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第一章 アストラニア王国編
008 Dランクとポーター
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――一ヶ月後。
アストラニア霞鳴流剣術は『切紙』になった。要するに初段みたいなものだ。ただ、これ以上続けるつもりはあまりない。なぜかと言うと――
一ヶ月間、とても退屈で優雅(?)なダンジョンアタックを繰り返したおかげで、火・水・風・土はすべてレベル5に。〈短剣術〉・〈弓術〉・〈技巧(性)〉はレベル7になった。
特に〈短剣術〉がレベル7にもなると、道場で習った型よりも「こう振った方が速い」とか「ここで軌道を変えた方が効果的だ」など、自分なりの工夫が次々と浮かぶようになる。暇つぶしにダンジョンで剣術の研究をしていた成果も大きい。
今の俺の剣は、ベースに霞鳴流剣術があるものの、もはやアレス流剣術に変わってきていて、道場の稽古がむしろストレスになってきていた。指導員の方には「アレス君なら大目録、いや皆伝まで行ける!」とまで言ってもらったが、やっぱり剣術道場やめようかな。
急激に上達したせいで妬むやつも出てきて、テンプレのように何人かでボコろうとしてきたり、テンプレのように人気のない場所で「木剣でお前、真剣で俺」で勝負しろとかいうわけのわからない貴族のおぼっちゃんがいたり。正直、関わるのが面倒になった。
勝っても負けても後々厄介そうなので、今のところ全部逃げている。透明化を使えば確実に撒けるからだ。あとは道場をやめれば、あいつらも関わってこなくなるだろう。
一方で、この一ヶ月は宿でヘレナさんの夕食作りを手伝っていた。
これは剣術を習わずに剣を振ったときの反省から、〈料理〉スキルもレシピ知らないとあんまり意味がないんじゃ? と思ったからだ。すでに〈料理〉もレベル5になってヘレナさんに追いついてしまっている。本当は勇者スキルを効率的に使えば、〈料理〉スキルもがんがんレベル上げできるんだが……やっぱり、人がどの倍率の快楽まで耐えられるのか試さないと無理だし、その手法を使うなら、どうしても〈スキル複製(性)〉のことを相手に教えないといけないという諸刃の剣。ヘレナさんに使うことは、おそらくないだろう。
そういえば、この一ヶ月間、ダンジョンから地上に出ると、ワープポータル付近で普段着の男性が一人から四人ほど待っているのを何度か見かけた。いつも誰かを待っているようだが、毎回人数も顔ぶれもバラバラなのは何だろう? 何度か顔を合わせるうちに「お疲れ様です」と挨拶を交わすようになったが、何をしている人なのかはいまだに知らない。
冒険者ギルドは相変わらずナンパスポット。そこはもう置いておくとして――。
最近、貴族の間で伝染病が流行り、エルン草の買取価格が高騰した。俺は元々お金に困っていなかったからあまり気にならなかったが、Dランク冒険者まで薬草採取を始めるようになり、競争率が一気に上がってしまい、俺のゴブリンエリアにも他の冒険者が来るようになった。俺が〈バッチ処理〉で根こそぎゴブリンを討伐して、安全なエリアにしてしまったからというのもある。薬草も根こそぎ採取してはいるんだが、他の冒険者にリポップ待ちされるとどうにもならない。
ただ、帰りは地下十階のボスを倒してワープポータルを利用するようになったので、ギリギリまで地下九階に滞在できるようになったのは良かった。そのおかげで魔法スキルを稼げた。
ちなみに地下十階ボスの“ホブゴブリン”は〈バッチ処理〉で瞬殺という、なんとも味気ない結果で終わった。試しに地下十一階に行ってみたが、そこはゴブリンファイターしか出なかったので〈バッチ処理〉で瞬殺。ただここはエルン草じゃなくて、ヒーリーフとマーナリーフというさらに高品質のポーションを作るための素材が取れるので、採取用の〈バッチ処理〉を新たに準備する必要があった。
こうして薬草納品と討伐実績を積み、俺はとうとうDランク冒険者になった。Eランクと同じ鉄製で、表記が「D」に変わっただけのギルドカード。一ヶ月でDランクは結構早いほうだそうだ。最短でなった人はなんと一週間。初日にオーク倒してきたらしい。凄い人もいるもんだ。
ただ受付のサフィラさんには――
「十階ごとのボスを倒したら報告してくださいって言いましたよね!?」
と軽く叱られた。ちゃんと報告していれば、その時点で昇格できていたらしい。少し遠回りしてしまった。
「そういやDランクになったら、ポーターしてってお願いされてたな」
あの防御力皆無の格好をした褐色肌の斧娘。あれから見ていないな。タイミングが合わないだけかな? 考えてみれば最近は宿で夕食を作る手伝いをするために、ダンジョンから帰ってくるのが一時間くらい早くなっていた。今日は少し遅くなるかもしれないとヘレナさんには伝えてきたので、このままギルドで待ってみることにした。
ただ待つとしたらテーブル席なんだが……このナンパスポット、どうにかなんないのかな。たむろしている女性冒険者は全員Cランク冒険者らしいが、一日中そこに座っていないかな? この一ヶ月で座っていた顔ぶれが少しだけ変わったようにも見えるが。
テーブル席に近づこうとすると、女性冒険者たちは驚いた顔をする。男性冒険者たちは警戒の表情をする。いや、俺ナンパしないよ?
