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第一章 アストラニア王国編
005 王城地下迷宮と初めての冒険
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『王城の地下迷宮』は、その名のとおり王城の地下に存在する。しかし王城内部から入るのではなく、ダンジョン前まで続く専用の通路が設けられており、冒険者はそこを利用するらしい。
俺もその道を通ったが、大きな荷物を一人で運んでいる冒険者とすれ違った。とても急いでいるようだったので道を譲ったが、あれはもしかしてオーク肉かな?
この迷宮は、この世界にあるダンジョンの中でも比較的難易度が低いとされている。すでに何度も踏破されており、ダンジョンコアに到達すれば内部構成を変えることもできるらしい。だが、『王城の地下迷宮』に関しては国から変更を禁じられていた。ここで得られる資源が街の生活基盤となっているためだろう。
『王城の地下迷宮』は全五十階層。すべて石造りの迷宮で、地下四十階までは罠が一切出ない代わりに宝箱も存在しない。地下四十一階以降になってようやく罠や宝箱が登場する。
十階ごとにボス部屋があり、それを突破すればワープポータルと呼ばれる地上と行き来できる魔法陣にたどり着く。ポータルは一度到達すれば、以降は地上からそこへ直接ワープできる仕組みだ。
ダンジョンに出てくる魔物は地上の魔物と違って、倒したらすぐに煙となって消え、魔石と約一割の確率で決まったドロップ品を落とす。また各階層やボス部屋の先には「セーフルーム」と呼ばれる安全地帯があり、泊まり込みでの探索も可能となっている。今回は泊まるつもりもないので、セーフルームは素通りする予定。
ダンジョンの入口にたどり着くと、そこには、地下鉄の入口のような石造りの階段と、ワープポータルらしき魔法陣が並んでいた。
「やはりこの時間だと、みんな中に入ってるんだな」
地上はひっそりとしていて、人影もない。
「とりあえず入ってみるか」
回復魔法もあるし、なんとかなるだろう――そんな気楽な気持ちで俺は迷宮に足を踏み入れた。
――地下一階。
壁も床も天井も石造り。床と天井が淡く光っていて、迷路の突き当りまではっきり見える。
「おお……まるでゲームで見たダンジョンそのままだ」
CGではなく、本物のダンジョン。壁とか床とか触ってみたりしてひとしきり感動したあとで迷路を進みはじめる。
罠もないし、地下一階から地下五階まではスライムしか出ない。この世界のスライムは武器なしでもパンチで倒せるそうなので気が楽だ。マップもあるしね。
最初の分かれ道を左に曲がってみると、早速見つけた。
「あれがスライムか」
直径一メートルほど、半ば潰れたゴムボールのような弾力のある塊。
跳ねながら迫ってきたところに「ふんっ」と拳を叩きつけると――破裂してしまった。飛び散った液体に触れても特に害はない。
「かなり弱いな。――第四階梯生活魔法〈洗浄〉」
体にかかった液体は除去しておく。ちなみに受付のサフィラさんに「無詠唱スキル持ちが無言で魔法を使用すると、他の冒険者が慌てたりするので、魔法名だけ唱える簡易詠唱をできるだけ使って」と言われている。普段から口にして慣れておこうと思っている。むしろ、魔法を想像する必要がない分、こっちの方が楽だ。
そして、スライムが消えると同時に、直径一センチくらいの魔石と「スライムゼリー」と呼ばれるドロップ品が現れた。
「おお。一発目からドロップ出るのは幸先いいかもね」
それらをアイテムボックスに収納し、探索を続ける。マップによると、この先に薬草採取エリアがあるようだ。
やがて、地面が土になっている広い部屋に出た。こういう土の上にエルン草が生えているとギルドで聞いていたが、取り尽くされたのか何一つ生えていない。そして、一定の間隔で冒険者が待機していた。これ、もしかして……エルン草のリポップ待ちか?
