白くて赤い人間と

柊 黎人

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最期(少女)

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階段を上っていく。
あとを追ってきている彼は息を切らしながらもついてくる。
私も息が上がってきたがそんなことは気にしない。
屋上に着いた。
ドアを開けて外へ出た。
やっとだ。やっと楽になれる。
柵を飛び越えた。
彼を少し見てみる。
何か言いたげな顔をしていたが口には出さない。
止めないでいてくれるのか。
これからしようとしてる事を肯定してくれるのだろうか。うれしいな。
最後の最後に私自身を見てくれる人に出会えた気がする。見た目ではなく中身を見てくれる人に。
もし、彼とお話できていたら私の人生はもっと続いていたんだろうな。
でも、もういいや。最後に会ったのが彼でよかった。
ありがとう。
私は今、人生の中で一番幸せだよ。このまま終わろう。

幸せのまま、私は笑顔で飛び降りた。
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