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第三章 エヴァルシア開発編
124 酒蔵建設と時間操作
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翌日。
イレーヌは単身、港町ローヴァンへ人身売買組織の調査に向かった。
俺は午前中に酒蔵の用事を済ませようと、メディアとともに屋敷を出たのだが、なぜかリディアまでついてきていた。
「あれ? リディアも来るのか? 来るのは構わないけど、暇かもしれないぞ?」
「ええ。よろしければ、ご一緒させてください」
というわけで、三人で酒蔵の建設予定地へ向かうことになった。
予定地にはすでに、酒蔵を営む母娘――カトリナとノエルが待っていた。
敷地の一角には、以前エルマに渡していた仮設の酒蔵がそのまま建っている。
「よう、カトリナ、ノエル。今できている酒を見せてもらいに来た。それと、酒蔵はメディアが建ててくれるから、建物のことは彼女と相談してくれ。仮の酒蔵は、少し離れた場所に移動させてもいいか?」
「はい、アレス様。お任せいたします」
俺は仮設酒蔵を、中身ごとそのまま別の場所へ移動させた。
「じゃあ、ノエル。酒の説明を頼んでもいいか?」
「はい、わかりました」
母のカトリナにはメディアと酒蔵建設の打ち合わせをしてもらい、娘のノエルには仮酒蔵の中で酒の説明をお願いした。
「アレス様、今回ご用意できるのは、赤ワインとエール、それから日本酒です」
「おお、日本酒にも挑戦してくれたのか。ありがとう」
俺は以前、西の街モルディアで買い付けた米を、この母娘に渡していた。
「アレス様、味見なさいますか?」
この身体は、確か十七歳だったはずだが、酒の味はわかるのだろうか。
もっとも、この世界では十五歳から飲酒可能らしい。せっかくだし、試してみるか。
「ああ。まずはワインから頼む」
ノエルがグラスに、ほんの少しだけワインを注ぐ。
香りは悪くない。口に含み、しばらく味を転がしてから飲み込む。
……なるほど。
この身体、味はちゃんとわかるが、どうやら舌がやたらと厳しいらしい。
「ふむ。樽で一年寝かせた、って感じだな。合っているか?」
「はい。母のスキルで、樽で一年熟成させたものと同じ状態にしています」
なるほどな。
俺は収納から、濃い緑色をしたガラス瓶を五本取り出した。
「この瓶に、さっきのワインを詰めてくれないか。試したいことがある」
「わかりました」
ノエルにワインを瓶詰めしてもらい、コルク栓で封をする。
コルクは、ワインの名産地カステリオで大量に購入しておいたものだ。
瓶自体は、俺の〈ガラス加工〉スキルで作った。紫外線を通さない仕様にしてある。
瓶を横に寝かせ、それぞれ別の亜空間へ収納。
先日のダンジョン踏破で取得したスキル、〈時間操作(空間)〉で、三年、五年、十年、十五年、二十年を経過させてから取り出す。
それぞれの瓶に、「3」「5」「10」「15」「20」と記して並べる。
「……これは、何ですか?」
「ああ。俺のスキルで、瓶の状態のまま数年寝かせたワインだ。飲み比べてみよう」
そう言って、俺とノエルで試飲を始めようとすると、さすがに我慢できなくなったのか、リディアが声を上げた。
「わ、私にも試飲させてください!」
……やっぱり、酒好きなんじゃないか。
三人で試した結果、五年物と十年物が、ほぼ同じくらい美味しいという結論になった。
そこでさらに、六年、七年、八年、九年物を作り直し、再度試飲。
最終的に、七年物が一番美味しい、という結果に落ち着いた。
「なんだか、面白いことやってるじゃない」
酒蔵建設の希望を一通りメディアに伝え終えたカトリナが、仮酒蔵にやってきた。
「お母さん! アレスさんが、瓶で七年寝かせたワインをスキルで作ってくれたの! 飲んでみて!」
カトリナは一口含み、しばし考え込む。
「なるほど……確かに、七年寝かしたほうが美味しいわね。でも、私たちには七年も保管する余裕がないわ」
確かに、七年間まったく現金収入がないのは厳しい。
「ああ、その辺は任せてくれ。七年経過させる魔道具を用意する。それまでは俺に預けてくれれば、スキルで作ってやる」
「ありがとうございます、アレスさん!」
そう言って、カトリナが自然な動作でキスしてきた。
……いや、普通にしてきたな?