しばらく見ていると、エルン草がリポップしたが、すぐさま目の前にいた冒険者が摘み取ってしまった。ここじゃ採取無理じゃん……場所を変えよう。
地下一階の採取エリアはどこも似たような状況だった。諦めて地下二階へ向かうことにする。
階段にたどり着くまでのあいだに十匹ほどのスライムを倒したが、ほとんどがスライムゼリーを落とした。あれ? ドロップ率一割って聞いてたけど。
――地下二階。
ここも採取エリアは冒険者で埋まっていた。地下五階まではスライムしか出ないからこの先も同じかもな。
「ゴブリンが出る階まで行くか」
スライムエリアはあきらめて地下六階を目指すことにした。
――地下六階。
最短ルートを駆け抜けてきたが、それでも一時間以上かかった。
そしてひとつ気づいたことがある。スライムが、なぜか俺ばかり狙ってくるのだ。近くに冒険者がいても無視して、真っ直ぐこちらに向かってくる。
結果、倒したスライムは五十匹を超え、スライムゼリーも山のように溜まっていた。ドロップ率が聞いていたのと違う……。
さて――ここからはいよいよゴブリンエリアだ。
スライムと違って人型の魔物。斬ることに躊躇してしまうかもしれない。そう思いながら剣を抜き、角を曲がる。
そこには、人間の子供ほどの背丈に緑色の肌、醜悪な顔をにやつかせながらこちらを睨むゴブリンがいた。
右手のこん棒を振り上げ、殺気を放ちながら突進してくる。
――おそらく、生まれて初めて「お前を殺す」という明確な敵意を受けた瞬間だった。ほんの一瞬ひるむが、こちらのリーチの方が長い。
迫ってきたゴブリンに横薙ぎの一撃を放つと、頭が吹き飛んだ。
「あれ? 斬れると思ったんだけど……」
返り血を浴び、少し曲がった鉄製のショートソードを見つめる。
しばらくしてゴブリンの体は消え、直径二センチほどの魔石だけが残った。ゴブリンにはドロップ品がない。効率はよくないが、エルン草を採るにはこの階層に滞在するしかない。
しばらく進むと薬草採取エリアを見つけた。なんと、手つかずの状態でエルン草が残っていた。これは全部採取でしょ。
本来は根の部分を残すように採取することで、またそこにエルン草が生えるようにするのだが、ダンジョンはリポップなので関係ない。がんがん引っこ抜いてアイテムボックスに格納していく。
ただし、採取中にもゴブリンが襲ってくるのが面倒だ。そのたびに頭を吹き飛ばす。死体は消えて魔石しか残らないが――。
ふと、思いついた。
「死体が消える前に収納したらどうなるんだ?」
試しに倒した直後のゴブリンを亜空間収納してみる。倒したらすぐに煙に変わるので、タイミングがシビアだ。
「お、うまくいった! ちゃんとゴブリンの死体がある!」
ということは――〈分解(空間)〉で魔石と……スキルがある! スキルが分離できるぞ!
魔物からスキルゲットできるのか! これはいい!
ただ、このゴブリンが持っていたスキルは〈技巧(性)[1]〉だった……やはりこの世界、エロゲーだ。
レベル1だとテクニシャンでもなんでもないだろうが、この〈技巧(性)[1]〉に別の〈技巧(性)[1]〉を重ねると〈技巧(性)[2]〉になる。さらに〈技巧(性)[2]〉に〈技巧(性)[1]〉を二個重ねると〈技巧(性)[3]〉になる……と重ねていけばレベルがどんどん上がっていくので、いずれ凄いテクニシャンになりそうだ。今のところ使い道ないが……。
魔石以外のゴブリンの死体は元素に還元しとこう。素材ロンダリング。
そういやゴブリンが持ってたこん棒は、いつの間にか消えていた。そういう仕様なのか? 必要ないから、まあいいけど。
それよりも、この先地下七階でゴブリンファイター、地下八階でゴブリンアーチャー、地下九階でゴブリンマジシャンが追加されるとギルドで貰ったマップに書いてある。
ゴブリンファイターは戦闘スキルが、ゴブリンアーチャーは弓系のスキルが、そしてゴブリンマジシャンは攻撃魔法のスキルが取得できるのでは?