運よく空いているテーブルを発見。そこで待つことにする……なんだ? 視線が刺さるな……もしかして、ここって女性専用席? とりあえず腰を下ろすと――
「ねぇ、君ぃ。名前なんていうのぉ?」
座ってすぐに、語尾を引く二十代に見えるお姉さんが声をかけてきた。え、逆ナン? じゃないよね?
「アレスといいます。Dランク冒険者です」
相手も冒険者だし、名前とランク伝えておけば失礼にはならないだろう。一応この辺に座っている女性冒険者たちはCランクだと受付の人に聞いたので先輩のはず。
「へぇ、Dランクなんだぁ。いつもソロで動いてるよねぇ? パーティとか組んでないのぉ?」
「そう……ですね。まだDランクになったばかりなので、いまのところソロで活動しています」
「そぉ。だったらさぁ、うちの――」
「ちょっと! ミランダ! その子はうちも目を付けてるって言ったよね! 抜け駆けはよくないよ!!」
大柄で大剣を背負った紅い鎧の女戦士が参戦してきた。
「はぁ? こういうのはぁ、早い者勝ちでしょぉ?」
「じゃあ、まだ間に合うね! うちはCランクパーティ〈紅鉄の――〉」
「ちょっとぉ! 邪魔しないでよぉ!」
「おまえが早い者勝ちって言ったんだろうが!!」
なんだか目の前で喧嘩が始まってしまった。これってテンプレだっけ? いや、こんなのあったかな? とか全然関係ないことを考えながら二人の様子を見ていると、ようやく目的の斧娘を見つけることができた。
「あ! すみません! 待ってた人が来たので失礼します!!」
叫ぶようにそれだけ告げて、逃げるようにその場を去った。もうここには近づくまい。
背後で「あー〈迷宮の薔薇〉かよ。うまくやりやがったな」という女戦士の声が聞こえたが無視した。
ギルドの受付の列に並んだ〈迷宮の薔薇〉の三人は、すでにこっちに気づいていたようで、近づいていく俺にジーナさんが笑顔で手を振ってきた。
「ジーナさん、アレスです。覚えていますか? Dランクになったのでご報告に来ました」
「久しぶりだね、アレス! 昇格おめでとう! でも、なんだか向こうで揉めてたね」
やっぱり目立っていたらしい。ジーナさんの後ろにいた眼鏡の魔術師の女の子が「いずれ取り合いになるとは思っていたけどね」と小声でつぶやいた。
「《氷の魔術師》セレナさん、はじめまして! アレスといいます」
「……このギルドであなたのことを知らない人はいないと思うわよ。それより、なんで私の二つ名を知ってるのよ」
黒目黒髪のショートボブ。理知的で綺麗な女の子。俺と同い歳くらいかな。身長は百五十五センチくらいで、たぶんCカップ――やばっ、睨まれた。何もなかったかのように振る舞うべし。
「皆さん有名でしたので、教えてもらいました」
実際〈迷宮の薔薇〉の三人は有望株として名が知られていた。そしてもう一人。
「あ、挨拶遅れてすみません。ティアさん、初めまして。アレスです」
「は、初めましてアレス君。よ、よろしくね……!」
ちょっと緊張気味に見えるのは僧侶のティアさん。青い瞳で薄い青の長い髪に少しウェーブがかかっている、少し控えめな美少女。この人も俺と同じ歳くらいに見える。身長はセレナさんより十センチくらい高いかな。しかし胸はヘレナさん級(G)。
ちなみにこの三人はCランクでありながら、すでに二つ名を持っている。
魔術師のセレナさんはさきほど俺が言った《氷の魔術師》。
斧戦士のジーナさんは《戦斧姫》。
そして僧侶のティアさんは《血染めの天使》。……なぜ、この大人しそうな子が一番物騒な二つ名なのかというと、ティアさんは回復役でありながら、メインの武器は鉄のメイス。なんと近接で殴りまくる、いわゆる殴りヒーラーなのだ。いつも返り血だらけになるけれど、「〈洗浄〉すれば同じ」とあまり気にしないそうだ。見た目とギャップがあるなあ……。
