鍋をしよう

月桃子

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鍋をしよう

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人と付き合うのが、嫌いな私は、友達と楽しく鍋を囲んだ事がなく憧れていた。友達をつくるのも無理なので何かを考えていた。大学を卒業して5年。会社と家の往復で休みの日は、内容は、わからない推しの将棋を見るだけの日々。色々と考えて顔を見た事も無いアパートの人を誘って見ようと思った。これは、かなり危険な事かもしれない。全部で6部屋のアパートで顔も知らない人。ドキドキしてきた。たまには、馬鹿げた事をしてみよう。私は、他の部屋の人にそれぞれ「201号の者です。鍋しますので良かったら日曜の6時に都合が良かったら来て下さい。何か具材を1つお持ち下さい。」と書いた手紙をポストに入れた。とうとう日曜の6時になりドキドキしてた。私も色々と用意し待っていた。どんな人がくるか楽しみでもあり、怖くもあり時間が、どんどん過ぎお腹がすいてきた。もう10時で誰も来なかった。少し期待してた。次の日に会社から帰ってくると大家さんから電話があり、このアパートは古いので取り壊し駐車場にするという事で、先月で私の他は退去したそうで、来月まで退去と言われた。来ないはずだ。力が抜けた。考えてみれば、こんな馬鹿げた事もできるんだから色々と進んでいこう。そろそろ桜も咲くし。
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