「これは行くしかない」
全種出てくる地下九階がいいだろう。まだ生えてるエルン草は残っていたが放置して、俺は走り出した。
――地下九階。
ここに来るまで中々大変だった。
スライムの時も思ったが、エンカウント率が異常に高いのだ。一分おきくらいにゴブリンに会うので、その都度倒して収納。最初は毎回〈分解(空間)〉してたが、これは後でまとめてやったほうが楽そうだと思い、今は収納したままにしている。
すでにゴブリンファイターは〈短剣術[1]〉を、ゴブリンアーチャーは〈弓術[1]〉を持っていることがわかっている。あと〈技巧(性)[1]〉はほとんどのゴブリンが持ってたので、このスキルだけ極端に多く貯まっている。
ゴブリンファイターはショートソードを持ったゴブリンで、苦戦するかと思いきや、武器が剣なだけで、ほとんど普通のゴブリンと変わらなかった。ただ、そのショートソードは収納できずに消えていた。残念。
ゴブリンアーチャーは遠隔攻撃の弓がやっかい……と思いきや、〈身体強化[10]〉のおかげか矢が見える。普通に避けられるのだ。当たらなければどうということはない。ただウザいので先に頭を吹き飛ばす。こちらも弓や矢は収納できずに消えた。
そして、この地下九階で初登場のゴブリンマジシャン。さすがに魔法は苦戦するかと思っていたが――ちゃんと呪文を唱えてくれるので、その隙に頭を吹き飛ばせるのだ。ゴブリンアーチャーを相手するよりも楽だった。一度だけ魔法を撃たせてみたが、第一階梯の魔法だからか普通に避けられた。
ゴブリンマジシャンから貰えるスキルは火魔法[1]、水魔法[1]、風魔法[1]、土魔法[1]のどれか。個体によって使っている魔法が違ったからだろう。
しばらく戦ってみて、この階層でも問題なく戦えると確信した。今後はこの階層をメインに薬草採取していこう。
ゴブリンは黙っていても、ほぼ一分おきに寄ってくるので、こちらからわざわざ探さなくてもいい。声を出したり物音をたてながら近づいてきてくれるので、不意打ちで襲撃に気づかないということもないし。
「帰りを考えると、あと一時間くらいか」
そうつぶやきながら、その後の一時間をひたすらゴブリンの頭を吹き飛ばし、薬草を刈り取ることに費やした。
俺もその道を通ったが、大きな荷物を一人で運んでいる冒険者とすれ違った。とても急いでいるようだったので道を譲ったが、あれはもしかしてオーク肉かな?
この迷宮は、この世界にあるダンジョンの中でも比較的難易度が低いとされている。すでに何度も踏破されており、ダンジョンコアに到達すれば内部構成を変えることもできるらしい。だが、『王城の地下迷宮』に関しては国から変更を禁じられていた。ここで得られる資源が街の生活基盤となっているためだろう。
『王城の地下迷宮』は全五十階層。すべて石造りの迷宮で、地下四十階までは罠が一切出ない代わりに宝箱も存在しない。地下四十一階以降になってようやく罠や宝箱が登場する。
十階ごとにボス部屋があり、それを突破すればワープポータルと呼ばれる地上と行き来できる魔法陣にたどり着く。ポータルは一度到達すれば、以降は地上からそこへ直接ワープできる仕組みだ。
ダンジョンに出てくる魔物は地上の魔物と違って、倒したらすぐに煙となって消え、魔石と約一割の確率で決まったドロップ品を落とす。また各階層やボス部屋の先には「セーフルーム」と呼ばれる安全地帯があり、泊まり込みでの探索も可能となっている。今回は泊まるつもりもないので、セーフルームは素通りする予定。
ダンジョンの入口にたどり着くと、そこには、地下鉄の入口のような石造りの階段と、ワープポータルらしき魔法陣が並んでいた。
「やはりこの時間だと、みんな中に入ってるんだな」
地上はひっそりとしていて、人影もない。
「とりあえず入ってみるか」
回復魔法もあるし、なんとかなるだろう――そんな気楽な気持ちで俺は迷宮に足を踏み入れた。
――地下一階。
壁も床も天井も石造り。床と天井が淡く光っていて、迷路の突き当りまではっきり見える。
「おお……まるでゲームで見たダンジョンそのままだ」
CGではなく、本物のダンジョン。壁とか床とか触ってみたりしてひとしきり感動したあとで迷路を進みはじめる。