「お母さん! ずるくない!?」
「こういうのは、やった者勝ちなのよ」
どうやら、確信犯だったらしい。
次はエールだ。
「うーん……これはこれで悪くないんだが」
「何か、気になりますか?」
「ちょっと待っていてくれ」
俺は外に出ると、一つの建物を出現させ、内部に魔法陣を付与した。
「カトリナ、ノエル。ちょっとこっちに来てくれ」
二人を呼び、先ほど作った建物を示す。
「次に来るまでに、この建物の中で大麦麦芽を発酵させたものを作ってみてくれないか?」
「構いませんが……中に入っても?」
「ああ、いいぞ」
二人は揃って中に入ったが、
「「寒い!」」
と叫んで、すぐに飛び出してきた。
「あ、アレスさん! あんな寒いところで発酵させるんですか?」
「ああ。そうすると、また違った味になる。試してみてくれ」
過去の転生者が日本語で書き残した技術書――〈タクオの書〉によれば、これで“ラガービール”ができるはずだ。
続いて日本酒だが、
「あー……これは、米がダメだな。品種改良した米を作るから、この酒は今回はなしで」
「わかりました、アレスさん」
これで一通りの味見は終わりだ。
「ところで、さっきのワインのブドウ、ここで作ったものじゃないよな?」
「はい。先日カステリオで大量購入したブドウを使っています。エヴァルシアで品種改良したブドウで作ったワインは、樽で一年寝かせただけでも、先ほどの七年物より美味しいんですよ」
……マジか。それは楽しみだ。
「じゃあ、来年まではカステリオ産で稼ぐか。そういえば、蒸留酒は?」
「作っていますが、最低でも樽で四年は寝かせたほうがいいので、まだ飲めません」
「ああ、それは俺が何とかする。樽のある場所に案内してくれ」
仮酒蔵の奥には、蒸留酒の入った樽がぎっしりと積まれていた。
「ずいぶん作ったな。全部ブドウか?」
「いえ。一部はリンゴが原料です」
ふむ。どちらにしろ、ブランデーだな。
「この樽、ブドウとリンゴ、それぞれ五つずつ貰えないか? スキルで寝かせてみる」
「わかりました」
五年、十年、十五年、二十年、二十五年物を作り、それぞれに数字を書き込む。
「じゃあ、試飲して――」
「ちょっと待てー!」
外から怒鳴り声。
扉を壊す勢いで飛び込んできたのは、鍛冶師のドルガンだった。
「お、ドルガンさん、久しぶり。城壁の門の設置にきたんだよね?」
「北も南も東も西も、全部終わらせてきたわい! 設置が終わるまで試飲禁止だって、ルビナが、ルビナが……」
もはや泣きそうなドルガン。
「じゃあ、ルビナも来てるのか」
「わしだけ走ってきた。あとから来るじゃろ」
弟子を置いてくるなよ……。
「で、試飲の酒はどれじゃ? わしが評価してやる」
「飲みたいだけじゃないの?」
「違う! あ・じ・み・じゃ!」
とりあえず、五年物から味見。
「少なすぎんか!? もうちょい――」
「味見だろ。それで味がわからないなら、評価しなくていいぞ」
「くっ……」
試飲の結果、俺には五年物でも普通に売り物になるレベルの味だと感じた。二十五年物が一番美味しいのは間違いないのだが、五年物でも十分美味いのだ。
そして、ドルガンの評価も同じだった。
「いや、これはそれぞれ出すべきじゃ。五年物でもここまで美味い酒は飲んだことがない。二十五年物なんて王家に献上するレベルの味じゃぞ」
「じゃあ、価格を分けて売ろう。値段はエヴァルシア商会と相談だな」
「でも……これも寝かせる余裕が……」
「ああ、これ用の魔道具を早急に作るよ。あ、ドルガンさん、こういう箱を六個作ってほしいんだけど、お願いできる?」
「ああ、構わんぞ。高くつくぞ?」
「ドルガンさん、これ、お酒を美味しくする魔道具になるんだけど?」
「ぬ?」
「あ、ここに残った二十五年物の樽一つ、このまま捨てるのもったいないなあ」
「はあ!? 捨てるじゃと!? この神の酒を捨てるじゃと!? 捨てるくらいならワシに――」
