流石にもう少し頑張りましょうよ!中西くん!

taka3611

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恋愛下手な中西くん

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「はぁー………面倒くさい」
大きなため息をもらし、いつものように高校に行くためのバスに乗る
俺の乗るバスは終点によって混んでたり混んでなかったりまちまちだ
今日は寝坊したからいつもの空いている行き先のバスではなく、混んでいる方のバスに乗ることに。しかも人の流れに押され、出口付近まで来てしまった。ここは降りる人の為に常に気を配らなければならない場所。
場合によっては一回一回降りてまた乗ってを繰り返さないといけない場所……
朝から憂鬱だ。
つり革は近くになく、体幹だけでバランスを取るしかないのは地味にキツイ。
取り敢えず音楽でも聞いて気分を変えるか。
そう思い、満員の中もぞもぞと身体を動かしポケットに入っているイヤホンを手に取り耳に付ける。

曲をかけて数秒後、前にいたおっさんから舌打ちが聞こえてくる。
「ちっ!うっさいのぉ、集中できんわ」
そう小さい声でぼやいてくる。誰に向かって言ったわけでもなく、ただただそのおっさんは下を向いている。
だがこれは確実に俺に対して言っている。そう何故か核心した。恐らくイヤホンから音が漏れていたのだろう。
以前も知らない人に注意されたことをふと思い出す。
本来なら同じミスを犯したことを悔やみ、目の前にいるおっさんに形はどうあれ感謝するのが筋と言うもの。




何に集中しているのか知らんがもっと何か言い方があったんじゃないのか。
そう思うと腹の中がムカムカしてくる。
よく見るとこのおっさん、つり革ではなく、優先席の端にある鉄の棒を掴んでいる。ちくしょう。おっさんのくせにつり革より良いものを掴んでるじゃないか……!
取り敢えずこいつの後頭部を睨み付け、更なるハゲ侵食を願うとしよう。
おっさんの頭を睨み続けてから二つ目のバス亭を過ぎ去ろうとすると、突然バスが大きく急ブレーキをかける。

キキーッという大きな音ともにバスは止まった。その際中にいる人は全員目の前に倒れ混む。
そう、俺も倒れ混んでしまった。目の前にいる………おっさんに

おっさんは鉄の棒のおかげで少しよろけるくらいだったが俺は違う
思いっきりおっさんに向かって倒れ混み、おっさんの後頭部に向かって頭突きをしてしまった
「「ぐおぉおぉお………!」」
お互い呻き声を上げる。
俺はオデコ。おっさんは後頭部をそれぞれ抑えて。

「な、何すんだこの………」
そうおっさんは言いかけて止まる。何故か。
多分………俺が凄い顔して睨んでいるのが原因だろう

俺は昔から目付きがとても悪い
無表情でぼーっとしているだけなのによく怒ってるの?と聞かれる。
ぼーっとしているだけでこんな状態だから、怒った時は更にヤバい。
友達からは人殺しの目をしている。そう言われたことも多々あった。

今は恐らく………いや絶対に「人殺しの目モード」なのだろう
おっさんはそのまま固まり運転手に向かって叫ぶ 
「ここで降りる!降ろしてくれ!」 
運転手は黙ったままドア開け、走り去っていった。
内心胸がスカッとしたが、この痛みのおかげで苛々が収まらん。
ぶつけたオデコを擦っていると下からブレザーを引っ張られる。
「あの………」
「………はい?」
一瞬痛みと怒りで脳の思考が停止して反応が遅れたがなんとか返事をし、声がする方を向いた。
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