罠もないし、地下一階から地下五階まではスライムしか出ない。この世界のスライムは武器なしでもパンチで倒せるそうなので気が楽だ。マップもあるしね。
最初の分かれ道を左に曲がってみると、早速見つけた。
「あれがスライムか」
直径一メートルほど、半ば潰れたゴムボールのような弾力のある塊。
跳ねながら迫ってきたところに「ふんっ」と拳を叩きつけると――破裂してしまった。飛び散った液体に触れても特に害はない。
「かなり弱いな。――第四階梯生活魔法〈洗浄〉」
体にかかった液体は除去しておく。ちなみに受付のサフィラさんに「無詠唱スキル持ちが無言で魔法を使用すると、他の冒険者が慌てたりするので、魔法名だけ唱える簡易詠唱をできるだけ使って」と言われている。普段から口にして慣れておこうと思っている。むしろ、魔法を想像する必要がない分、こっちの方が楽だ。
そして、スライムが消えると同時に、直径一センチくらいの魔石と「スライムゼリー」と呼ばれるドロップ品が現れた。
「おお。一発目からドロップ出るのは幸先いいかもね」
それらをアイテムボックスに収納し、探索を続ける。マップによると、この先に薬草採取エリアがあるようだ。
やがて、地面が土になっている広い部屋に出た。こういう土の上にエルン草が生えているとギルドで聞いていたが、取り尽くされたのか何一つ生えていない。そして、一定の間隔で冒険者が待機していた。これ、もしかして……エルン草のリポップ待ちか?
しばらく見ていると、エルン草がリポップしたが、すぐさま目の前にいた冒険者が摘み取ってしまった。ここじゃ採取無理じゃん……場所を変えよう。
地下一階の採取エリアはどこも似たような状況だった。諦めて地下二階へ向かうことにする。
階段にたどり着くまでのあいだに十匹ほどのスライムを倒したが、ほとんどがスライムゼリーを落とした。あれ? ドロップ率一割って聞いてたけど。
――地下二階。
ここも採取エリアは冒険者で埋まっていた。地下五階まではスライムしか出ないからこの先も同じかもな。
「ゴブリンが出る階まで行くか」
スライムエリアはあきらめて地下六階を目指すことにした。
――地下六階。
最短ルートを駆け抜けてきたが、それでも一時間以上かかった。
そしてひとつ気づいたことがある。スライムが、なぜか俺ばかり狙ってくるのだ。近くに冒険者がいても無視して、真っ直ぐこちらに向かってくる。
結果、倒したスライムは五十匹を超え、スライムゼリーも山のように溜まっていた。ドロップ率が聞いていたのと違う……。
さて――ここからはいよいよゴブリンエリアだ。
スライムと違って人型の魔物。斬ることに躊躇してしまうかもしれない。そう思いながら剣を抜き、角を曲がる。
そこには、人間の子供ほどの背丈に緑色の肌、醜悪な顔をにやつかせながらこちらを睨むゴブリンがいた。
右手のこん棒を振り上げ、殺気を放ちながら突進してくる。
――おそらく、生まれて初めて「お前を殺す」という明確な敵意を受けた瞬間だった。ほんの一瞬ひるむが、こちらのリーチの方が長い。
迫ってきたゴブリンに横薙ぎの一撃を放つと、頭が吹き飛んだ。
「あれ? 斬れると思ったんだけど……」
返り血を浴び、少し曲がった鉄製のショートソードを見つめる。
しばらくしてゴブリンの体は消え、直径二センチほどの魔石だけが残った。ゴブリンにはドロップ品がない。効率はよくないが、エルン草を採るにはこの階層に滞在するしかない。
しばらく進むと薬草採取エリアを見つけた。なんと、手つかずの状態でエルン草が残っていた。これは全部採取でしょ。
本来は根の部分を残すように採取することで、またそこにエルン草が生えるようにするのだが、ダンジョンはリポップなので関係ない。がんがん引っこ抜いてアイテムボックスに格納していく。
ただし、採取中にもゴブリンが襲ってくるのが面倒だ。そのたびに頭を吹き飛ばす。死体は消えて魔石しか残らないが――。
ふと、思いついた。
「死体が消える前に収納したらどうなるんだ?」
試しに倒した直後のゴブリンを亜空間収納してみる。倒したらすぐに煙に変わるので、タイミングがシビアだ。
「お、うまくいった! ちゃんとゴブリンの死体がある!」
ということは――〈分解(空間)〉で魔石と……スキルがある! スキルが分離できるぞ!