「あ、それでですね。今日Dランクになったので、以前お願いされたポーターをお受けしようと思いまして」
「え!? ほんとに!? やってくれるの!? やったあー!!」
ジーナさんは前回と同じように子供のように喜び、やっぱり他の二人に窘められていた。
「で、どうするどうする? いついく? いついく?」
「落ち着きなさい、ジーナ」
前のめりのジーナさんを窘めながら、どこかからメモ帳のようなものを取り出すセレナさん。〈迷宮の薔薇〉のスケジュールをチェックしているようだ。
「そうね、契約は一週間だったかしら。だったら明日からでも、こちらは大丈夫よ。アレスはどう?」
「俺も問題ありません。では明日からよろしくお願いします」
三人と握手を交わし、翌朝、彼女たちが三人で借りている家の前で集合することになった。
一人で潜ってばかりだった俺にとって、〈迷宮の薔薇〉との探索は楽しみで仕方なかった。
◆現在のアレス ※は隠蔽中または改竄中
アレス ヒューマン(※天空人を改竄中) 十七歳
称号:
※エンドリング
※勇者
スキル:
火魔法[5]
水魔法[5]
土魔法[5]
風魔法[5]
闇魔法[8]
回復魔法[8]
生活魔法[10]
空間魔法[8]
※性魔法[10]
短剣術[7]
弓術[7]
身体強化[10]
鑑定[8]
料理[5]
※技巧(性)[7]
合成(空間)
分解(空間)
修復(空間)
※スキル・称号奪取(性)
※スキル複製(性)
全スキル経験値アップS
アイテムボックスS
無詠唱
バッチ処理
タスクスケジューラ
魔力常時回復
スキル・称号付替
※ステータス情報改竄
全言語理解
ストックしているスキル:
聖魔法[8]
全言語理解×2
ストックしている称号:
聖女
アストラニア霞鳴流剣術は『切紙』になった。要するに初段みたいなものだ。ただ、これ以上続けるつもりはあまりない。なぜかと言うと――
一ヶ月間、とても退屈で優雅(?)なダンジョンアタックを繰り返したおかげで、火・水・風・土はすべてレベル5に。〈短剣術〉・〈弓術〉・〈技巧(性)〉はレベル7になった。
特に〈短剣術〉がレベル7にもなると、道場で習った型よりも「こう振った方が速い」とか「ここで軌道を変えた方が効果的だ」など、自分なりの工夫が次々と浮かぶようになる。暇つぶしにダンジョンで剣術の研究をしていた成果も大きい。
今の俺の剣は、ベースに霞鳴流剣術があるものの、もはやアレス流剣術に変わってきていて、道場の稽古がむしろストレスになってきていた。指導員の方には「アレス君なら大目録、いや皆伝まで行ける!」とまで言ってもらったが、やっぱり剣術道場やめようかな。
急激に上達したせいで妬むやつも出てきて、テンプレのように何人かでボコろうとしてきたり、テンプレのように人気のない場所で「木剣でお前、真剣で俺」で勝負しろとかいうわけのわからない貴族のおぼっちゃんがいたり。正直、関わるのが面倒になった。
勝っても負けても後々厄介そうなので、今のところ全部逃げている。透明化を使えば確実に撒けるからだ。あとは道場をやめれば、あいつらも関わってこなくなるだろう。
一方で、この一ヶ月は宿でヘレナさんの夕食作りを手伝っていた。
これは剣術を習わずに剣を振ったときの反省から、〈料理〉スキルもレシピ知らないとあんまり意味がないんじゃ? と思ったからだ。すでに〈料理〉もレベル5になってヘレナさんに追いついてしまっている。本当は勇者スキルを効率的に使えば、〈料理〉スキルもがんがんレベル上げできるんだが……やっぱり、人がどの倍率の快楽まで耐えられるのか試さないと無理だし、その手法を使うなら、どうしても〈スキル複製(性)〉のことを相手に教えないといけないという諸刃の剣。ヘレナさんに使うことは、おそらくないだろう。