「でも、ドルガンさんに頼んだ魔道具高いんでしょ? じゃあ、あげるわけには――」
「わかった! この樽一つで作ってやる! それでいいだろ!」
「酒のほうが価値高くないかなぁ」
「……アレス、年寄りをいじめるな」
とうとう泣きそうな顔になったドルガンが可哀想だったので、二十五年物の樽一つで魔道具の箱六つを作ってもらうことになった。
なんと明日までに作るという。
「そんなに急いでいない」と言ったのだが、「酒のためなら徹夜してでも作る」と、二十五年物の樽を大事そうに抱えていつの間にか来ていたルビナと一緒に帰っていった。
ちなみにこっそり味見していたルビナも二十五年物を気に入っていたらしく、ドルガンに「あたしにも飲ませて!」とお願いしていたが、断固拒否されていた。
「じゃ、大麦麦芽を隣の建物で発酵させるのと、米のほうは品種改良後だな。魔道具さえできれば、すぐにでも販売できるだろう。ワイン用の瓶とブランデー用の瓶は俺がいくつか作っておいたから、ここから選んでおいてくれ。気に入ったのがあったら、これも大量生産できる魔道具でも作ろうかな」
「では、新しいお酒ができたらまたお知らせしますね」
「ああ、俺も魔道具が出来たら持ってくるから、近日中に来ることになるけどな」
「あ、よかったら、十本ほどワインを瓶に詰めますので持っていってください。アレスさんが七年物にすれば美味しく飲めるはずです。あとブランデーの樽もいくつかどうぞ」
カトリナにそう言われ、赤ワイン十本と、ブドウとリンゴのブランデー樽を一つずつ受け取った。
イレーヌは単身、港町ローヴァンへ人身売買組織の調査に向かった。
俺は午前中に酒蔵の用事を済ませようと、メディアとともに屋敷を出たのだが、なぜかリディアまでついてきていた。
「あれ? リディアも来るのか? 来るのは構わないけど、暇かもしれないぞ?」
「ええ。よろしければ、ご一緒させてください」
というわけで、三人で酒蔵の建設予定地へ向かうことになった。
予定地にはすでに、酒蔵を営む母娘――カトリナとノエルが待っていた。
敷地の一角には、以前エルマに渡していた仮設の酒蔵がそのまま建っている。
「よう、カトリナ、ノエル。今できている酒を見せてもらいに来た。それと、酒蔵はメディアが建ててくれるから、建物のことは彼女と相談してくれ。仮の酒蔵は、少し離れた場所に移動させてもいいか?」
「はい、アレス様。お任せいたします」
俺は仮設酒蔵を、中身ごとそのまま別の場所へ移動させた。
「じゃあ、ノエル。酒の説明を頼んでもいいか?」
「はい、わかりました」
母のカトリナにはメディアと酒蔵建設の打ち合わせをしてもらい、娘のノエルには仮酒蔵の中で酒の説明をお願いした。
「アレス様、今回ご用意できるのは、赤ワインとエール、それから日本酒です」
「おお、日本酒にも挑戦してくれたのか。ありがとう」
俺は以前、西の街モルディアで買い付けた米を、この母娘に渡していた。
「アレス様、味見なさいますか?」
この身体は、確か十七歳だったはずだが、酒の味はわかるのだろうか。
もっとも、この世界では十五歳から飲酒可能らしい。せっかくだし、試してみるか。
「ああ。まずはワインから頼む」
ノエルがグラスに、ほんの少しだけワインを注ぐ。
香りは悪くない。口に含み、しばらく味を転がしてから飲み込む。
……なるほど。
この身体、味はちゃんとわかるが、どうやら舌がやたらと厳しいらしい。
「ふむ。樽で一年寝かせた、って感じだな。合っているか?」
「はい。母のスキルで、樽で一年熟成させたものと同じ状態にしています」
なるほどな。
俺は収納から、濃い緑色をしたガラス瓶を五本取り出した。
「この瓶に、さっきのワインを詰めてくれないか。試したいことがある」
「わかりました」
ノエルにワインを瓶詰めしてもらい、コルク栓で封をする。
コルクは、ワインの名産地カステリオで大量に購入しておいたものだ。