魔物からスキルゲットできるのか! これはいい!
ただ、このゴブリンが持っていたスキルは〈技巧(性)[1]〉だった……やはりこの世界、エロゲーだ。
レベル1だとテクニシャンでもなんでもないだろうが、この〈技巧(性)[1]〉に別の〈技巧(性)[1]〉を重ねると〈技巧(性)[2]〉になる。さらに〈技巧(性)[2]〉に〈技巧(性)[1]〉を二個重ねると〈技巧(性)[3]〉になる……と重ねていけばレベルがどんどん上がっていくので、いずれ凄いテクニシャンになりそうだ。今のところ使い道ないが……。
魔石以外のゴブリンの死体は元素に還元しとこう。素材ロンダリング。
そういやゴブリンが持ってたこん棒は、いつの間にか消えていた。そういう仕様なのか? 必要ないから、まあいいけど。
それよりも、この先地下七階でゴブリンファイター、地下八階でゴブリンアーチャー、地下九階でゴブリンマジシャンが追加されるとギルドで貰ったマップに書いてある。
ゴブリンファイターは戦闘スキルが、ゴブリンアーチャーは弓系のスキルが、そしてゴブリンマジシャンは攻撃魔法のスキルが取得できるのでは?
「これは行くしかない」
全種出てくる地下九階がいいだろう。まだ生えてるエルン草は残っていたが放置して、俺は走り出した。
――地下九階。
ここに来るまで中々大変だった。
スライムの時も思ったが、エンカウント率が異常に高いのだ。一分おきくらいにゴブリンに会うので、その都度倒して収納。最初は毎回〈分解(空間)〉してたが、これは後でまとめてやったほうが楽そうだと思い、今は収納したままにしている。
すでにゴブリンファイターは〈短剣術[1]〉を、ゴブリンアーチャーは〈弓術[1]〉を持っていることがわかっている。あと〈技巧(性)[1]〉はほとんどのゴブリンが持ってたので、このスキルだけ極端に多く貯まっている。
ゴブリンファイターはショートソードを持ったゴブリンで、苦戦するかと思いきや、武器が剣なだけで、ほとんど普通のゴブリンと変わらなかった。ただ、そのショートソードは収納できずに消えていた。残念。
ゴブリンアーチャーは遠隔攻撃の弓がやっかい……と思いきや、〈身体強化[10]〉のおかげか矢が見える。普通に避けられるのだ。当たらなければどうということはない。ただウザいので先に頭を吹き飛ばす。こちらも弓や矢は収納できずに消えた。
そして、この地下九階で初登場のゴブリンマジシャン。さすがに魔法は苦戦するかと思っていたが――ちゃんと呪文を唱えてくれるので、その隙に頭を吹き飛ばせるのだ。ゴブリンアーチャーを相手するよりも楽だった。一度だけ魔法を撃たせてみたが、第一階梯の魔法だからか普通に避けられた。
ゴブリンマジシャンから貰えるスキルは火魔法[1]、水魔法[1]、風魔法[1]、土魔法[1]のどれか。個体によって使っている魔法が違ったからだろう。
しばらく戦ってみて、この階層でも問題なく戦えると確信した。今後はこの階層をメインに薬草採取していこう。
ゴブリンは黙っていても、ほぼ一分おきに寄ってくるので、こちらからわざわざ探さなくてもいい。声を出したり物音をたてながら近づいてきてくれるので、不意打ちで襲撃に気づかないということもないし。
「帰りを考えると、あと一時間くらいか」
そうつぶやきながら、その後の一時間をひたすらゴブリンの頭を吹き飛ばし、薬草を刈り取ることに費やした。
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