そういえば、この一ヶ月間、ダンジョンから地上に出ると、ワープポータル付近で普段着の男性が一人から四人ほど待っているのを何度か見かけた。いつも誰かを待っているようだが、毎回人数も顔ぶれもバラバラなのは何だろう? 何度か顔を合わせるうちに「お疲れ様です」と挨拶を交わすようになったが、何をしている人なのかはいまだに知らない。
冒険者ギルドは相変わらずナンパスポット。そこはもう置いておくとして――。
最近、貴族の間で伝染病が流行り、エルン草の買取価格が高騰した。俺は元々お金に困っていなかったからあまり気にならなかったが、Dランク冒険者まで薬草採取を始めるようになり、競争率が一気に上がってしまい、俺のゴブリンエリアにも他の冒険者が来るようになった。俺が〈バッチ処理〉で根こそぎゴブリンを討伐して、安全なエリアにしてしまったからというのもある。薬草も根こそぎ採取してはいるんだが、他の冒険者にリポップ待ちされるとどうにもならない。
ただ、帰りは地下十階のボスを倒してワープポータルを利用するようになったので、ギリギリまで地下九階に滞在できるようになったのは良かった。そのおかげで魔法スキルを稼げた。
ちなみに地下十階ボスの“ホブゴブリン”は〈バッチ処理〉で瞬殺という、なんとも味気ない結果で終わった。試しに地下十一階に行ってみたが、そこはゴブリンファイターしか出なかったので〈バッチ処理〉で瞬殺。ただここはエルン草じゃなくて、ヒーリーフとマーナリーフというさらに高品質のポーションを作るための素材が取れるので、採取用の〈バッチ処理〉を新たに準備する必要があった。
こうして薬草納品と討伐実績を積み、俺はとうとうDランク冒険者になった。Eランクと同じ鉄製で、表記が「D」に変わっただけのギルドカード。一ヶ月でDランクは結構早いほうだそうだ。最短でなった人はなんと一週間。初日にオーク倒してきたらしい。凄い人もいるもんだ。
ただ受付のサフィラさんには――
「十階ごとのボスを倒したら報告してくださいって言いましたよね!?」
と軽く叱られた。ちゃんと報告していれば、その時点で昇格できていたらしい。少し遠回りしてしまった。
「そういやDランクになったら、ポーターしてってお願いされてたな」
あの防御力皆無の格好をした褐色肌の斧娘。あれから見ていないな。タイミングが合わないだけかな? 考えてみれば最近は宿で夕食を作る手伝いをするために、ダンジョンから帰ってくるのが一時間くらい早くなっていた。今日は少し遅くなるかもしれないとヘレナさんには伝えてきたので、このままギルドで待ってみることにした。
ただ待つとしたらテーブル席なんだが……このナンパスポット、どうにかなんないのかな。たむろしている女性冒険者は全員Cランク冒険者らしいが、一日中そこに座っていないかな? この一ヶ月で座っていた顔ぶれが少しだけ変わったようにも見えるが。
テーブル席に近づこうとすると、女性冒険者たちは驚いた顔をする。男性冒険者たちは警戒の表情をする。いや、俺ナンパしないよ?
運よく空いているテーブルを発見。そこで待つことにする……なんだ? 視線が刺さるな……もしかして、ここって女性専用席? とりあえず腰を下ろすと――
「ねぇ、君ぃ。名前なんていうのぉ?」
座ってすぐに、語尾を引く二十代に見えるお姉さんが声をかけてきた。え、逆ナン? じゃないよね?