瓶自体は、俺の〈ガラス加工〉スキルで作った。紫外線を通さない仕様にしてある。
瓶を横に寝かせ、それぞれ別の亜空間へ収納。
先日のダンジョン踏破で取得したスキル、〈時間操作(空間)〉で、三年、五年、十年、十五年、二十年を経過させてから取り出す。
それぞれの瓶に、「3」「5」「10」「15」「20」と記して並べる。
「……これは、何ですか?」
「ああ。俺のスキルで、瓶の状態のまま数年寝かせたワインだ。飲み比べてみよう」
そう言って、俺とノエルで試飲を始めようとすると、さすがに我慢できなくなったのか、リディアが声を上げた。
「わ、私にも試飲させてください!」
……やっぱり、酒好きなんじゃないか。
三人で試した結果、五年物と十年物が、ほぼ同じくらい美味しいという結論になった。
そこでさらに、六年、七年、八年、九年物を作り直し、再度試飲。
最終的に、七年物が一番美味しい、という結果に落ち着いた。
「なんだか、面白いことやってるじゃない」
酒蔵建設の希望を一通りメディアに伝え終えたカトリナが、仮酒蔵にやってきた。
「お母さん! アレスさんが、瓶で七年寝かせたワインをスキルで作ってくれたの! 飲んでみて!」
カトリナは一口含み、しばし考え込む。
「なるほど……確かに、七年寝かしたほうが美味しいわね。でも、私たちには七年も保管する余裕がないわ」
確かに、七年間まったく現金収入がないのは厳しい。
「ああ、その辺は任せてくれ。七年経過させる魔道具を用意する。それまでは俺に預けてくれれば、スキルで作ってやる」
「ありがとうございます、アレスさん!」
そう言って、カトリナが自然な動作でキスしてきた。
……いや、普通にしてきたな?
「お母さん! ずるくない!?」
「こういうのは、やった者勝ちなのよ」
どうやら、確信犯だったらしい。
次はエールだ。
「うーん……これはこれで悪くないんだが」
「何か、気になりますか?」
「ちょっと待っていてくれ」
俺は外に出ると、一つの建物を出現させ、内部に魔法陣を付与した。
「カトリナ、ノエル。ちょっとこっちに来てくれ」
二人を呼び、先ほど作った建物を示す。
「次に来るまでに、この建物の中で大麦麦芽を発酵させたものを作ってみてくれないか?」
「構いませんが……中に入っても?」
「ああ、いいぞ」
二人は揃って中に入ったが、
「「寒い!」」
と叫んで、すぐに飛び出してきた。
「あ、アレスさん! あんな寒いところで発酵させるんですか?」
「ああ。そうすると、また違った味になる。試してみてくれ」
過去の転生者が日本語で書き残した技術書――〈タクオの書〉によれば、これで“ラガービール”ができるはずだ。
続いて日本酒だが、
「あー……これは、米がダメだな。品種改良した米を作るから、この酒は今回はなしで」
「わかりました、アレスさん」
これで一通りの味見は終わりだ。
「ところで、さっきのワインのブドウ、ここで作ったものじゃないよな?」
「はい。先日カステリオで大量購入したブドウを使っています。エヴァルシアで品種改良したブドウで作ったワインは、樽で一年寝かせただけでも、先ほどの七年物より美味しいんですよ」
……マジか。それは楽しみだ。
「じゃあ、来年まではカステリオ産で稼ぐか。そういえば、蒸留酒は?」
「作っていますが、最低でも樽で四年は寝かせたほうがいいので、まだ飲めません」
「ああ、それは俺が何とかする。樽のある場所に案内してくれ」
仮酒蔵の奥には、蒸留酒の入った樽がぎっしりと積まれていた。
「ずいぶん作ったな。全部ブドウか?」
「いえ。一部はリンゴが原料です」
ふむ。どちらにしろ、ブランデーだな。
「この樽、ブドウとリンゴ、それぞれ五つずつ貰えないか? スキルで寝かせてみる」
「わかりました」
五年、十年、十五年、二十年、二十五年物を作り、それぞれに数字を書き込む。
「じゃあ、試飲して――」
「ちょっと待てー!」
外から怒鳴り声。
