私鬼戦記 禁断の魔方陣とカエルに変えらし者

京間 みずき

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二話 変貌

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桃花は、必死に子供達に逃げる様叫び、振り向いたその時、サイナメは彼女の直ぐ後ろにいた。

 サイナメは、手に持つ鉄製の杖を大きく振り上げ、その先端で、桃花の腹部を強打する。

 それは、一瞬の出来事だった

 桃花は、ガクリと膝を落とし、うつ伏せに倒れ込んでしまう

 「いやーー」「母たまーー」

 末娘のユリネは、叫び声を上げながら、思わず桃花に向かい走り出す。

 柚華は素早く、ユリネの手を掴み取り、大きく首を横にふり、声を荒げながら、必死で阻止する。 


 「ダメよ」「行っちゃダメ」「ユリネ、あの藪に隠れてなさい」


 「だってお姉たま」「お母たまが」
 
 
 突然の出来事に混乱するユリネを、柚華が、落ち着かせ様としていたその時、サイナメが、動き出す。

 「つまらない、実に弱い、文献人とは、この程度か」「万が一にそなえ、手練れ達を八人も雇ったこの俺が、まるでアホに見えるでは無いか」

 「俺の楽しみを奪ったその罪」「重いぞ、桃花よ」

 サイナメは、気を失う桃花に向かってそう言うと、呪文を唱え、杖にフッと息を吹きかけ、彼女が倒れ込む直ぐ横の地面に、杖先端をグサリと突き刺す。
 
 すると、ドス黒い煙りが立ち上がり、一瞬辺りを包みこみ、桃花の姿を、消し去る。
 
 柚華は鋭い目つきで、サイナメをにらみつけ、子供とは思えない程のドスの効いた声を出す。
 「おい、お前」「今、私の大事なお母さんに、何をした」

 
 「見て分からないか、小娘」「この俺の楽しみを奪った罪を与えてやった」

 「心配するな小娘よ、殺してはいない故にな」「ヌフフフ」

 ナツナメは、そう言うと地面に突き刺した杖を引き抜き、よどみ始めた地面に魔力を秘めた左手を突き入れ、何かを掴み取り、ニヤリと微笑む

 その左手には、カエルに変貌した桃花の姿が有った。
 

 

 「おい、いつまで汚い手で、私の母親を触っている」
 柚華の赤い瞳は、鈍く光り放ち、サイナメをさらに鋭く、にらみつける。
 


 
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