしていたい甘えがありはしても、それを通せる程に忠樹は我儘を言える性格ではない。
そして、見事に志望校に合格し、春から寮に移ることとなった。
京と過ごした時間は一年もなかったが、短い間に彼女から沢山のことを学び、教えられ、忠樹の人生に於いてその時間は無くてはならないものとなっていた。
忠樹の根幹を築き上げたのは京との生活だと言い切っても過言ではない。
崩壊はいつでも唐突にやってくる。
崩れ落ちる日常を必死で掬い上げて生きているのだ。
誰もが心に余裕など持ち合わせていない癖に、さらけ出すことが出来ない。
甘えることも出来ず無理をして、壊れていくココロに気付かないフリで日々を重ね、突然に終わりはやってくるのだ。
それでも、崩壊があってこその再生であり、誕生であり、新生である。
心に負った傷が治ることはなくとも、人は変われるのだ。
傷に縋る自分を叱咤し、変わっていくことを自分に課す。
忠樹は自分で一歩を踏み出すことを決めたのだ。
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