「アレスといいます。Dランク冒険者です」
相手も冒険者だし、名前とランク伝えておけば失礼にはならないだろう。一応この辺に座っている女性冒険者たちはCランクだと受付の人に聞いたので先輩のはず。
「へぇ、Dランクなんだぁ。いつもソロで動いてるよねぇ? パーティとか組んでないのぉ?」
「そう……ですね。まだDランクになったばかりなので、いまのところソロで活動しています」
「そぉ。だったらさぁ、うちの――」
「ちょっと! ミランダ! その子はうちも目を付けてるって言ったよね! 抜け駆けはよくないよ!!」
大柄で大剣を背負った紅い鎧の女戦士が参戦してきた。
「はぁ? こういうのはぁ、早い者勝ちでしょぉ?」
「じゃあ、まだ間に合うね! うちはCランクパーティ〈紅鉄の――〉」
「ちょっとぉ! 邪魔しないでよぉ!」
「おまえが早い者勝ちって言ったんだろうが!!」
なんだか目の前で喧嘩が始まってしまった。これってテンプレだっけ? いや、こんなのあったかな? とか全然関係ないことを考えながら二人の様子を見ていると、ようやく目的の斧娘を見つけることができた。
「あ! すみません! 待ってた人が来たので失礼します!!」
叫ぶようにそれだけ告げて、逃げるようにその場を去った。もうここには近づくまい。
背後で「あー〈迷宮の薔薇〉かよ。うまくやりやがったな」という女戦士の声が聞こえたが無視した。
ギルドの受付の列に並んだ〈迷宮の薔薇〉の三人は、すでにこっちに気づいていたようで、近づいていく俺にジーナさんが笑顔で手を振ってきた。
「ジーナさん、アレスです。覚えていますか? Dランクになったのでご報告に来ました」
「久しぶりだね、アレス! 昇格おめでとう! でも、なんだか向こうで揉めてたね」
やっぱり目立っていたらしい。ジーナさんの後ろにいた眼鏡の魔術師の女の子が「いずれ取り合いになるとは思っていたけどね」と小声でつぶやいた。
「《氷の魔術師》セレナさん、はじめまして! アレスといいます」
「……このギルドであなたのことを知らない人はいないと思うわよ。それより、なんで私の二つ名を知ってるのよ」
黒目黒髪のショートボブ。理知的で綺麗な女の子。俺と同い歳くらいかな。身長は百五十五センチくらいで、たぶんCカップ――やばっ、睨まれた。何もなかったかのように振る舞うべし。
「皆さん有名でしたので、教えてもらいました」
実際〈迷宮の薔薇〉の三人は有望株として名が知られていた。そしてもう一人。
「あ、挨拶遅れてすみません。ティアさん、初めまして。アレスです」
「は、初めましてアレス君。よ、よろしくね……!」
ちょっと緊張気味に見えるのは僧侶のティアさん。青い瞳で薄い青の長い髪に少しウェーブがかかっている、少し控えめな美少女。この人も俺と同じ歳くらいに見える。身長はセレナさんより十センチくらい高いかな。しかし胸はヘレナさん級(G)。
ちなみにこの三人はCランクでありながら、すでに二つ名を持っている。
魔術師のセレナさんはさきほど俺が言った《氷の魔術師》。
斧戦士のジーナさんは《戦斧姫》。
そして僧侶のティアさんは《血染めの天使》。……なぜ、この大人しそうな子が一番物騒な二つ名なのかというと、ティアさんは回復役でありながら、メインの武器は鉄のメイス。なんと近接で殴りまくる、いわゆる殴りヒーラーなのだ。いつも返り血だらけになるけれど、「〈洗浄〉すれば同じ」とあまり気にしないそうだ。見た目とギャップがあるなあ……。
「あ、それでですね。今日Dランクになったので、以前お願いされたポーターをお受けしようと思いまして」
「え!? ほんとに!? やってくれるの!? やったあー!!」
ジーナさんは前回と同じように子供のように喜び、やっぱり他の二人に窘められていた。
「で、どうするどうする? いついく? いついく?」
「落ち着きなさい、ジーナ」
前のめりのジーナさんを窘めながら、どこかからメモ帳のようなものを取り出すセレナさん。〈迷宮の薔薇〉のスケジュールをチェックしているようだ。
「そうね、契約は一週間だったかしら。だったら明日からでも、こちらは大丈夫よ。アレスはどう?」
「俺も問題ありません。では明日からよろしくお願いします」
三人と握手を交わし、翌朝、彼女たちが三人で借りている家の前で集合することになった。
一人で潜ってばかりだった俺にとって、〈迷宮の薔薇〉との探索は楽しみで仕方なかった。
◆現在のアレス ※は隠蔽中または改竄中
アレス ヒューマン(※天空人を改竄中) 十七歳
称号:
※エンドリング
※勇者
スキル:
火魔法[5]
水魔法[5]
土魔法[5]
風魔法[5]
闇魔法[8]
回復魔法[8]
生活魔法[10]
空間魔法[8]
※性魔法[10]
短剣術[7]
弓術[7]
身体強化[10]
鑑定[8]
料理[5]
※技巧(性)[7]
合成(空間)
分解(空間)
修復(空間)
※スキル・称号奪取(性)
※スキル複製(性)
全スキル経験値アップS
アイテムボックスS
無詠唱
バッチ処理
タスクスケジューラ
魔力常時回復
スキル・称号付替
※ステータス情報改竄
全言語理解
ストックしているスキル:
聖魔法[8]
全言語理解×2
ストックしている称号:
聖女
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