赤いカラス

月桃子

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赤いカラス

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朝の憂鬱なゴミ出し。ここのゴミ収集場は、朝の8時30分には来てしまう。油断できない朝だ。すぐ近くのゴミ収集場は、ルートが違うらしく朝の10時に来る。そんな事を思いながらゴミ出しをしてたら「カアー」といつものカラスが鳴いている。ゴミを狙ってるんだなと眺めていたら私の顔をじっと見てる。しかしカラスって真っ黒。これが違う色だったら嫌われなかったのにと思う。目をそらしたら負けの気がして、しばらく見つめ合ったらカラスは「カアー」と鳴いて飛んでいった。それからゴミ出しに行くたびカラスに「カアー」と鳴かれ顔見知りになる。そんなある日、カラスは姿を見せなくなり寂しい気持ちになった。毎日は、慌ただしく過ぎた。3ヶ月が過ぎた頃いつもの様にゴミ出しに行くと「カアー」と聞こえ振り向くと赤いカラスがいた。何で赤?と顔を見ると、よく会っていたカラスだった。不思議な気持ちになっていたら「カアー」と鳴いて消えた。旅立ったんだなと思った。
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