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一章:援交とタローさん
性交はイコールで愛になるか 17*
しおりを挟む羞恥で目を覆ってしまいたい気持ちとは裏腹に、視線を外せなくなっていた。
カリと竿の窪みをなぞるように、お兄さんの舌ベロは進んだ。
そうして、亀頭が彼の咥内に呑み込まれると、ぬめぬめとした温もりに包まれて、僕は息を詰める。
口の中が、きゅうと窄(すぼ)まり、性器と粘膜はより密着した。
その状況で奥まで銜え込まれてしまえば、甘ったるい声しか出ては来ない。
唇で扱くかの如くお兄さんの頭が上下に揺れる。
その度に口をつく嬌声が恥ずかしくて、両の手で口元を覆った。
ぐちゅぶじゅ、と股間から響く水音が、僕の羞恥心を更に煽る。
「タローさっ、もっ……やめ」
放して、と最後まで言えなかった。
聞く耳も持たずに、鈴口をちゅうっと吸われ、言葉もなく体を震わせる。
「っ、っ……はっ、んん! 出ちゃ」
そんな僕に構うことなく、竿の根元から亀頭にかけて、吸い着きながら唇で扱かれた。
先端がビクビクと微動し、限界を訴えている。
お兄さんの頭を剥がそうと髪を掴んだところで、彼は喉の奥まで性器を呑み込んでしまう。
亀頭が喉の奥の固い部分に当たる。
その衝撃に耐えられず、お兄さんの喉奥に白濁を吐き出してしまった。
「……っ……! ごめっ、なさい」
他人の咥内に吐精してしまったショックと罪悪感に涙が込み上げた。
彼の喉仏が上下して、飲み込んだと知れた。
抗議しようにもはぐらかされそうで、結局は言葉は出ない。
なんとか涙声で謝る僕などお構いなしに、残滓の残る先端を、ちゅうちゅうと吸われた。
敏感になっている箇所は、少しの刺激にも反応してしまう。
「タ、ロー、さんっ! もっ、それやだよ!」
「……そう? よくなかった?」
彼の髪を掴み上に引いた。
顔が上向いて、上目遣いのお兄さんと視線がかち合う。
口から離された僕の屹立は、半勃ち状態で、彼の目の前で揺れていた。
ふふ、と意地悪く笑われる。
お兄さんの指が、僕の内股をなぞっていく。
それだけのことで、びくんと体がビクついた。
「気持ちいいの、怖い?」
静かに問われた内容に、息が止まる。
悔しいのか嬉しいのか解らない。
相反する感情が暴れていた。
「……こ、わい。でも、うれしい。僕を、必要として……欲しい、から」
口唇を何度か開閉させる。
迷いながらも言葉を選んで発した。
お兄さんの腕が腰を抱き締めてくれる。
痛いぐらいに強い力だった。
「俺はキィ君が必要だけど、キィ君は? 俺のこと、欲しくない?」
見詰められて、彼の真剣な瞳に捕らわれる。
ぎしり、とベッドが音を立てた。
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