扉を壊す勢いで飛び込んできたのは、鍛冶師のドルガンだった。
「お、ドルガンさん、久しぶり。城壁の門の設置にきたんだよね?」
「北も南も東も西も、全部終わらせてきたわい! 設置が終わるまで試飲禁止だって、ルビナが、ルビナが……」
もはや泣きそうなドルガン。
「じゃあ、ルビナも来てるのか」
「わしだけ走ってきた。あとから来るじゃろ」
弟子を置いてくるなよ……。
「で、試飲の酒はどれじゃ? わしが評価してやる」
「飲みたいだけじゃないの?」
「違う! あ・じ・み・じゃ!」
とりあえず、五年物から味見。
「少なすぎんか!? もうちょい――」
「味見だろ。それで味がわからないなら、評価しなくていいぞ」
「くっ……」
試飲の結果、俺には五年物でも普通に売り物になるレベルの味だと感じた。二十五年物が一番美味しいのは間違いないのだが、五年物でも十分美味いのだ。
そして、ドルガンの評価も同じだった。
「いや、これはそれぞれ出すべきじゃ。五年物でもここまで美味い酒は飲んだことがない。二十五年物なんて王家に献上するレベルの味じゃぞ」
「じゃあ、価格を分けて売ろう。値段はエヴァルシア商会と相談だな」
「でも……これも寝かせる余裕が……」
「ああ、これ用の魔道具を早急に作るよ。あ、ドルガンさん、こういう箱を六個作ってほしいんだけど、お願いできる?」
「ああ、構わんぞ。高くつくぞ?」
「ドルガンさん、これ、お酒を美味しくする魔道具になるんだけど?」
「ぬ?」
「あ、ここに残った二十五年物の樽一つ、このまま捨てるのもったいないなあ」
「はあ!? 捨てるじゃと!? この神の酒を捨てるじゃと!? 捨てるくらいならワシに――」
「でも、ドルガンさんに頼んだ魔道具高いんでしょ? じゃあ、あげるわけには――」
「わかった! この樽一つで作ってやる! それでいいだろ!」
「酒のほうが価値高くないかなぁ」
「……アレス、年寄りをいじめるな」
とうとう泣きそうな顔になったドルガンが可哀想だったので、二十五年物の樽一つで魔道具の箱六つを作ってもらうことになった。
なんと明日までに作るという。
「そんなに急いでいない」と言ったのだが、「酒のためなら徹夜してでも作る」と、二十五年物の樽を大事そうに抱えていつの間にか来ていたルビナと一緒に帰っていった。
ちなみにこっそり味見していたルビナも二十五年物を気に入っていたらしく、ドルガンに「あたしにも飲ませて!」とお願いしていたが、断固拒否されていた。
「じゃ、大麦麦芽を隣の建物で発酵させるのと、米のほうは品種改良後だな。魔道具さえできれば、すぐにでも販売できるだろう。ワイン用の瓶とブランデー用の瓶は俺がいくつか作っておいたから、ここから選んでおいてくれ。気に入ったのがあったら、これも大量生産できる魔道具でも作ろうかな」
「では、新しいお酒ができたらまたお知らせしますね」
「ああ、俺も魔道具が出来たら持ってくるから、近日中に来ることになるけどな」
「あ、よかったら、十本ほどワインを瓶に詰めますので持っていってください。アレスさんが七年物にすれば美味しく飲めるはずです。あとブランデーの樽もいくつかどうぞ」
カトリナにそう言われ、赤ワイン十本と、ブドウとリンゴのブランデー樽を一つずつ受け取った。
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二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
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95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
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